こんにちは、今回は脱水の時に、血液検査ではどんな変化が起きるのかを見ていきたいと思います。
私も薬を多く飲んでいるから、先生には脱水には気をつけてとよく言われます。
血液検査での脱水の見方
脱水になるとどうなるのか
私たちの体の60%は、水分でできていると言われるほど、水分はとても大切です。
そのため体から急激に水分がなくなると、以下のような症状が起きます。
- めまい
- 倦怠感、だるさ
- 筋肉痛(こむら返り、足がつる)
- 吐き気
- 尿量減少
- 意識障害 etc…
さらに、脱水時に気をつけたいのは、薬剤の血中濃度が上昇することで、薬剤の副作用が強く現れてしまう可能性があります。
特に、自己免疫疾患などでたくさんの薬を飲んでいる方は、注意が必要です。
夏は、脱水がとても起こりやすいです。こまめに水分補給をして脱水を予防し、夏を乗り切ることが薬の副作用を起こさないためにも非常に大切です。
脱水時に起こる変化
身体が脱水状態の時は、どういった変化が起きるのか、その流れを見てみましょう。
水分摂取量低下や高温による発汗量が増加する
➡︎ 脱水が起きる
➡︎ 循環血液量低下による腎機能低下が起きる
➡︎ 血液検査の変化が起きる:Cre⬆︎、BUN⬆︎(Alb↑、TP↑、UA↑、Hb↑、HCT↑)
主にこのような変化が起こっています。
逆に、医師は、血液検査の結果を見て、患者さんが脱水の状態にあるのかなと推測しています。
脱水で注目する血液検査の項目!
では、脱水時に血液検査で注目すべき項目を見てみましょう。
脱水を見るときは、以下の7項目に注目します。
- Cre(クレアチニン)
- BUN(尿素窒素)
- 脱水時に影響するその他の項目
- Alb(アルブミン)、TP(総蛋白)
- UA(尿酸)
- Hb(ヘモグロビン)
- HCT(ヘマトクリット)
脱水を判断する4 STEP!
では、以上の7項目を使って、脱水を判断する4STEPを見ていきたいと思います。
STEP ❶ まずは、この2つに注目する!
Cre(クレアチニン)⬆︎
脱水の時は、血管内の水分が減少します。
それによって、腎臓の血流量も低下するので、腎機能を示すクレアチニン(Cre)の値が上昇します↑。
BUN(尿素窒素)⬆︎
BUN(尿素窒素)は、タンパク質の終末代謝産物です。
脱水の際は、腎機能低下に伴ってBUNも上昇します。
STEP ❷ BUN / Cre比を確認する!
次にBUNとCreの比をとって、『 BUN / Cre 』を計算します。
BUN / Cre比が、20以上となると、より脱水の可能性が高まります。
BUN / Cre | 原因 | |
10以上 | 脱水、心不全、消化管出血、蛋白異化亢進 | |
20以上 | 脱水 |
CreやBUNを見るときに、とても大切なポイントがあります。
それは、『 前回や前々回の採血結果と今回のものを比較すること 』です。
血液検査は、その時に採った1点だけを見るのではなく、経時的変化で見ることで、異常か異常でないかをより鋭敏で正確に知ることができます。
前回、前々回は正常だったけど、今回急にCreとBUN上昇が上昇してましたっ?
これは、その原因が脱水であるかは別として、今回の採血結果は、問題がある可能性が高いことを示唆しています。
STEP ❸ 脱水時に変化するその他の項目に注目する!
脱水時は、血液中の水分が低下することで、CreやBUN以外も変化を示します。
脱水の影響を受けて変化する項目は、
主にAlb(アルブミン)、TP(総蛋白)、UA(尿酸)、Hb(ヘモグロビン)、HCT(ヘマトクリット)です。
脱水時に全ての項目が、変化するわけではありませんが、上昇する項目が多ければ、脱水による影響がより高まります。
※ ただし、それぞれの検査項目は、脱水以外の原因でも上昇するため、それが本当に脱水による影響かどうかは、総合的に判断する必要があります。
基準値 下限値〜上限値 | 脱水時の変化 | 検査でみているものやポイント | ||
Cre (クレアチニン) | 0.46 〜 0.79 mg/dl | ⬆︎ | 腎機能の指標 | |
BUN (尿素窒素) | 8.0 〜 20.0 mg/dl | ⬆︎ | タンパク質の終末代謝物。 腎機能の指標 | |
Alb (アルブミン) | 3.8~5.3 mg/dl | ⬆︎ | 血液中に存在するタンパク質の中で、アルブミンは最も多く含まれている | |
TP (総蛋白) | 6.5 ~ 8.3 mg/dl | ⬆︎ | 血液中にあるタンパク質の総量で、アルブミンとグロブリンを合わせたもの | |
UA (尿酸) | 男:3.5 ~ 7.5 mg/dl 女:2.5 ~ 6.5 mg/dl | ⬆︎ | 痛風などの高尿酸血症で上昇する以外にも、脱水でも上昇するので注意が必要! | |
Hb (ヘモグロビン) | 12 〜16 g/dl | ⬆︎ | 貧血の指標 | |
HCT (ヘマトクリット) | 34 〜 42 % | ⬆︎ | ヘマトクリットは血液中の赤血球が占める割合。 脱水の場合は、血液中の水分が低下することで、HCTは上昇する |
〈 脱水時に上昇する採血項目一覧 〉
STEP ❹ 本人の水分摂取や発汗状況を確認する
最後に大切なのは、患者さん本人が、しっかりと水分摂取をしていたのか、発汗が多い状況が続いていなかったかと、身体に水分不足が起きていないかを確認します。
普通に水分は十分に摂っていて、暑い夏でもクーラーの部屋で生活していれば、脱水は起きにくく、腎機能(Creなどの上昇)の異常は別の原因である可能性が高いでしょう。
なので、血液検査の結果と自分の水分摂取や発汗状況などを照らし合わせて、その採血結果が脱水であったのかを判断することが非常に大切です。
バイタルサインや身体所見でも脱水が予想できる
血圧や心拍数、体温などをバイタルサインと言います。
脱水時には、このバイタルサインや身体所見にも変化が起きるので、こちらも脱水を知る手がかりとなります!
- HR (心拍数)⬆︎
- 脱水時には、頻脈(>100 bpm)になる
- 口腔内乾燥
- 皮膚のツルゴール反応低下 ≧ 2秒以上かかる
〈 ツルゴール反応とは? 〉
ツルゴール反応は、手の甲を親指と人差し指でつまんで、少し持ち上げて、離した時の戻り具合をみる反応のことをいいます。
脱水があると元に戻るまでに時間がかかり、2秒以上かかると脱水を疑います。
〈 画像引用:http://izumidateruo.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-e141.html 〉
まとめ
- 脱水時には、循環血液量低下によって腎機能低下が起きる。
- 血液検査では、Cre、BUN、Alb、TP、UA、Hb、HCTの上昇 ⬆︎ を認める。
- BUN / Cre比 ≧ 20 は、脱水が強く疑われる。
- 血液検査は、前回との変化を比較することで、より異常がはっきりする。
- 本人の水分摂取量や発汗過多があった等の情報も脱水を判断する手がかりになる。
- 水分摂取などの情報、身体所見、バイタルサイン、血液検査などから総合的に脱水を判断する。
夏はこまめに水分補給をして、脱水を防ぎましょう!
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。