多発性筋炎・皮膚筋炎

【多発性筋炎・皮膚筋炎の治療について】


〜 The Point 〜

  • 多発性筋炎・皮膚筋炎は、症状によってステロイドの他に使われる免疫抑制剤が違う。
  • 悪性腫瘍を認めた場合は、悪性腫瘍のまず治療をおこなう。
  • IVIg(免疫グロブリン療法)は、筋炎症状で、ステロイドと免疫抑制剤で効果が不十分の際に検討される。

今回は多発性筋炎・皮膚筋炎の治療について取り上げていきたいと思います。

多発性筋炎・皮膚筋炎の治療について

膠原病の治療は、疾患毎ではなく、疾患の症状毎にアプローチしていきます。

多発性筋炎・皮膚筋炎の症状には、主に以下のものがあります。

  • 間質性肺炎
  • 心筋障害
  • 筋炎症状
  • 皮膚炎症状

まず、多発性筋炎・皮膚筋炎は、膠原病の中でも悪性腫瘍を併存しやすいため、悪性腫瘍の検索は可能な限り行います。

万一、悪性腫瘍を認めた場合は、悪性腫瘍の治療をおこないます。




① 間質性肺炎

間質性肺炎のCT画像

間質性肺炎を認める場合は、高用量〜中等量ステロイドと免疫抑制剤を併用します。

免疫抑制剤としては、プログラフ®︎(タクロリムス)が使用されることが多いです。(プログラフ®︎についてはこちら

※急速進行性間質性肺炎を認める、「抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎」については、治療法が異なりますので、別で紹介いたします。

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② 心筋障害

心筋障害の頻度は、低く、10%以下と言われていますが、重篤になる可能性があるため、ステロイド高用量と免疫抑制剤を併用します。

免疫抑制剤には、有効性の報告は十分ではないですが、エンドキサン®︎(シクロフォスファミド)やイムラン®︎(アザチオプリン)で心筋炎の改善した研究報告があります。

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③ 筋炎症状

筋炎を認める場合は、高用量〜中等量ステロイドの投与が基本です。状況に応じて、免疫抑制剤や免疫グロブリン療法(IVIg)を併用します。免疫抑制剤には、メトトレキサートやイムラン®︎︎(アザチオプリン)がよく使われます。

但し、間質性肺炎がある場合は、メトトレキサートの使用は難しいため、通常はプログラフ®︎(タクロリムス)を併用します。

免疫抑制剤を併用することで、ステロイドを比較的早く減量することが可能であるため、感染症の併発リスクや、ステロイドミオパチー(ステロイドによる筋痛)や骨粗鬆症などのステロイドの副作用を軽減できる効果が期待できます。

イムラン®︎(アザチオプリン)

免疫グロブリン療法(IVIg)はどういう時に使いますか?

IVIgは、非常に高価な点滴であり、1回の治療で新車が1台買えてしまう程の値段がします!

なので、そうホイホイと使える薬剤ではないのですが、通常は、ステロイドと免疫抑制剤の併用でも効果が不十分である場合に、使用を検討します。

但し、いくら高額だからといっても、必要な場合には、使用を躊躇うことはありません。

免疫グロブリン療法

④ 皮膚症状

皮膚症状のみ場合は、通常は筋炎の治療をおこないます。

また、紫外線の遮光に努めます。

薬物療法としては、血管拡張薬の使用や、ステロイドやタクロリムス(プロトピック®︎ 保険適応外)外用薬などがあります。たはつ

多発性筋炎・皮膚筋炎の治療のまとめ

ステロイド免疫抑制剤
間質性肺炎高〜中タクロリムス、シクロスポリン
心筋障害シクロフォスファミド、アザチオプリン
筋炎高〜中メトトレキサートアザチオプリン
皮膚炎筋炎に準じる血管拡張薬、外用薬

〈参考〉

  • 三森経世、桑名正隆 分子標的/Bio時代のリウマチ ・膠原病治療ストラテジー
  • 金城光代 リウマチ・膠原病の治療薬の使い方 洋土社
  • 川畑仁人 リウマチ・膠原病治療薬ハンドブック 文光堂

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