検査のみかた

【 簡単にわかる 】血液検査での貧血の見方!

こんにちは、今回は「【簡単にわかる】血液検査での貧血の見方!」について取り上げていきたいと思います。

血液検査を見ながら・・・

あー、これは貧血がありますね

えっ、貧血?!

と思うことありますよね。でも、先生の話が早かったりで、何が原因で貧血かがよくわからない。

今回はそんな時のために血液検査で見る、簡単な貧血の見方をご紹介したいと思います!

貧血はここに注目!

血液検査で貧血を見る項目は、実はそんなに多くありません!

まずは、この「6つの血液検査項目」に注目してください。

  • Hb → STEP 1
  • Ret(網状赤血球) → STEP 2
  • Fe, TIBC, フェリチン → STEP 3
  • MCV → STEP 4

※ ただし、通常の血液検査では、Ret、Fe、TIBC、フェリチンについては行われないことも多いです。というのも、こういった検査は、血液検査で貧血がわかった時点で、次に貧血の精査を行う場合に行われることが多いため、貧血があった際に、原因を調べるのにこの6項目に注目してみてください。

院内で血液検査ができる施設では、通常いずれの検査も施行可能です。

STEP 1 Hb(ヘモグロビン:HGB)→ 貧血の程度を確認

まず、貧血がどの程度か確認することが重要です。

そこで、「Hb(ヘモグロビン)」に注目します。Hb(HGB)を見ると、以下のような基準で貧血の治療を考慮します。

・Hb ≧ 10 → 症状があれば、治療を考慮

・7 ≦ Hb < 10 → 原因に合わせて治療!

・Hb < 7 → 赤血球輸血!

 

また、貧血は、原因をしっかり見つけることが大切です

それは、原因によって治療法が違うためです。

血液検査では、主に以下の貧血の原因を知ることができます。

  1. 溶血性貧血
  2. 出血性貧血
  3. 鉄欠乏性貧血
  4. 慢性炎症による貧血
  5. 大球性貧血(巨赤芽球性貧血など)
  6. その他様々な貧血

今回は、それぞれの原因での血液検査の見方についてを詳しく解説して行きます!

STEP 2 Ret(網状赤血球)→ 溶血性貧血 or 急性出血を見分ける

Retは毎回血液検査でとるわけではないですが、貧血を認めた際に、鑑別に有用な検査です。

Retは、網状赤血球のことで、「レティキュロ」と言ったりします。

網状赤血球(Ret)とは、幼弱な赤血球のことで、

Retが上昇する疾患は、2つの原因が考えられます。

それは、

  1. 溶血性貧血
  2. 急性出血

です。

溶血性貧血

今回は、血液検査での貧血の見方ですので、溶血性貧血の詳しい説明は避けます。

溶血性貧血とは、赤血球が血管内で、壊れて溶血してしまう貧血のことです。

溶血性貧血では、『Ret(網状赤血球)』が上昇しますが、その他にも変化する項目があるので、そこにも注目します。

その項目とは、『LD(H)、D-Bil(間接ビリルビン)、ハプトグロビン』です。

  一般検査項目で可能
LD(H)
D-Bil
(間接ビリルビン)

(通常はT-Bil(トータルビリルビン)で測られることが多い)
ハプトグロビン外注
溶血性貧血来たす疾患
  • 自己免疫性溶血性貧血
  • 遺伝性球状赤血球症
  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症
  • 血栓性血小板減少性紫斑病など


治療は、それぞれの疾患に合わせた治療を行います。

急性出血

Retが上昇するのに、もう一つ『急性出血』があります。

ただ、消化管出血など、1秒2秒を争うような重症の出血が疑われる場合は、Retの結果には時間がかかるので、それよりも、血便や喀血などの臨床症状から判断することが多いです。

ただし、体内でじわじわと出血し、血腫を作っている場合などに、Retが上昇していると、今出血いるかの参考になったりします。


治療は、造影CTや消化管内視鏡などを行い、出血点を検索し、止血処置を行います。また、場合によっては輸血を行います。

STEP 3 Fe / TIBC / フェリチン → 鉄欠乏性貧血 or 慢性炎症による貧血を見分ける

次に、鉄欠乏性貧血と慢性炎症による貧血を見分けるために、

『 Fe(鉄)、TIBC、フェリチン 』

を確認します。

鉄欠乏性貧血は、Fe(鉄)とフェリチンが低下し、TIBCが上昇します。

逆に、慢性炎症による貧血では、Fe(鉄)とフェリチンが上昇し、TIBCが低下します。

 Fe(鉄)TIBCフェリチン
鉄欠乏性貧血
慢性炎症による貧血 ~ 正

鉄は、赤血球を作るために必要な材料となります。フェリチンは、体内にある鉄の貯蔵しているかを表す指標です。

鉄欠乏性貧血の場合は、鉄剤を内服し、フェリチンまでしっかり上昇するまでは治療を継続します。

慢性炎症による貧血の場合は、膠原病や悪性疾患などの慢性炎症の原因を調べ、それに対する原疾患治療を行うことが、貧血の治療となります。

STEP 4 MCV 赤血球の大きさを見る → 大球性貧血を見分ける

MCVとは、赤血球1個当たりの、平均的な大きさのことです。

MCVに注目すると、赤血球の大きさから、貧血の種類を分けることができます。

小球性貧血
MCV ≦ 80
1) 鉄欠乏性貧血
2) 二次性貧血
悪性腫瘍、感染症、膠原病、肝疾患、腎臓疾患など
3) サラセミア
など
正球性貧血
MCV = 81 ~ 100
1) 出血性貧血
2) 溶血性貧血
3) 再生不良性貧血
4) 二次性貧血
5) 多発性骨髄腫
など
大球性貧血
MCV ≧ 101
1) 巨赤芽球性貧血
2) 肝疾患、甲状腺機能低下症
3) 急性出血、溶血性貧血
4) アルコール多飲
など

MCVの値によって、小球性、正球性、大球性の3種類分けられます。

小球性貧血の代表は、鉄欠乏性貧血、二次性貧血(慢性炎症による貧血)です。

正球性貧血の代表は、出血性貧血、溶血性貧血、二次性貧血(慢性炎症による貧血)です。

これは、STEP1~3でやってきたもので、3までのSTEPで大体鑑別することができます。

なので、MCVによる貧血の鑑別は、主に大球性貧血を見つけることに注目して行きます。

大急性貧血は、巨赤芽球貧血とその他の疾患を鑑別することが大切です。

巨赤芽球性貧血

巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12欠乏あるいは葉酸欠乏で生じる貧血を巨赤芽球性貧血といいます。骨髄で特徴的な巨赤芽球を認めるので、そう呼ばれています。

巨赤芽球性貧血が疑われた場合は、ビタミンB12や葉酸を見分けるために、さらに血液検査でビタミンB12と葉酸を調べます。

ビタミンB12欠乏性貧血の原因のほとんどは、『悪性貧血か胃切除後貧血』です。

悪性貧血とは、抗内因子抗体による内因子欠乏が原因のビタミンB12欠乏性貧血です。

また、リウマチの方で、メトトレキサートを内服している場合は、葉酸欠乏になりやすく、これにより巨赤芽球性貧血になることが多いです。そのために、葉酸製剤(フォリアミン®︎など)を内服します。

大球性貧血のその他の原因

大球性貧血で巨赤芽球性貧血以外の原因としては、

『 肝疾患、甲状腺機能低下症、アルコール多飲 』

によっても大球性貧血を認めることがあります。

その他さまざまな貧血

以上のSTEP 4までで、頻度の高い貧血の原因を知ることができます。

STEP 4までの貧血に該当しなかった貧血を精査していきます。

具体的には、血液疾患の白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫による貧血などです。

この場合は、骨髄検査をしたりしてより詳しく調べる必要があります。(今回は詳しくは取り上げません)

“今回のまとめ”
  • STEP 1 Hb(ヘモグロビン:HGB)→ 貧血の程度を確認
  • STEP 2 Ret(網状赤血球)→ 溶血性貧血 or 急性出血を見分ける
  • STEP 3 Fe / TIBC / フェリチン → 鉄欠乏性貧血 or 慢性炎症による貧血を見分ける
  • STEP 4 MCV 赤血球の大きさを見る→ 大球性貧血を見分ける

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになります!?

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