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自己免疫疾患の好発年齢について【年代別の発症しやすい疾患】

こんにちは、今回は「自己免疫疾患の好発年齢について」を取り上げていきたいと思います。

今回は、好発年齢についてですね。
よろしくお願いしますっ!

自己免疫疾患の好発年齢について

自己免疫疾患には、全身性と臓器特異性を含め、多くの種類がありますが、それぞれにおいて「好発年齢」というものがあります。

好発年齢を知っておくと良いことは、

関節痛や発熱、血便、下痢といった症状を認めた際に、

関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患を考える上での(鑑別)、非常に有用な知識となります。

例えば、若い方の発熱、皮疹、関節痛だからSLEや成人スティル病が鑑別として挙げられるなとかそういった感じです。

また、中には、好発年齢ではなくても、高齢になって発症することのある自己免疫疾患もあります。

今回は、年齢という観点から自己免疫疾患を見ていきたいと思います。

小児の発症が多い自己免疫疾患

まずは、小児に発症する自己免疫疾患を紹介します。

全身性自己免疫疾患

若年性特発性関節炎(JIA)

若年性特発性関節炎は、16歳未満の小児に発症し、『 1〜5歳の幼児 』に多く発症します。

男女比は、1:3〜4で女児に多いです。

川崎病

川崎病は、『 6〜11ヶ月(乳児後半)』が多く、5歳未満で、88.2%に認めます。

男女比は、1.4:1でやや男児に多いです。

IgA血管炎

IgA血管炎の好発年齢は、『 3〜7歳 』です。成人で発症することもあります。

男女比は、1.5〜2:1で男児に多いです。

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臓器特異性自己免疫疾患

1型糖尿病

1型糖尿病の好発年齢は、『 8〜12歳 』です。

男女比は、およそ1:2で女児に多いといわれます。

特発性ネフローゼ症候群

特発性ネフローゼ症候群は、『 2〜5歳 』で多く発症します。

男女比は、およそ2:1で男児に多いです。

膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)

特発性膜性増殖性糸球体腎炎は、小児から若年層に限られ、『 ほとんどが小児 』で発症します。

若年者の発症が多い自己免疫疾患

続いては、若年者に多く発症する自己免疫疾患です。

全身性自己免疫疾患

全身性エリテマトーデス(SLE)

全身性エリテマトーデス(SLE)は、『 20〜40歳代 』の女性に多いです。

男女比は、1:9と圧倒的に女性に多いです。

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成人スティル病

成人スティル病の好発年齢は、『 20〜40歳代 』です。

70歳以上の高齢で発症する場合もあります。

男女比は1:1.3でやや女性に多いです。

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高安動脈炎

高安動脈炎の好発年齢は、『 15〜35歳 』の若い女性です。

男女比は1:8で女性に多いです。

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ベーチェット病

ベーチェット病の好発年齢は、『 20〜40歳代 』です。

男女比は、1:1で大きな性差はありません。

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脊椎関節炎

脊椎関節炎は、『 40歳以下 』で発症します。

男女比は、およそ3:1で男性に多いです。

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臓器特異性自己免疫疾患

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎の発症のピークは、『 男性 20〜24歳、女性25〜29歳 』で多いです。

男女比は、1:1で大きな性差はありません。

クローン病

クローン病の好発年齢は、『 男性 20〜24歳、女性 15〜19歳 』で多いです。

男女比は、2:1で男性に多いです。

多発性硬化症

多発性硬化症は、『 20〜30歳代 』の女性に多く発症します。

男女比はおよそ1:3で女性に多いです。

IgA腎症

IgA腎症の好発年齢年齢は、『 成人では20歳代が多く、小児では10歳代 』で多いです。

男女比は、1.2:1とやや男性に多いです。

巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)

巣状分節性糸球体硬化症は、小児、成人ともに認められますが、『 20~40歳代 』に多く発症します。

中年者の発症が多い自己免疫疾患

全身性自己免疫疾患

関節リウマチ

関節リウマチの好発年齢は、『 30〜50歳代 』の女性に多く発症します。

男女比は、1:4と女性に多いです。

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強皮症

強皮症の好発年齢は、『 30〜50歳代 』の女性に多く発症します。

男女比は、1:12と圧倒的に女性に多いです。

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多発性筋炎・皮膚筋炎

多発性筋炎の好発年齢は、『 50〜60歳代 』に多いです(5〜9歳に発症することもあります)。

男女比は、1:3と女性に多いです。

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シェーグレン症候群

シェーグレン症候群の好発年齢は、『 40〜60歳代 』の女性に多く発症します。

男女比は、1:17と圧倒的に女性に多いです。

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混合性結合組織病(MCTD)

混合性結合組織病の好発年齢は、『 30〜40歳代 』の女性に多く発症します。

男女比は、1:13〜16と圧倒的に女性に多いです。

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結節性多発動脈炎

結節性多発動脈炎の好発年齢は、『 40〜60歳代 』に多く発症します。

男女比は、3:1と男性に多いです。

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IgG4関連疾患

IgG4関連疾患の好発年齢は、『 60歳代 』にピークがあります。

ミクリッツ病は女性に多く発症しますが、それ以外は男性に多く発症します。

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多発血管炎性肉芽腫症

多発血管炎性肉芽腫症の好発年齢は、『 30〜60歳代 』に多く発症します。

男女比は、ほぼ1:1と大きな性差はありません

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好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の好発年齢は、『 40〜70歳代 』です。

男女比は、1:1.7とやや女性に多いです。

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臓器特異性自己免疫疾患

バセドウ病

バセドウ病の好発年齢は、『 30〜40歳代 』です。

男女比は、およそ1:3〜5と女性に多いです。

橋本病

橋本病の好発年齢は、『 30〜40歳代 』の女性に多いです。

男女比は、1:20〜30と圧倒的に女性に多いです。

重症筋無力症

重症筋無力症の好発年齢は、『 女性では 30〜50歳代、男性では50〜60歳代 』にピークがあります(5歳未満で発症する場合もあります)。

男女比は、1:1.7と女性に多いです。

視神経脊髄炎

視神経脊髄炎の好発年齢は、『 30~40歳代 』が多いです。

男女比は、1:2~3と女性に多いです。

自己免疫性肝炎

自己免疫性肝炎は、中年以降で発症し、好発年齢は『 60歳代 』です。

男女比は、1:6と女性に多いです。

原発性胆汁性胆管炎

原発性胆汁性肝硬変症の好発年齢は、『 50〜60歳代 』です。

男女比は1:4と女性に多く発症します。

膜性腎症(MN)

膜性腎症の好発年齢は、『 35歳以上 』に多く発症します。

男女比は、およそ3:1と男性に多いです。

乾癬

どの年齢でも発症しますが、『 男性では30代と60代、女性では20代と50代 』に多いです。

男女比は、2:1と男性に多いです。

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天疱瘡

天疱瘡の好発年齢は、『 40〜60歳代 』に多く発症する。

男女比では、女性にやや多い傾向があります。

高齢発症が多い自己免疫疾患

全身性自己免疫疾患

リウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症は、50歳以上の方に発症し、好発年齢は、『 70〜80歳代 』です。

男女比は1:2~3と女性に多いです。

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巨細胞性動脈炎

巨細胞性動脈炎は、50歳以上の方で発症し、好発年齢は、『 60〜70歳代 』です。

男女比は、女性にやや多いです。

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顕微鏡的多発血管炎

顕微鏡的多発血管炎の好発年齢は、『 55〜75歳 』に多いです。

男女比は、女性にやや多いです。

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高齢発症することもある自己免疫疾患

  1. 高齢発症関節リウマチ
  2. 成人スティル病
  3. 全身性エリテマトーデス(SLE)
    • SLEも、リウマチやスティル病ほどではないですが、時に高齢発症する場合があります。
  4. 多発性筋炎・皮膚筋炎
  5. 視神経脊髄炎など

まとめ

小児の発症が多い自己免疫疾患

好発年齢男女比
(男:女)
〈 全身性自己免疫疾患 〉
若年性特発性関節炎(JIA)1〜5歳1.5〜2:1
男児に多い
川崎病 6〜11ヶ月1.4:1
やや男児に多い
IgA血管炎3〜7歳1.5〜2:1
男児に多い
〈 臓器特異性自己免疫疾患 〉
1型糖尿病8〜12 歳およそ1:2
女児に多い
特発性ネフローゼ症候群2〜5 歳およそ2:1
男児に多い
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)ほとんどが小児

若年者の発症が多い自己免疫疾患

好発年齢男女比
(男:女)
〈 全身性自己免疫疾患 〉
全身性エリテマトーデス(SLE)20〜40歳代1:9
圧倒的に女性に多い
成人スティル病20〜40歳代1:1.3
やや女性に多い
高安動脈炎15〜35歳1:8
女性に多い
ベーチェット病20〜40歳代1:1
脊椎関節炎40歳以下およそ3:1
男性に多い
〈 臓器特異性自己免疫疾患 〉
潰瘍性大腸炎男性 20〜24歳
女性 25〜29歳
1:1
クローン病男性 20〜24歳
女性 15〜19歳
2:1
男性に多い
多発性硬化症20〜30歳代およそ1:3
女性に多い
IgA腎症成人では20歳代
小児では10歳代
1.2:1
やや男性に多い
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)20~40歳代

中年者の発症が多い自己免疫疾患

好発年齢男女比
(男:女)
〈 全身性自己免疫疾患 〉
関節リウマチ30〜50歳代1:4
女性に多い
強皮症30〜50歳代1:12
圧倒的に女性に多い
多発性筋炎・皮膚筋炎50〜60歳代1:3
女性に多い
シェーグレン症候群40〜60歳代1:17
圧倒的に女性に多い
混合性結合組織病(MCTD)30〜40歳代1:13〜16
圧倒的に女性に多い
結節性多発動脈炎40〜60歳代3:1
男性に多い
IgG4関連疾患60歳代ミクリッツ病は女性に多い
それ以外は男性に多く発症
多発血管炎性肉芽腫症30〜60歳代1:1
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症40〜70歳代1:1.7
やや女性に多い
〈 臓器特異性自己免疫疾患 〉
バセドウ病30〜40歳代1:3〜5
女性に多い
橋本病30〜40歳代1:20〜30
圧倒的に女性に多い
重症筋無力症50〜60歳代1:1.7
女性に多い
視神経脊髄炎30~40歳代1:2〜3
女性に多い
自己免疫性肝炎60歳代1:6
女性に多い
原発性胆汁性胆管炎50〜60歳代1:4
女性に多い
膜性腎症(MN)35歳以上3:1
男性に多い
乾癬男性では30代と60代
女性では20代と50代
2:1
男性に多い
天疱瘡40〜60歳代やや女性に多い

高齢発症が多い自己免疫疾患

好発年齢男女比
(男:女)
〈 全身性自己免疫疾患 〉
リウマチ性多発筋痛症70〜80歳代1:2~3
女性に多い
巨細胞性動脈炎60〜70歳代やや女性に多い
顕微鏡的多発血管炎55〜75歳やや女性に多い




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今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします?

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