血管炎

結節性多発動脈炎ってどんな病気?【PN】

こんにちは、今回は「結節性多発動脈炎」について取り上げていきたいと思います。結節性多発動脈炎は、「PN」と省略して言われることもあります。

結節性多発動脈炎ってどんな病気?

結節性多発動脈炎は、血管サイズでいうと「中型血管炎」に分類されます。国内では、およそ1400人程度の患者さんがいると推定されており、頻度としては比較的稀な血管炎です。(中型血管炎で、もう一つ有名なのは「川崎病」です。)

結節性多発動脈炎の好発年齢は、50〜60歳であり、男女比は3 : 1と男性に多いとされています。

結節性動脈炎は中型動脈に炎症が起こる血管炎である

中型血管炎に分類されるように、結節性多発動脈炎は中型動脈を主として炎症を起こします。

中型動脈は、大動脈からの分枝した動脈と、そこから内臓内部に入り小型血管まで至っていない動脈が該当となります。

ただし、実際は中型血管のみ炎症が起きる訳ではなく、大型血管や小型血管も一部巻き込むこともあります。

結節性多発動脈炎は、この中型血管を中心に血管炎を起こしますが、その発症機序は不明な部分が多いです。

報告されているものは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどのウイルス感染症、薬剤(ペニシリン・サルファ剤など)の関連が言われています。

ウイルス感染症や薬剤を契機に、免疫機能が活性化し、「免疫複合体」というのを形成します。

この免疫複合体が血管壁に沈着することで、血管炎が惹起されると予測されています。

そして、中型血管炎により実に様々な症状を認めます。




結節性多発動脈炎ってどんな症状がありますか?

今回も、結節性多発動脈炎の診断基準を参考にすると、どんな症状が出てくるかイメージできてくると思うので、厚生労働省の診断基準を元にして紹介していきたいと思います。

① 発熱や体重減少
② 高血圧
③ 急速に進行する腎不全・腎梗塞
④ 脳出血、脳梗塞
⑤ 心筋梗塞、虚血性心疾患、心膜炎、心不全
⑥ 胸膜炎
⑦ 消化管出血、腸梗塞閉塞
⑧ 多発性単神経炎
⑨ 皮下結節、皮膚潰瘍、壊疽、紫斑
⑩ 多発関節痛、筋痛、筋力低下

厚労省難治性血管炎研究班の診断基準を改変

全身症状

まずは、結節性多発動脈炎は全身の血管炎であるため、全身症状を認めます。血管は、全身に張り巡らされているので、全身の血管に炎症が起こることで、「発熱、体重減少や全身倦怠感」などを認めます。

全身の動脈系

腎症状

腎臓を栄養する腎動脈に炎症を認めると、「高血圧、腎障害、腎梗塞」などを認めます。

なぜ腎動脈に炎症を認めると、高血圧を認めるかというと、腎臓は身体の循環血液量をコントロールしている臓器であり、そこには「レニンーアンジオテンシン・アルドステロン系」というホルモン系が関わっています。

腎動脈に炎症を認めることで、腎臓への血流が悪くなります。腎臓は、血液を不純物を取り除き、尿を作る機関であり、腎臓の血流が悪くなるとうまく尿を作ることができません。腎臓への血流が悪化すると、腎臓から「レニン」というホルモンが分泌されます。このレニンが身体の腎臓の血流を増やすように指令が送られます。

レニンの作用によって、「アンジオテンシン」の生成が促され、このアンジオテンシンによって血管が収縮します。血管が収縮することで、血圧が上がり「高血圧」となるのです。

降圧薬で、ACE阻害薬やARBという薬があります。ACE阻害薬は、「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」と言われ、ARBは「アンジオテンシン受容体拮抗薬」と呼ばれます。つまり、どちらもアンジオテンシンの生成を抑えることで、血管収縮を抑え、血圧を下げているのです。

話が脱線してしまいましたが、腎動脈に炎症が起こることで、腎臓への血流が悪化し、「腎障害、腎梗塞、高血圧」などの症状が起きてしまうのです。

腎動脈の模式図

消化管症状

消化管を栄養する「上腸間膜動脈や下腸管膜動脈」という動脈があります。ここに炎症が起きると、消化管に炎症がおき、消化管出血や腸梗塞・閉塞といった症状が起きることもあります。

腸管膜動脈の模式図

皮膚症状

EGPAやGPAなどのANCA関連血管炎は、紫斑という小型動脈や毛細血管の血管炎による皮膚症状が特徴ですが、結節性多発動脈炎の皮膚症状は、皮下結節や皮膚潰瘍といった、より大きい皮膚の血管の炎症のため、皮膚症状もより広い範囲になります。

(※EGPA:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、GPA:多発血管炎性肉芽腫症)

結節性多発動脈炎に認める皮膚潰瘍

検査は何がありますか?

検査は、『血液検査、尿検査、画像検査、生検』が大切です。

血液検査でみるもの

血液検査では、炎症の有無や腎機能を評価します。

炎症は、WBC(白血球数)、Plt(血小板)、CRP、赤沈(ESR1時間値)に注目します。具体的には、WBC>10000、Plt > 40万が目安となります。

腎機能は、 Cre(クレアチニン)やBUN(尿素窒素)の値に注目します。

また、ANCA関連血管炎と違い、結節性多発動脈炎には特徴的な抗体はありません。

尿検査でみるもの

尿検査では、腎臓の主に糸球体に病変がないかを確認します。

通常、結節性多発動脈炎では、糸球体の細い血管には炎症が起きないため、糸球体腎炎は稀です。

逆に、ANCA関連血管炎では、小型血管の炎症であるため、糸球体腎炎が起きます。糸球体腎炎では、『強い顕微鏡的血尿とタンパク尿』を認めます。

例外もありますが、結節性多発動脈炎は尿検査によって顕微鏡的血尿やタンパク尿が軽度であることを確認します。

画像検査でみるもの

画像検査で、最も大事なものは「造影CT検査」です。通常、ヨード造影剤を使ってCT検査を行います。造影CT検査により、主に中型動脈に血管壁の肥厚、狭窄や閉塞、また動脈瘤がないかをチェックします。

また、血管造影検査やMRI / MRA検査も行います。MRA検査は、MRI検査で特に血管を評価するのに特化した検査です。

生検でみるもの

生検は、主に皮膚病変がある場合に行われることが多いです。皮膚生検をすることにより、病理組織をみて血管炎の有無を確認します。

結節性多発動脈炎の生検による血管炎の所見

結節性多発動脈炎を診断する

結節性多発動脈炎の診断には、ANCA関連血管炎を否定することが大切です。

ANCA関連血管炎は、PR3-ANCAやMPO-ANCAという特徴的な抗体をチェックし、臨床症状や血液、画像所見をみて、総合的に判断されます。

ANCA関連血管炎に該当せず、1990年ACR分類基準を参考にし診断します。(厚生労働省の診断基準を参考にする場合もあります)

4 kg以上の体重減少
四肢、体感の網状皮斑
睾丸の自発痛または圧痛
筋肉痛、脱力、下肢の圧痛
単神経炎、多発性単神経炎、多発性神経炎
拡張期血圧が90 mmHg以上
BUNまたはクレアチニンの上昇
HBs 抗原または抗体が陽性
動脈造影の異常所見
10中型または小動脈の炎症を示唆する組織所見
[判定]10項目のうち3項目以上を満たす
ACR 分類基準(1990年)
“今回のまとめ”
  • 結節性多発動脈炎は、中型血管炎である。
  • 結節性多発動脈炎は、実に多彩な症状を認める。
  • 診断には、通常ANCA関連血管炎(EGPA、GPA、MPA)を否定して診断される。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。参考になりましたら、高評価、コメントを頂けましたら嬉しいです🥝またTwitterのフォローもお願いします🕊

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