治療薬

気をつけた方がよい併用薬 その2【薬の飲み合わせ】

こんにちは、今回は「気をつけた方がよい併用薬 その2」について取り上げていきたいと思います。

今回は、気をつけた方がよい併用薬 の『その2』なんですね!
よろしくお願いしますっ!

併用薬について

お薬は、本当にたくさんの種類があり、一つ一つの併用薬を覚えるのは結構大変です。

今回は、臨床でよく使用されて、また併用される頻度も高い薬剤に絞って、大切なポイントをご紹介していきたいと思います。

添付文書を見ると、沢山の薬物相互作用の情報が載っています。

今回は、一般臨床での使用頻度の高い薬剤に絞って紹介しています

なので、記載した注意すべき併用薬は全てではありませんので、詳しく知りたい方はそれぞれの添付文書をご参考ください。

また、薬の分類で『プロトンポンプ阻害薬、抗てんかん薬、抗腫瘍薬』と記載していますが、それぞれの薬がどういった作用の薬かの目安で記載しており、例えばプロトンポンプ阻害薬の全てが該当するわけではないことを、予めご了承ください。

つまり、同じプロトンポンプ阻害薬でも、相互作用があるものとないものがある場合があります

薬物相互作用は、全てを説明すると説明が難しくなったり、情報が膨大になりますので、そこのところをご了承いただき、ご参考いただければと思います。

併用注意薬については、禁忌薬ではないので、日常診療でも併用薬とともに処方されることは十分にあります

通常は、必要性を考慮して処方されることが多いですので相互作用ある薬剤同士なのだとご理解した上で、内服されるのが大切です。

ロキソニン®︎(ロキソプロフェン)

ロキソニン®︎(ロキソプロフェン)も、解熱鎮痛薬としてとてもよく使われれる薬ですね。

ロキソニン®︎には、高い鎮痛効果を持っているのが特徴ですが、

腎障害の副作用があり、使用回数や使用量には、十分に注意しながら使っていく必要があります。

なので、痛み止めとしてただ漠然と使うのはあまり好ましくありません。

そんなロキソニン®︎(ロキソプロフェン)にも、薬剤相互作用を注意しなければならない併用薬があります。

ロキソニン®︎の併用注意薬

併用薬の作用が増強する可能性がある

  • 抗凝固薬
    1. ワーファリン®︎(ワルファリン)
    2. リクシアナ®︎(エドキサバン)
  • アマリール®︎(グリメピリド)(スルホニル尿素系血糖降下薬)
  • クラビット®︎(レボフロキサシン)(痙攣誘発作用を増強することがある)
  • メトトレキサート(リウマトレックス®︎)
  • リーマス®︎(炭酸リチウム)(リチウム中毒を起こす可能性がある)

併用薬の作用を減弱する恐れがある

  • 降圧薬
    1. ACE阻害薬(レニベース®︎(エナラプリル)、タナトリル®︎(イミダプリル)など)
    2. アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ニューロタン®︎(ロサルタン)、ディオバン®︎(バルサルタン)、ミカルディス®︎(テルミサルタン)など)
  • チアジド系利尿薬
    1. フルイトラン(ヒドロクロロチアジド)(利尿・降圧作用を減弱する恐れがある)
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ワーファリン®︎(ワルファリン)

ワーファリン®︎(ワルファリン)は、脳梗塞などの血栓塞栓症の予防や治療に対してよく使用される抗凝固薬です。

抗凝固薬と抗血小板薬の違いは?

抗凝固薬と抗血小板薬は、どちらもなんとなく聞いたことがある方も多いかも知れません。

でも実は、その違いはよく分からない方も多いかと思います。

抗凝固薬と抗血小板薬をまとめて、『抗血栓薬』とも呼ばれています。

抗血小板薬は、血液を固まらせる血小板の働きを抑えて、血流の早い血管での血栓を予防します

つまり動脈の血栓を予防します

抗凝固薬は、血液を固める凝固因子の働きを抑え、血流の遅い血管で血液が滞るために起こる血栓を予防します。(凝固因子は、血液を固める『のり』のような働きをします)

つまり、静脈の血栓を予防します

〈 抗血栓薬の例 〉

  1. 抗血小板薬
    • バイアスピリン®(アスピリン)、プラビックス®︎(クロピドグレル)、エフィエント®(プラスグレル)、プレタール®(シロスタゾール)など
  2. 抗凝固薬
    • ワーファリン®(ワルファリン)、プラザキサ®(ダビガトラン)、イグザレルト®(リバーロキサバン)、エリキュース®(アピキサバン)、リクシアナ®(エドキサバン)など
POINT

抗血小板薬は、動脈性血栓の予防で、抗凝固薬は、静脈血栓の予防のために用いられる。

ワーファリン®︎(ワルファリン)の併用注意薬

ワーファリンは、主として肝臓の薬物代謝酵素の『CYP(シトクロムP450)2C9』によって代謝されます。

なので、薬物相互作用の機序が不明な薬剤もありますが、薬物代謝にCYP2C9が関連する併用薬では相互作用が起こる可能性があります。

〈 併用禁忌 〉

  • ケアラム®︎(イグラチモド)
  • グラケー(メナテトレノン)
  • ミコナゾール

関節リウマチでよく使われるケアラム®︎とワーファリンの併用は禁忌になりますので注意が必要です。

ワーファリン®︎の併用注意薬

ワーファリン®︎の作用が増強する可能性あり

  • 抗てんかん薬
    1. アレビアチン®︎(フェニトイン)(ワーファリンの作用を減弱する場合もあり)
    2. ホストイン®︎(ホスフェニトイン)(ワーファリンの作用を減弱する場合もあり)
    3. デパケン®︎(バルプロ酸)
  • 解熱鎮痛薬
    1. カロナール®︎(アセトアミノフェン)
    2. セレコックス®︎(セレコキシブ)
    3. トラマール®︎ / ワントラム®︎(トラマドール)
    4. モービック®︎(メロキシカム)
    5. ブルフェン®︎(イブプロフェン)
    6. インドメタシン
    7. ハイペン®︎(エトドラク)
    8. ボルタレン®︎(ジクロフェナク)
    9. ロキソニン®︎(ロキソプロフェン)
  • トリプタノール®︎(アミトリプチン)(三環系抗うつ薬)
  • パキシル®︎(パロキセチン)(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
  • サインバルタ®︎(デュロキセチン)(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
  • アンカロン®︎(アミオダロン)(抗不整脈薬)
  • 高脂血症治療薬
    1. リポバス®︎(シンバスタチン)
    2. クレストール®︎(ロスバスタチン)
    3. ベザトール®︎(ベザフィブラート)
  • 胃薬
    1. オメプラール®︎(オメプラゾール)
    2. タガメット®︎(シメチジン)
  • メルカゾール®︎(チアマゾール)(抗甲状腺薬)
  • バイアスピリン®︎(アスピリン)(抗血小板薬)
  • 痛風治療薬
    1. ザイロリック®︎(アロプリノール)
    2. ベネシッド®︎(プロベネシド)
    3. ユリノーム®︎(ベンズブロマロン)
  • 抗リウマチ薬
    1. アラバ®︎(レフルノミド)(抗リウマチ薬)
    2. アザルフィジン®︎(サラゾスルファピリジン)
  • 抗菌薬
    1. マクロライド系(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)
    2. ペニシリン系
    3. テトラサイクリン系
    4. セフェム系
    5. アミノグリコシド系
    6. ST合剤
  • イスコチン®︎(イソニアジド)(抗結核薬)
  • アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール)

ワーファリン®︎の作用が低下する可能性あり

  • テグレトール®︎(カルバマゼピン)
  • デジレル®︎ / レスリン®︎(トラゾドン)(セロトニン遮断再取り込み阻害薬)
  • ステロイド(プレドニゾロンなど)(ワーファリンの作用を増強する場合もあり)
  • イムラン®︎ / アザニン®︎(アザチオプリン)(免疫抑制薬 / 抗腫瘍薬)
  • リファジン®︎(リファンピシン)(抗結核薬)
  • ビタミンK含有食品
    1. 納豆
    2. クロレラ食品
    3. 青汁

併用注意薬を使用している時の対策は何かありますか?

相互作用のある併用薬を飲む場合もあるかと思います。

ワーファリンは、意外にも相互作用の多いお薬ではありますが、

その場合は、『 PT-INR(プロトロンビン時間 international sensitivity index : 国際感度表示)』をしっかりとコントロールをしながら内服を続けていくことが大切です。

PT-INRの目安

PT-INRの目安
通常2.0 〜 3.0
高齢者1.6 〜2.6

メトトレキサート(リウマトレックス®︎)

メトトレキサートは、関節リウマチの第一選択薬であるだけでなく、

乾癬(尋常性、関節症性、膿疱性、紅皮症)、多発性筋炎・皮膚筋炎、急性白血病、慢性リンパ性白血病など多くの疾患で使用されています。

ただし、リウマチなどで使用される用量と、悪性腫瘍などで使用される用量は違いがありますのでご注意ください。

これは、免疫抑制目的に使用される量と、抗腫瘍目的で使用される量が違うためです。

メトトレキサートは、主に腎排泄ですが、いくつか相互作用がある薬剤があります。

メトトレキサート(リウマトレックス®︎)の併用注意薬

メトトレキサートの副作用(骨髄抑制、肝・腎・消化器障害など)が増強されることがある併用薬

  • 解熱鎮痛薬
    1. ロキソニン®︎(ロキソプロフェン)
    2. モービック®︎(メロキシカム)
    3. ブルフェン®︎(イブプロフェン)
    4. インドメタシン
    5. ハイペン®︎(エトドラク)
    6. ボルタレン®︎(ジクロフェナク)
  • アレビアチン®︎(フェニトイン)(抗てんかん薬)
  • 抗菌薬
    1. テトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシン®︎(ミノサイクリン)、ビブラマイシンなど)
    2. バクタ®︎ / ダイフェン®︎(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)
    3. ペニシリン系抗菌薬(ピペラシリンなど)
    4. シプロキサン®︎(シプロフロキサシン)
    5. ベネシッド®︎(プロベネシド)(尿酸排泄促進薬)
  • アラバ®︎(レフルノミド)(抗リウマチ薬)
  • プロトンポンプ阻害薬
    • タケプロン(ランソプラゾール)、パリエットなど

メトトレキサート(リウマトレックス®︎)は、基本的に、併用薬によるメトトレキサートの作用が増強する可能性を注意する必要があるのですね!

ネオーラル®︎ / サンディミン®︎(シクロスポリン)

免疫抑制薬の中でも、ネオーラル®︎(シクロスポリン)やプログラフ®︎(タクロリムス)は、薬物相互作用の多いのが特徴です。

なので、これらを内服されている方は、他の内服薬をしっかりチェックすることが大切です。

ネオーラル®︎ / サンディミン®︎(シクロスポリン)とプログラフ®︎(タクロリムス)は、

CYP3A4によって代謝され、またCYP3A4の阻害作用も有します

薬物代謝酵素の CYP(シトクロムP450)って何?

そもそも、CYP(シトクロムP450)ってなんなのですか?

CYP(シトクロムP450)は、主に肝臓や小腸に存在する代表的な薬物代謝酵素です。

CYPには、主に以下のものがあります。

  • CYP1A2
  • CYP2C9
  • CYP2C19
  • CYP2D6
  • CYP3A4

この中でも、『CYP3A4』は、薬物代謝の50%以上に関与しているといわれ、とても重要な薬物代謝酵素です。

今回は、CYP3A4を例にして、薬物相互作用について考えてみます。

● 併用薬の作用が増強するパターン

ある薬剤がCYP3A4の阻害作用を持つ場合、CYP3A4によって代謝される併用薬の薬物代謝が阻害されます

すると、併用薬の薬物血中濃度が上昇し、併用薬の作用が強く現れる可能性があります

● 併用薬の作用が低下するパターン

ある薬剤がCYP3A4の代謝誘導作用を持つ場合は、CYP3A4によって代謝される併用薬の薬物代謝が促進されます。

すると、併用薬の薬物の血中濃度が低下し、併用薬の作用が低下する可能性があります

※ ただし、逆に、ある薬剤自体の作用が増強したり、低下する場合もありますので、詳しくはそれぞれの添付文書をご参考ください。

なんか、複雑で結構難しいのですね?

解釈が難しい場合は、あまり気にしないで、それぞれの薬剤で、どの併用薬に注意しなければいけないかを知ることが、まずは大切です。

今回は、ネオーラル®︎ / サンディミン®︎(シクロスポリン)の併用注意薬をご紹介します。

ネオーラル®︎ / サンディミン®︎(シクロスポリン)の併用注意薬

〈 併用禁忌 〉

  • 生ワクチン(麻疹ワクチン、風疹ワクチン、生ポリオワクチなど)
  • トラクリア®︎(ボセンタン)
  • リバロ®︎(ピタバスタチン)、クレストール®︎(ロスバスタチン)
シクロスポリンの併用注意薬

シクロスポリンの血中濃度が上昇し、シクロスポリンの副作用が出る可能性あり

  • アンカロン®︎(アミオダロン)
  • カルシウム拮抗薬(降圧薬)
    1. ヘルベッサー®︎(ジルチアゼム)
    2. ペルジピン®︎(ニカルジピン)
    3. ワソラン®︎(ベラパミル)
  • エリスロシン®︎(エリスロマイシン)(抗菌薬)
  • フラジール®︎(メトロニダゾール)(抗菌薬)
  • アゾール系抗真菌薬
    1. イトリゾール®︎(イトラコナゾール)
    2. ジフルカン®︎(フルコナゾール)など
  • ボンゾール®︎(ダナゾール)
  • ザイロリック®︎(アロプリノール)(尿酸治療薬)
  • 抗腫瘍薬
    1. グリベック®︎(イマチニブ)
    2. スプリセル®︎(ダサチニブ)
  • プリンペラン®︎(メトクロプラミド)
  • アーチスト®︎(カルベジロール)(αβ遮断薬)
  • プラケニル®︎(ヒドロキシクロロキン)
  • グレープフルーツジュース

シクロスポリンの血中濃度が低下し、シクロスポリンの作用が低下する可能性あり

  • 抗てんかん薬
    1. フェノバール®︎(フェノバルビタール)
    2. アレビアチン®︎(フェニトイン)
    3. テグレトール®︎(カルバマゼピン)
  • リファジン®︎(リファンピシン)(抗結核薬)
  • パナルジン®︎(チクロピジン)
  • セイヨウオトギリソウ含有食品

腎障害が現れやすくなることがあり、頻回に腎機能検査を行うなど慎重に観察が必要

  • 抗サイトメガロウイルス治療薬
    1. デノシン®︎(ガンシクロビル)
    2. ホスカビル®︎(ホスカルネット)
  • アムビゾーム®︎(アムホテリシンB)(抗真菌薬)
  • 抗菌薬
    1. バクタ®︎ / ダイフェン®︎(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)
    2. シプロキサン®︎(シプロフロキサシン)
    3. バンコマイシン
  • フィブラート系高脂血症薬
    1. ベザトール®︎(ベザフィブラート)
    2. リピディル®︎(フェノフィブラート)
  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)(高カリウム血症も現れることがある)
    1. ボルタレン®︎(ジクロフェナク)
    2. ナイキサン®︎(ナプロキセン)
    3. インドメタシンなど

併用薬の血中濃度が上昇し、併用薬の作用や副作用が増強して現れることがある。

  • コルヒチン
  • サムスカ®︎(トルバプタン)(利尿薬)
  • 抗凝固薬
    1. プラザキサ®︎(ダビガトラン)
    2. リクシアナ®︎(エドキサバン)
  • シュアポスト®︎(レパグリニド)(血糖降下薬)
  • ジゴシン®︎(ジゴキシン)
  • スタチン系高脂血症治療薬(横紋筋融解症があらわれることがある)
    1. リポバス®︎(シンバスタチン)
    2. メバロチン®︎(プラバスタチン)など
  • テオドール®︎(テオフィリン)

その他

  • 高カリウム血症が現れる恐れがある
    1. アルダクトンA®︎(スピロノラクトン)など(カリウム保持性利尿薬)
    2. カリウム製剤(アスパラカリウム®︎など)
    3. ACE阻害剤(レニベース®︎(エナラプリル)、タナトリル®︎(イミダプリル)など)
    4. アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ニューロタン®︎(ロサルタン)、ディオバン®︎(バルサルタン)、ミカルディス®︎(テルミサルタン)など)
    5. βブロッカー(メインテート®︎(ビソプロロール)、セロケン®︎(メトプロロール)、インデラル®︎(プロプラノロール)など)
    1. ヘパリン
  • 高尿酸血症及びこれに伴う痛風があらわれることがある
    1. フルイトラン®︎(トリクロルメチアジド)(チアジド系利尿薬)
    2. ラシックス®︎(フロセミド)(ループ利尿薬)

グレープフルーツはなぜ併用してはいけないの?

実は、グレープフルーツにも、CYP3A4阻害作用があります

また、CYP3A4は小腸にも存在し、CYP3A4によって代謝される薬剤は、

グレープフルーツを食べることによって、血中濃度が上昇し、薬剤効果が上昇したり、副作用も現れやすくなってしまう可能性があるのです。

以上が、CYP3A4で代謝される薬剤と、グレープフルーツを併用してはいけない理由です。

まとめ

グレープフルーツは、小腸のCYP3A4を阻害することで、CYP3A4によって代謝される薬剤に影響を与えるため、そういった薬剤を服用中の方は、食べるのを控える。

併用注意薬を使用している時の対策は何かありますか?

シクロスポリン(ネオーラル®︎ / サンディミン®︎)は、薬物代謝酵素のCYP3A4によって代謝され、さらにCYP3A4に対する阻害作用も有し、薬物相互作用の多い薬剤です。

ですが、治療をする上で、併用注意薬を使わなければいけない場面は多く存在します。

そういった場合は、

シクロスポリンのトラフ血中濃度を至適範囲内である『100 〜 150 ng/ml』にコントロールすることが大切です。

この至適範囲内とは、副作用を生じさせないための血中濃度です。

また、トラフ血中濃度とは、薬の定常状態における最低値の血中濃度のことです。

なので、通常は、薬を内服する直前に測定します。

外来の日に、「シクロスポリンは内服しないで来てください」と言われるのは、トラフ血中濃度(最低値)を計測するためです。

ネオーラル®︎の副作用をコントールするためには、トラフ値をしっかりコントロールすることが重要なのですね!




スタチン系高脂血症薬

スタチン系高脂血症薬は、LDL-コレステロール(通称:悪玉コレステロール)の治療薬として、非常によく使われている薬剤です。

〈 スタチン系高脂血症薬の例 〉

  • クレストール®︎(ロスバスタチン)
  • リバロ®︎(ピタバスタチン)
  • リピトール®︎(アトルバスタチン)
  • ローコール®︎(フルバスタチン)など

今回は、ストロングスタチンというLDLコレステロール低下作用が強い『クレストール®︎(ロスバスタチン)』について注意が必要な併用薬について紹介していきます。

クレストール®︎(ロスバスタチン)

クレストールは薬物代謝酵素の『CYP(シトクロムP450)』では、ほとんど代謝されません

なので、CYP関連の薬物相互作用とは違いがあります。

〈 併用禁忌 〉

  • シクロスポリン(ネオーラル®︎ / サンディミン®︎)
ロスバスタチンの併用注意薬

スタチン系高脂血症薬との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。

  • フィブラート系高脂血症薬
    1. ベザトール®︎(ベザフィブラート)など
  • アゾール系抗真菌薬
    1. イトリゾール®︎(イトラコナゾール)など
  • マクロライド系抗菌薬
    1. エリスロシン®︎(エリスロマイシン)など

抗凝固作用が増強することがある。

  • ワーファリン®︎(ワルファリン)

レボレード®︎との併用で、クレストール®︎の血中濃度が上昇する可能性がある(AUCの上昇) 。

  • レボレード®︎(エルトロンボパグ)

同じスタチン系高脂血症でも、主にCYP(シトクロムP450)で代謝されるものもあります

例えば、ローコール®︎(フルバスタチン)やリピトール®︎(アトルバスタチン)は主にCYPで代謝されます。

詳しくは、各薬剤の添付文書をご参考ください。

禁忌薬は併用注意薬があったら対応はどうすればよいですか?

実際に、相互作用ある薬を内服している場合、その対応をどうしたらよいかはとても気になるところですよね。

併用禁忌薬について

併用禁忌の場合は、問答無用に、その併用薬を内服してはいけません。

また、服用する薬剤は、2つの薬のどちらが重要である薬剤かによって、使用する薬剤を決めます。

例えば、

 ケアラム®︎を飲んでいる方で、ワーファリン®︎を飲みたいなと思った場合は、2つの薬剤は併用禁忌であるため、

患者さんが抗凝固の治療をしっかり行いたい場合は、ワーファリンを選択して使用します。

併用注意薬について

併用注意の場合は、禁忌というわけではないので、臨床上、必要性を考慮し、患者さんにもしっかり説明した上で、併用することは十分考えられます。

その場合は、

  • 相互作用のある併用薬の使用については、主治医としっかり相談し納得した上で使用すること。
  • また、併用中は、症状や血液検査などから、有害事象が出ていないか定期的にチェックします。
  • 併用することで、薬剤の血中濃度に影響が出るため、用量については十分検討する。

以上のことを守り、薬の相互作用によるデメリットを回避しながら、治療を続けていくことが大切です。

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“今回のまとめ”
  1. 薬物相互作用には、主にCYP(シトクロムP450)に関与する薬剤が関係している。
  2. その中でも、CYP3A4は最も多く薬物代謝に関与し、まずはこの酵素に関与する薬剤を覚える。
  3. それぞれの薬剤が、微妙に関係が異なることもあり、添付文書をしっかり確認する。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします?

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