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【 えっ、こんなにするの? 】高額な生物学的製剤 ~ 3 選 ~

こんにちは、今回は【 えっ、こんなにするの? 】高額な生物学的製剤 ~3選 ~ についてについて取り上げていきたいと思います。

 

 今回は生物学的製剤の中でも、特に高額なものを3つご紹介していきたいと思います。

 リウマチのバイオ製剤でも1本数万から10万円位するのに、まだ高いものがあるのですねっ?!

そうなんです。もっと高額な生物学的製剤は、まだまだあります。
今回は、免疫疾患で使用される生物学的製剤について取り上げていきます。悪性疾患で使用されている、オプジーボ®︎などは取り上げませんのでよろしくお願いします。

はいっ、お願いします(ワクワク)!

① ソリリス®︎(エクリズマブ)

うーんソリリス®︎、、、、聞いたことないぞって感じですよね。

ソリリス®︎(エクリズマブ)は、補体の一つであるC5阻害薬です。

対象疾患は、全身型重症筋無力症、視神経脊髄炎(NMOSD)、非典型溶血性尿毒症症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症、発作性夜間ヘモグロビン尿症の4疾患です。

いずれの疾患も、補体が関与していて、C5という補体を阻害することで病状を抑えることができます。

では、肝心の薬価は?

1瓶 300 mgはなんと、604,716円です(2020年12月改訂)。

1瓶 約60万円です。

用法用量は?

導入期1回 900 mg週1回 計4回投与
維持期1回 1200 mg2週に1回投与

ちなみに、1瓶 300mgなので、900mgだと1回で180万円ほどします。

これを、1月に4回行うと、720万円します。

1月でベンツが買えてしまいますね。。。。

1月でベンツが買えてしまいますね。。。。

② イラリス®︎(カナキヌマブ)

イラリス®︎(カナキヌマブ)は、抗IL-1β抗体製剤で、家族性地中海熱に使われるお薬です。

その他、クリオピリン関連周期性症候群、高IgD症候群、TNF受容体関連周期性症候群、全身型若年性特発性関節炎に適応があります。

2021年時点では、成人スティル病でも治験が行われています。

では、薬価はどうでしょうか?

1瓶 150 mgはなんと、1,526,075円です(2021年11月改訂)。

1瓶 約150万円です。

1瓶で、新車が買えるっっ!!

用法用量は?

40kg以下1回 2 mg/kg4週間ごと
40kg以上1回 150mg4週間ごと

ただし、クリオピン関連周期性症候群は8週間ごとに投与します。

③ ユプリズナ®︎(イネビリズマブ)

ユプリズナ®︎(イネビリズマブ)は、2021年6月に発売された新しい生物学的製剤で、抗CD19抗体製剤となります。

ユプリズナ®︎は、視神経脊髄炎スペクトラム障害に適応があります。

視神経脊髄炎スペクトラム障害は、神経自己免疫疾患で、主に神経内科が担当します。

視神経脊髄炎は、抗アクアポリン抗体が原因で、視神経細胞が障害され、視覚異常や手足の筋力低下、身体のしびれや感覚鈍麻が生じる疾患です。

では、ユプリズナ®︎の薬価は?

1瓶 150 mgはなんと、3,495,304円です。

1瓶 約350万円です。

うほっ!!

用法用量は?

1、2回目1回 300 mg2回目は初回投与から2週間後に点滴静注
3回目以降1回 300 mg3回目は初回投与から6ヶ月後に投与
以降も6ヶ月ごとに点滴静注

1年間で、3回点滴を行い、合計およそ1000万円かかる治療になります。

 

 リウマチとかにも生物学的製剤はあるけど、高くても1本10万円ほど。でも、今回紹介された生物学的製剤はなぜ高いの?

1つ目の理由

1つ目の理由は、『需要と供給の関係』から高額になります。

国内に、家族性地中海熱の患者さんは500人程度、視神経脊髄炎の方は4000人程度、重症筋無力症の方はおよそ15000人程度と言われています。

一方で、関節リウマチの方は70 ~ 80万人、乾癬の方は50 ~ 60万人と言われています。

ざっと計算しても、リウマチの方は、家族性地中海熱の1400倍、視神経脊髄炎の175倍、重症筋無力症の47倍多くいることになります。

これだけ、希少な疾患のために、治療薬を作るということは、製薬会社の治験を失敗するリスク等を考えると、

患者さん一人あたりの薬価を高くしないと、製薬会社も莫大な開発費を当てるためのメリットがなくなってしまうのです。

需要と供給の関係とはこういったことです。

2つ目の理由

2つ目の理由は、薬剤を作ることが技術的に難しく、製作コストが高い。

こちらは、想像がつきやすいかと思います。

3つ目の理由

3つ目の理由は、薬剤の投与間隔が長期の場合は、高額になります。

基本的に1週間おきごとよりも、4週間おき、8週間おきの薬剤の方が薬価は高額になります。

以上のような理由から、薬剤が高額になってしまうのです。

ただし、これらの疾患は、難病指定されていますので、申請が承認されれば、治療薬の負担はほぼ国が負担してくれ流ことになりますので、そこはご安心ください。

おまけ

これらの3つの生物学的製剤は、とても高額ですが、通常は特定疾患の患者さんに使われるため、患者さんの負担は最小限に抑えられます。

ただ、薬剤が高いことは全てが悪いわけではなく、需要と供給の観点から、製薬会社のメリットにもなるようにしなければ新薬は開発されていきません。

また、こうした新薬は、今後リウマチや乾癬といったよりメジャーな自己免疫疾患へ応用される可能性もありますし、その疾患だけでなく、思いもよらなかった疾患にも応用される場合もあるのです。

身近な例で言うと、ここ最近リウマチの分野で使われ始められたJAK阻害薬のオルミエント®︎(バリシチニブ)は新型コロナ肺炎の治療薬として応用されました。

また、現に、数はとても少ないですが希少疾患に苦しむ人々は、こういった薬剤の登場により、病状が改善した方がたくさんいらっしゃいます。

なので、今後も、加速度的に医療が発展していくと思いますが、引き続き注視していきたいと思います。

今回ここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?

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