こんにちは、今回は「多発性筋炎・皮膚筋炎の皮疹 一覧」について取り上げていきたいと思います。
多発性筋炎や皮膚筋炎の皮疹には、実は沢山の種類があるんです。
ゴットロン兆候やヘリオトロープ疹は知っていましたが、その他にもあるんですね。
ぜひ知りたいですっ!
※ ちなみに、皮膚症状がない筋炎のことを多発性筋炎といいます。
皮膚筋炎で頻度の高い皮疹
まずは、皮膚筋炎で認めるメジャーな皮疹をみてみましょう。
皮膚筋炎の頻度の高い皮疹は主に3つあり、
『 ①ゴットロン丘疹、②ヘリオトロープ疹、③ゴットロン徴候 』
の3つがあります。
ゴットロン丘疹
(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/multimedia/image/v38403868_ja より引用)
ゴットロン丘疹は、両手指関節背面の扁平隆起性丘疹のことです。
ヘリオトロープ疹
(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q07.html より引用)
ヘリオトロープ疹は、眼瞼、眼周囲の浮腫性紫紅色斑のことです。
皮膚筋炎の約30%で観察され、とても頻度の多い皮疹です。
ゴットロン徴候
(https://medu4.com/101G53 より引用)
ゴットロン徴候は、肘頭や膝などの関節伸側に認める角化性紅斑のことです。
えっ、これも皮膚筋炎の皮疹だったんだ!
逆ゴットロン徴候
(https://ameblo.jp/dentaku560/entry-12411919443.html より引用)
手の甲にできる「ゴットロン丘疹」は、手掌(てのひら)側にもできる場合があります。
これを『逆ゴットロン徴候』といいます。
逆ゴットロン徴候は、手掌側の関節周囲にできることが多いです。
手の甲にできるのはゴットロン丘疹で、手掌側にできるのは逆ゴットロン徴候と言いましたが、丘疹と徴候は対して大きな違いはなく、あまり気にしなくても大丈夫です。
一応、正確にはこの様に言いますということです。
V-neck sign
(https://kawamuranaika.jp/etc/5158 より引用)
頚部から胸の上側に掻痒感の強いびまん性浮腫性紅斑を生じます。
これを、その皮疹の形状から『V ネックサイン』と言います。
ショールサイン shawl sign
(https://kawamuranaika.jp/etc/5158 より引用)
頚部から背中の上側に掻痒感の強いびまん性浮腫性紅斑を生じます。
これを、ショールをまとった様な形状から『ショールサイン shawl sign』と言います。
機械工の手 mechanic’s hand
(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q07.html より引用)
機械工の手指に出来る職業性変化に似た症状も知られており、これを『機械工の手』と言います。
メカニックスハンドとも呼ばれます。
後爪郭の毛細血管拡張
(http://www.touei-clinic.jp/app/Blogarticleview/index/ArticleId/374 より引用)
皮膚筋炎では、爪の後爪郭(こうそうかく)という部分の毛細血管が拡張し、画像のように赤く見えることがあります。
後爪郭は、爪甲を取り囲んでいる皮膚の部分のことです。
ただし、後爪郭の毛細血管拡張は皮膚筋炎に特異的というわけではなく、強皮症など他の膠原病でも認める所見です。
また、毛細血管拡張以外でも、色素沈着、色素脱失、爪上皮の黒色出血点なども爪で認める所見です。
皮膚筋炎の皮疹のポイント
いろいろ、皮疹を見ていただきましたが、皮膚筋炎の皮疹には大きな共通点があります。
それは、指や肘、膝の関節の伸側に皮疹を認めるということです。
ゴットロン丘疹も、ゴットロン徴候も、基本的には関節伸側に認めるということです。
これを知っておくと、皮膚筋炎の皮疹なのかの見分けが付きやすくなります。
ただし、それ以外のヘリオトロープ疹やショールサイン、Vネックサインは関節伸側というわけではないので、注意してください。
まとめ
皮膚筋炎で陽性となる抗体について
・抗ARS抗体
・抗Mi-2抗体
・抗MDA5抗体
・抗TIF1-γ抗体
・抗NXP抗体
など
皮疹で参考になる血液検査の所見
残念ながら、皮疹の活動性を反映するような血液検査の項目はありません。
皮疹が拡大傾向にあるか、消退傾向にあるかによって判断していきます。
皮疹の治療について
悪性疾患を合併する場合
皮膚筋炎は、膠原病の中でも悪性疾患を合併しやすいため、悪性疾患を検索することは大切です。
抗体にもよりますが、成人の皮膚筋炎の患者さんでは、「30 – 40%」で悪性疾患を合併すると言われています。
私的には、もう少し少ない印象はありますが。
ただ、その中でも特に『抗TIF1-γ抗体陽性皮膚筋炎』の場合は、皮膚筋炎の中でも最も悪性疾患を合併する頻度が高いため、消化管内視鏡検査や、時に造影CT検査などを用いて、しっかり調べること大切です。
悪性疾患を認めた場合は、それぞれの悪性疾患に対する治療を優先します。
悪性疾患の合併がない場合
悪性疾患の合併がない場合は、皮疹は皮膚筋炎治療の優先順位は高くなく、それぞれの肺や筋症状などを対象とした治療を行います。
掻痒感が強い場合は、抗ヒスタミン薬(アレグラ®︎、アレロック®︎、ザイザル®︎など)や外用薬を併用したりします。
参考
- 清水宏 あたらしい皮膚科学 第3版 中山書店
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。