治療薬

【イムラン®︎(アザチオプリン)の特徴】


〜 The Point 〜

  • イムラン®︎は免疫抑制剤の一つである。
  • 多くの膠原病疾患で使用されるが、主に維持療法で使われることが多い。
  • 重篤な副作用の「急性白血球減少」「全脱毛」の予測に開始前に「NUDT15遺伝子検査」を行うことが大切。

今回は、免疫抑制剤の一つイムラン®︎(アザチオプリン)について取り上げていきたいと思います!

イムラン®︎ / アザニン®︎(アザチオプリン)について

イムラン®︎(アザチオプリン)

イムラン®︎(アザチオプリン)は、プリン代謝拮抗薬という種類の薬になります。アザチオプリンの別の商品名でアザニン®︎という名前で販売されています。

適応疾患はどうですか?

  • 全身性エリテマトーデス(SLE)
  • 混合性結合組織病(MCTD)
  • 多発性筋炎・皮膚筋炎
  • 強皮症
  • 全身性血管炎(ANCA関連血管炎、結節性動脈炎、高安大動脈炎)
  • その他(臓器移植、炎症性腸疾患)

こんなときに使う

イムラン®︎(アザチオプリン)は、最近では、上記膠原病の寛解維持のために使用されることが多いです。

また、軽症・中等症の上記膠原病の寛解導入としようされることもあります。




用法はどうですか?

開始時 1回 25mg 1日1回

開始2週間後に採血を行い、重度の血球減少や肝障害を評価します。肝障害などを認めたら、薬剤の中止(・減量)を検討します。

問題がなければ、25〜50mg/日ずつ増量します。(添付文書上は、最大3mg/kgを超えないと記載されています。)

しかし、本邦では50mgや100mgで副作用が出現することもあるため、極力副作用が出ない量で維持する場合も多いです。

副作用はどうですか?

  • 血液障害
  • 肝障害
  • 悪性新生物
  • 易感染性
  • 消化器症状
  • 脱毛

急性白血球減少及び全脱毛について

イムラン®︎(アザチオプリン)には、急性白血球減少と全脱毛がNUDT15遺伝子多型と関連する事が明らかとなっています。

なので、通常使用前に採血にて、NUDT15遺伝子を調べ、遺伝子結果が『Cys/Cys』であった場合、急性白血球減少と全脱毛のリスクが非常に高いため、投与を中止します。(NUDT15遺伝子検査は保険適応となります)

また、「Arg/Cis」「His/Cis」の場合は、低容量から使用開始します。

また、「Arg/Arg」「Arg/His」の場合は、リスクは低いため、通常量から投与開始します。

ただし、「Arg/Arg」「Arg/His」の場合であっても、アザチオプリンの副作用の全てがNUDT15遺伝子多型によるものではないため、使用中に副作用のモニタリングは続けることになります。

アザニン®︎(アザチオプリン)




作用機序はどうですか?

アザチオプリンは、体内で6-メルカプトプリン(6-MP)に分解されます。さらにチオイノシン酸に変換され、イノシン酸と拮抗して核酸(プリンヌクレオチド)の生合成を阻害することで免疫抑制作用を発揮します。

少し専門的な話なので、さらっと読み飛ばす程度で良いかと思います笑

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注意点はありますか?

アザチオプリンは、免疫抑制作用がとても強い訳ではないですが、その分比較的副作用も少なく使いやすい薬です。

しかし、「急性白血球減少」と「全身脱毛」は重篤な副作用もありますが、今は遺伝子検査によって、防ぐことが出来ます。なので、開始前には上で説明したNUDT15遺伝子」を必ずチェックして下さい。

お読み頂きありがとうございました。イムラン®︎は、膠原病の方でも内服される機会が多い薬です。イムラン®︎は主に病態が安定した後の維持目的で使われるのが多いので、頻度が多い訳ではないですが副作用などをチェックしておくのが良いかと思います。

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