血管炎

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の治療について【EGPA】


〜 The Point 〜

  • ステロイドによる好酸球の反応性は非常によく、ステロイドが治療の基本となる。
  • 今後はヌーカラ®︎(メポリズマブ)が治療のキーとなる。
  • 好酸球が疾患活動性のマーカーになる。

こんにちは、今回はEGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)の治療について取り上げていきたいと思います。

・EGPA:Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis

EGPAの治療について

EGPAの治療の基本となるのは、『ステロイド』となります。

通常プレドニン®︎(プレドニゾロン)の内服を行います。1 mg/kgで開始します。50 kgの方の場合は、1日に50 mgを内服します。

EGPAは好酸球性の血管炎が起きていると言いましたが、好酸球はステロイドに対して反応性は非常によく、ステロイド開始後、数日して血液検査中の好酸球、つまり「Eosino」の割合は、0%近くになります。

プレドニン®︎は、初期量を2〜4週間継続した後、少しずつ減量していきます。

プレドニン(プレドニゾロン)の錠剤

ステロイドに対する治療反応性が不十分な場合は?

ステロイドへの治療反応性が不十分である場合は、免疫抑制薬である「エンドキサン®︎(シクロフォスファミド)」の点滴を行います。

また、エンドキサン®︎の点滴を、シクロフォスファミド大量静注療法(IVCY)とも言います。

このIVCYを、通常 4 週間間隔で、3〜6回ほど行います。副作用をみて、1~2回で終了する場合もあります。

また、EGPAの予後不良因子や重症臓器病変(心、肺、腎臓、脳など)がある場合も、エンドキサン®︎(シクロフォスファミド)の投与が検討されます。

EGPAの予後不良因子
65歳以上
心障害あり
重度消化管虚血あり
腎障害あり(クレアチニン>1.58)
耳鼻咽喉領域病変なし

(エンドキサン®︎について詳しくはこちら)

エンドキサン®︎(シクロフォスファミド)の点滴




しびれに対して他に治療法はありますか?

EGPAのしびれに対して、ステロイドやエンドキサン®︎(シクロフォスファミド)で改善が不十分な場合は、免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)も保険適応となります。

これは、免疫グロブリンという抗体を点滴にて5日間投与する治療法です。治療に5日間かかるため基本的に入院で加療を行います。

余談ですが、、、

IVCYとかIVIgとかややこしいですよね。IVとは静脈注射のことで、CYはシクロフォスファミド(エンドキサン®︎)のことです。Igは免疫グロブリンのことで、IgGとかIgM、IgEのIgと同じです。

つまり、IgGは免疫グロブリンGで、IgEは免疫グロブリンEのことなのです。

しびれの経口薬について

タリージェ®︎(ミロガバリン)の錠剤

EGPAのしびれ症状は、非常に難治で、血管炎による神経障害が完成してしまうとなかなか改善するのが難しいのが現状です。

治療の目標としては、ステロイドや免疫グロブリン大量静注療法によって、今あるしびれをこれ以上を悪化させないことが現実的な目標になります。

ですが、そのしびれを和らげる経口薬もあり、これらを併用しながらしびれをコントロールしていきます。

具体的には、

  • リリカ®︎(プレガバリン)
  • タリージェ®︎(ミロガバリン)
  • サインバルタ®︎(デュロキセチン)
  • リボトリール®︎(クロナゼパム)
  • メチコバール®︎(メコバラミン)
  • ノイロトロピン®︎

などが使われています。私的には、リボトリール®︎を併用すると少ししびれが和らぐ方が多い印象です。

EGPAの生物学的製剤について

ヌーカラの皮下注ペン

最近では、EGPAに対しては生物学的製剤も保険適応となり、より副作用などのリスクが少なく、寛解導入を行えるようになりました。

具体的には、ヌーカラ®︎(メポリズマブ)が使用されます。

ヌーカラ®︎は、「抗IL-5抗体」で、直接好酸球性の炎症を抑制することができます。

IL-5とは、「インターロイキン5」のことで、インターロイキンとは、炎症細胞から出されるサイトカインの一種です。IL-5は好酸球性の炎症を起こす、大本のサイトカインであり、これを抑えることで、直接好酸球性の炎症を抑えることができます。

ヌーカラ®︎の適応は、ステロイドやエンドキサン®︎(シクロフォスファミド)などでも治療抵抗性の場合に適応となります。

ヌーカラの登場により、ステロイドをより早く減量できたり、長期ステロイドの副作用(骨粗鬆症、大腿骨頭壊死やムーンフェイスなど)を極力減らすことが可能となり、今後は治療の中核となってくると予想される薬です。

活動性はどう評価する?

ANCAの活動性は、通常、症状、CRPなどの炎症反応やANCAの値(力価といいます)によって評価しますが、EGPAの場合は、ANCAの陽性率が低いのが特徴であるため、疾患活動性にANCAを利用できません。

では、何を参考にするのでしょうか?

そうです、『好酸球』を参考にします。

高用量ステロイドを開始後、数日して好酸球の割合は、0%近くにストーンと低下するとお伝えたしましたが、ステロイドを減量中にどうしても再燃してしまう場合があります。

その場合は、通常好酸球も上昇してくるため、「好酸球」の値に注目すると、疾患の活動性を把握することができます。好酸球の成人の基準値は、0〜5%です。

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今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。参考になりましたら、高評価、コメントを頂けましたら嬉しいです?またTwitterのフォローもお願いします?

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