こんにちは、今回はヌーカラは、生物学的製剤の一つであるヌーカラ®︎(メポリズマブ)について取り上げていきたいと思います!
ヌーカラ®︎の皮下注ペン
適応疾患は?
- 気管支喘息 (既存治療でコントロール不良な場合)
- EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)(既存治療で効果不十分な場合)
この2つに適応があります。EGPAについては、現時点(2021年7月)で唯一の保険適応がある生物学的製剤です。
他に、ファセンラ®︎︎(ベンラリズマブ)というIL-5の受容体に対する抗体製剤もありますが、EGPAではまだ適応が通っていません。(IL-5などについては後で詳しく説明します。)
用法は?
ヌーカラは皮下注射製剤で、1本 100 mgです。また、皮下注射製剤ですが、自宅で自分で打つタイプではなく、病院に来て打つことになります。
喘息の場合
喘息は、12歳以上に適応があり、1回 100 mg を4週間毎に皮下注射します。
EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)の場合
EGPAには、1回 300 mgを4週間毎に皮下注射します。つまり、1回に3本を皮下注します。
皮下注射の部位は、上腕、腹部、あるいは大腿で、それぞれの注射部位は5 cm以上離します。
副作用は?
副作用一覧を下記の表にまとめましたのご参照ください。
分類 | 症状 | 頻度 |
過敏症 | 蕁麻疹、血管浮腫、発疹、気管支痙攣、低血圧 | 1~5% |
皮膚症状 | 投与部位反応 | 5%以上 |
感染症 | 下気道乾癬、咽頭炎、尿路感染 | 1%未満 |
精神神経系 | 頭痛 | 5% |
通常、ヌーカラ®︎(メポリズマブ)による副作用は多くはありません。
最も多いのは、注射部位反応で、赤く腫れたり、痛みが出たり、かゆくなる場合があります。そういった時は、注射部位を冷やすことで症状が落ち着く場合があります。
ヌーカラ®︎による感染症のリスクは、ステロイドやエンドキサン®︎などと違い通常高くはないですが、一つ注意が必要なことがあります。それは『寄生虫』に対する免疫が弱くなってしまう可能性があることです。好酸球は寄生虫に対する免疫応答に関与していると言われております。
もし寄生虫に感染している場合は、ヌーカラ®︎による治療前に寄生虫の治療を行ったり、ヌーカラ®︎で治療中に寄生虫感染した場合はヌーカラ®︎の投与を中断する場合もあります。
寄生虫感染は、一般的なウイルス感染や細菌感染よりも頻度が低い感染症です。私の経験では、ヌーカラ®︎で治療中に寄生虫を発症した方はおらず、またそういった話も特には聞いたことがないため、過度に心配する必要はないかと思います。
作用機序は?
ヌーカラ®︎(メポリズマブ)は、炎症性サイトカインであるIL-5(インターロイキン5)に対する抗体製剤です。
IL-5は、好酸球に作用する中心的なサイトカインで、好酸球の成長、分化、誘導、活性化、生存に関与しています。
ヌーカラ®︎(メポリズマブ)は、このIL-5を直接阻害することで、好酸球の働きを抑制します。それにより、好酸球性炎症による喘息やEGPAに対する治療効果を発揮します。
例えば、ステロイドだと好酸球以外にも好中球やリンパ球といった白血球にも作用するため、ステロイドなどの免疫抑制薬よりもピンポイントで好酸球にターゲットを絞り治療をすることが可能となります。
それによって、重症感染症といった副作用のリスクも軽減されるメリットがあります。
EGPAのエビデンス
ヌーカラ®︎(メポリズマブ)のエビデンスを確立したのは、『MIRRA試験』があります。
MIRRA試験には日本も参加した全世界的な試験で、プレドニン®︎(ステロイド)7.5mg以上を内服している治療抵抗性のEGPAに対して、ヌーカラ®︎投与群とプラセボ群(投与しない)を比較しており(2重盲検ランダム化比較試験)、ヌーカラ®︎投与群の方が、有意にEGPAの寛解状態を認めました。
参考) Wechsler ME, et al. N Engl J Med 2017;376(20):1921-1932.
まとめ
- ヌーカラ®︎は抗IL-5抗体(インターロイキン5)製剤である。
- 適応疾患は、喘息、EGPA(好酸球性多発血管円性肉芽腫症)である。
- ヌーカラ®︎の副作用は多くなく、注射部位反応が最多である。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。参考になりましたら、高評価、コメントを頂けましたら嬉しいです?またTwitterのフォローもお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。