こんにちは!今回は、身体の炎症(CRP高値)に伴う血液検査の影響について詳しく解説していきたいと思います!
実は、CRPの上昇は身体の中で炎症だけでなく、他にも別の良くない影響を起こしていることがあります。
それは、血液検査でチェックすることができるので、今回簡単に解説していきたいと思います!
えっ、それは知らなかった!
どういった影響があるのか詳しく知りたいです。
CRP高値の時の血液検査の影響について
もし、関節リウマチといった自己免疫疾患などが原因で、身体の中で炎症が起きている場合、つまり血液検査でCRPの上昇が持続している場合、それに伴って血液検査の項目が影響してしまうものがあります。
それは、主に以下の3つになります。
〈 慢性的なCRP上昇によって起きる血液検査の変化 〉
- 貧血(慢性炎症による)
- Alb(アルブミン:栄養状態の指標)
- Plt・フィブリノーゲン・Dダイマー(炎症による上昇)
それでは、それぞれ詳しく見ていきたいと思います。
① 炎症によって、Hb(ヘモグロビン HGB)が低下する!
Hb(HGB)は「ヘモグロビン」のことで、Hbの低下は貧血を示しています。
貧血には、さまざまな原因がありますが、炎症(CRP上昇)によっても貧血が起こります。
では、どういった流れで炎症によって貧血を認めるのでしょうか?
身体で炎症が起きる。
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炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6、IFNβなど)が分泌される。
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炎症性サイトカインが肝臓に作用し、肝臓でヘプシジンの合成が亢進する。
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ヘプシジンが、『 ① 鉄の再利用を阻害したり 』、また『 ② 小腸からの鉄の吸収を阻害する』。
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これにより、鉄の利用障害(Fe ⬆︎、フェリチン ⬆︎)が起き、ヘモグロビンの合成が出来なくなる。
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ヘモグロビンが低下することで、赤血球が作れなくなる(慢性炎症による貧血が起きる)。
さらに、炎症が慢性化すると、貧血はさらに進行し、『 慢性炎症による貧血 』の段階になっていきます。
例えば、リウマチや血管炎の方で慢性的にCRPが上昇している場合、貧血を伴っていることがあります。
このように炎症によって鉄が小腸から吸収されず、また、余った鉄の再利用も障害されてしまうため、赤血球が上手く作れずに貧血を起こしてしまうのです。
血液検査での慢性炎症のチェックの仕方
血液検査での慢性炎症による貧血のチェックの仕方は、
『 鉄(Fe)⬆︎、フェリチン(貯蔵鉄)⬆︎、TIBC(総鉄結合能)⬇︎』
となっているかを確認しましょう。
(鉄、フェリチン、TIBCは、通常毎回の採血で採られるものではなく、貧血の原因検索や、鉄欠乏性貧血がある方のフォローで採られたりします。)
〈 貧血とヘプシジンの関係図 〉
( 出典:https://medical.zeria.co.jp/product/ferinject/ironaction/img/tyouseiinsi_img02.png )
② 炎症によって、Alb(アルブミン)が低下する!
CRPは「炎症性タンパク」と呼ばれます。
厄介なことに、炎症(CRP上昇)によって、Alb(アルブミン)も低下してしまいます。
では、なぜ炎症によって、アルブミンも低下してしまうのでしょうか?
その名の通りCRPはタンパク質であり、このCRPは肝臓で合成されています。
また、アルブミンも肝臓で合成されるタンパク質です。
身体に炎症があると、肝臓は CRPの方のタンパク質を頑張って作ろうとするため、
アルブミンの合成が低下し、
『低アルブミン血症』になってしまうのです。
※ いくら肝臓といっても、同時に2つのことはできないのです。
アルブミン(Alb)は、栄養状態の指標である
アルブミンは、血液中に最も多くを占めるタンパク質で、『 栄養状態の指標 』と言われています。
アルブミンの値によって、低栄養などの評価をできますが、
栄養状態の評価のためには、炎症状態でないこと(CRP高値でないこと)が条件となります。
CRP高値でないことを確認して、下の表からご自身の栄養状態を確認してみてください。
Alb (アルブミン) | 栄養状態 |
≧ 3.6 | 正常 |
2.8 ~ 3.5 | 軽度栄養障害 |
2.0 ~ 2.7 | 中等度栄養障害 |
≦ 2.0 | 高度栄養障害 |
③ 炎症によって、血栓凝固系マーカーのPlt(血小板数)、フィブリノーゲン、Dダイマーが上昇する!
他に、炎症反応に伴って変化するものに、『血小板(Plt)、フィブリノーゲン、Dダイマー』あります。
Plt(血小板数)、フィブリノーゲンやDダイマーは、血液凝固系を評価する指標です。
身体に炎症が起きると、炎症に伴って、
Plt(血小板数)、フィブリノーゲンやDダイマーも上昇します。
これは身体の炎症に伴って上昇するもので、通常身体に大きな害はありません。
まれに、感染症などで炎症が著明に高い状態が続くと、 DIC(播種性血管内凝固症候群)という過凝固状態が起きてしまう場合があります。
DICは、血栓凝固系が高い炎症により狂ってしまった状態のことで、感染症に伴うDICの場合は、通常、感染症の治療を優先します。
まれに、重症の場合は致死的になることもあり注意が必要です。
まとめ
以上のように、炎症反応が高値の時には、
① 貧血があるか
② Albは低下していないか
③ Plt、フィブリノーゲン、Dダイマーが上昇していないか
をチェックしてみてください。
以上の変化を認めた場合は、炎症反応(CRP高値)によるかもしれません。
炎症反応に伴う変化の場合は、貧血もAlbもPlt・フィブリノーゲン・Dダイマーも炎症が改善すれば、みんな改善します。
なので、治療は炎症を沈めることが第一優先となります。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。