多発性筋炎・皮膚筋炎

【多発性筋炎・皮膚筋炎について】


〜 The Point 〜

  • 皮膚症状を認めるものは皮膚筋炎で、認めないものが多発性筋炎である。
  • 皮膚症状は、「ヘリオトロープ疹」「ゴットロン徴候」「ゴットロン丘疹」が特徴的である。
  • 筋炎には様々な抗体があり、それぞれの抗体によって、症状が違ってくる。

今回は、『多発性筋炎・皮膚筋炎』について取り上げていきたいと思います。

多発性筋炎・皮膚筋炎について

多発性筋炎・皮膚筋炎は、国内で約20000人程の患者さんがいわれており、膠原病の中でも頻度の高い疾患の一つです。

筋炎には、「多発性筋炎」と「皮膚筋炎」という呼び方があります。2つの違いは、皮膚症状が無いのが多発性筋炎、皮膚症状があるのが皮膚筋炎となります。

皮膚症状がないのが多発性筋炎と呼びますが、多発性筋炎は、肺症状のみの場合もあり、筋炎といのに筋症状がないこともしばしあります。少し、ややこしいのですが、皮膚症状の有り無しで、呼び方を変えていますよと知ってくだされば問題ないです。

症状は何ですか?

  • 筋症状
  • 皮膚症状
  • 間質性肺炎
  • 関節痛
  • Raynaud現象

以上が、主な症状になります。以下に具体的に解説していきます。

筋症状

主に、大腿や上腕といった近位部の筋肉痛や把握痛、筋力低下といった症状を認めます。

間質性肺炎

間質性肺炎は多発性筋炎・皮膚筋炎に特徴的な症状の一つです。自分の免疫細胞が過剰に働き、肺の間質という部分に炎症が起きるのが間質性肺炎です。

肺炎には、いわゆる通常のウイルスや細菌による感染性肺炎と間質性肺炎があります。感染性肺炎は、空気を通す気管や肺の酸素を交換する肺胞という部分に炎症が起きます。なので、そこに膿がたまり、痰が出たり、痰が気管に詰まって咳が出たりします。

間質は、その気管と肺胞の間を占める部分で、膿が貯まるわけではなく、炎症が原因なので、空咳がでます。

Raynaud現象

突然指趾が、蒼白化し、数分後に紫色となり、その後びまん性な紅潮を経て正常皮膚色に戻る一連の現象を言います。

Raynaud現象の原因は、手指の血管の攣縮(れんしゅく)による虚血状態を示しています。




皮膚筋炎に特徴的な皮疹は?

皮膚筋炎に特徴的な皮疹は、「ヘリオトロープ疹」「ゴットロン徴候」「ゴットロン丘疹」です。

ヘリオトロープ疹

ヘリオトロープ疹は、眼瞼、眼周囲の浮腫性紫紅色斑のことです。皮膚筋炎の約30%で観察されます。

〈 ヘリオトロープ疹 〉

ゴットロン徴候

ゴットロン徴候は、肘頭や膝などの関節伸側に認める角化性紅斑のことです。

〈 ゴットロン徴候 〉

ゴットロン丘疹

ゴットロン丘疹は、両指関節背面の扁平隆起性丘疹のことです。

〈 ゴットロン丘疹 〉

他に、皮膚筋炎で認める皮疹には、ショールサイン、Vネックサイン、機械工の手、爪の後爪郭という部分の毛細血管拡張といったものがあります。

筋炎に特徴的な自己抗体について

  • 抗ARS抗体
  • 抗Mi-2抗体
  • 抗TIF1-γ抗体
  • 抗MDA-5抗体

筋炎には、さまざま抗体がありますが、臨床上は上記の抗体が多くを占めています。

頻度特徴
抗ARS抗体 30%間質性肺炎、関節痛、Raynaud現象
抗Mi-2抗体10%皮膚症状、CK上昇、筋症状が強い
抗TIF1-γ抗体30%悪性腫瘍の頻度が多い
抗MDA5抗体20%急速進行性間質性肺炎に注意が必要

抗ARS抗体は、最も一般的な筋炎の抗体です。その中に、さらに抗Jo-1抗体や抗PL-7抗体が含まれます。

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