シェーグレン症候群

シェーグレン症候群ってどんな病気?【SjS/SS】

こんにちは、今回はシェーグレン症候群について取り上げていきたいと思います!

では早速やっていきましょう!

シェーグレン症候群ってどんな病気?

シェーグレン症候群は、膠原病の一つですが、特に身体の唾液腺や涙腺といった腺組織が破壊され、乾燥症状を来す疾患です。

病態は?

シェーグレン症候群の病態は、リンパ球が涙腺や唾液腺などに浸潤することによって、眼や口の乾燥症状を引き起こします。

国内にどれくらいの患者さんがいるの?

2010年度の厚労省特定疾患自己免疫疾患調査研究班の検討では、シェーグレン症候群の有病率は、66000人と報告されています。しかし、実際にはその数倍の20~50万人程もいると予想されています。

男女比は、1 : 14 で圧倒的に女性に多く、発症年齢のピークは40 ~ 60代と言われています。




他の膠原病と合併しやすい?

シェーグレン症候群は、他の膠原病と合併しやすいのも特徴です。

合併しやすい膠原病としては、『関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症など』があります。他の膠原病に合併したシェーグレン症候群は、二次性シェーグレン症候群と言います。

また、単独で発症する場合は、一次性シェーグレン症候群と言っています。

どういった症状がありますか?

シェーグレン症候群の症状は、主に『乾燥症状』『腺外症状』に分けられます。

乾燥症状
眼球眼球:目が乾いてゴロゴロ、掻痒感、チクチクするような痛み、違和感など
口腔口腔:口が乾く、虫歯ができやすい、飲み物なしではパンやビスケットが食べにくい、口腔内や口唇の焼けるような痛み、味覚の変調など
その他性交時痛があるなど
腺外症状
皮膚レイノー症状
紫斑
環状紅斑
筋骨格系関節痛 / 関節炎
筋痛
甲状腺自己免疫性甲状腺疾患
呼吸器間質性肺炎
消化器原発性胆汁性肝硬変(PBC)
自己免疫性肝炎(AIH)
腎臓間質性腎炎・尿細管性アシドーシス
神経しびれ(末梢神経障害)
中枢神経障害→脳症、視神経脊髄炎
血液血球減少(白血球、リンパ球減少、貧血、血小板低下)
高ガンマグロブリン血症
リンパ腫
その他持続性の疲労感、全身の痛みなど

身体の症状のポイント

シェーグレン症候群で身体に現れる変化として、乾燥症状に伴い「舌が乾燥」してきたり、「舌の萎縮」を認めます。また、耳の下にある「耳下腺が腫れてくる」こともあります。

舌の萎縮

また、口腔乾燥症状に伴って「虫歯をよく繰り返す」や、「歯根部が着色する」といった変化が認めることがあります。

また、舌に口腔カンジダを示唆する白苔が付着する場合もあります。

舌のカンジダ症

検査のポイント

シェーグレン症候群で調べる検査として、血液検査、尿検査、胸部レントゲン、CT、エコー検査が特に重要です。

血液検査では、「血球減少、高IgG血症(ガンマグロブリン血症)、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体」を確認します。

血球減少は、「白血球減少、貧血、血小板減少」がそれぞれ20%程度で認められます。

白血球減少は「WBC(白血球数)」を、貧血は「 Hb(ヘモグロビン)」を、そして血小板は「Plt」をチェックします。

また、抗核抗体やRF(リウマチ因子)が陽性となることが多いです。それぞれ、70 ~ 95%、30 ~ 60%で陽性となります。

シェーグレン症候群に特徴的な抗体として、「抗SS-A抗体、抗SS-B抗体」があります。それぞれ、40 ~ 85%、20 ~ 50%で陽性となります。

尿検査では、主に間質性腎炎や尿細管性アシドーシスを合併していないかをチェックします。

胸部レントゲンやCT検査にて、間質性肺炎やリンパ腫、またその他臓器病変があるかなどをチェックします。

エコー検査では、「耳下腺や顎下線といった唾液腺の内部エコーの不均一化」を認めます。これは、シェーグレン症候群による唾液腺の破壊を反映しています。

眼科でチェックすること

シェーグレン症候群で認める眼症状については、通常眼科で診察をしてもらいます。

眼科では、「シルマー試験、フルオレセイン染色検査やローズベンガルテスト」を行います。

シルマー試験は、涙液量を調べる検査で、両眼の目尻に専用の試験紙を挟みこみ、5分間に分泌される涙の量を検査します。 主にドライアイなどの涙器疾患の診断に行われます。

フルオレセイン染色検査は、眼球表面(角膜表面)の傷の有無等を調べる検査です。
点眼投与で局所麻酔をしてから、蛍光色素をしみ込ませたフルオレセイン試験紙を静かに眼球にあて、色素を眼球全体に行きわたらせます。
角膜表面に傷があると、その部分が染色されます。

ローズベンガルテストは、ローズベンガルという色素で角結膜の状態を調べる検査です。 ムチン層のない乾いた部分が赤く染色され、その部分の角結膜では、涙の膜が途切れやすくなっていることがわかります。

以上の検査を行うことによって(全て行うわけではありません)、ドライアイの重症度を判定します。

シェーグレン症候群の診断基準

今回は厚生労働省研究班(1999 年)のシェーグレン症候群改訂診断基準を参考にします。

1.生検病理組織検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
 A)口唇腺組織でリンパ球浸潤が 1/4m m²当たり 1focus 以上
 B)涙腺組織でリンパ球浸潤が 1/4m m²当たり 1focus 以上
2.口腔検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
 A)唾液腺造影で stage I(直径 1mm 以下の小点状陰影)以上の異常所見
 B)唾液分泌量低下(ガムテスト 10 分間で 10mL 以下,またはサクソンテスト 2 分間 2g 以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見
3.眼科検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
 A)Schirmer 試験で 5mm/5min 以下で、かつローズベンガルテスト(van Bijsterveld スコア)で陽性
 B)Schirmer 試験で 5mm/5min 以下で、かつ蛍光色素(フルオレセイン)試験で陽性 4.血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
4.血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
 A)抗 SS-A 抗体陽性
 B)抗 SS-B 抗体陽性

診断 → 以上 1、2、3、4のいずれか2項目が陽性であればシェーグレン症候群と診断します。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。参考になりましたら、高評価、コメントを頂けましたら嬉しいです?またTwitterのフォローもお願いします?

“今回のまとめ”
  • ドライアイやドライマウスといった乾燥症状を主症状とする膠原病である。
  • リウマチや全身性エリテマトーデスなどと合併しやすい。
  • 腺外症状も頻度は多くないが、注意が必要である。

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