こんにちは、今回は『イルミア®︎(チルドラキズマブ)の特徴』について取り上げていきたいと思います!
イルミアって、なんか響きがかっこいいですね!乾癬に対するイルミアについて詳しく知りたいです!
イルミア®︎(チルドラキズマブ)の特徴について
イルミア®︎(チルドラキズマブ)は、2020年9月に発売された比較的新しい生物学的製剤です。
イルミア®︎は、『 ヒト化抗ヒトIL-23 p19 モノクローナル抗体 』で、IL-23を阻害することで乾癬に対して効果を発揮します。
抗体製剤の種類としては、トレムフィア®︎(グセルクマブ)、スキリージ®︎(リサンキズマブ)も同じ抗IL-23 p19抗体製剤です。
適応疾患は?
ファセンラ®︎の適応疾患は、以下のようになります。
- 尋常性乾癬
どんな時に適応となりますか?
以下の❶か❷のいずれかを満たす場合に、イルミア®︎は良い適応となります。
- 光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ乾癬患者。
- 難治性の皮疹を有する患者。
用法は?
イルミア®︎は、100 mg シリンジの製剤です。
用法用量 | 1回 100 mgを初回、4週後、以降12週間隔を皮下投与する |
※成人が対象となります。
薬価は、以下のようになります。
- 1本100 mg シリンジ 487,413 円。
- 12週間隔で継続すると、1ヶ月あたり 48,700円(3割)、16,200円(1割)です。
1月あたり48,700円は、決して安い金額ではないですね。
副作用は?
1 ~ 5%未満 | 上気道感染 ALT上昇(ALTは肝障害指標です) |
1 %未満 | 気管支炎、毛包炎、口唇ヘルペス、皮膚カンジダ トリグリセリド増加 AST上昇、γ-GTP上昇 蕁麻疹 発熱、倦怠感 |
重大な副作用
- 重篤な感染症 0.2%
イルミア®︎(チルドラキズマブ)のエビデンス
有効性 efficacy
『 reSURFACE 1試験 』と『 reSURFFACE 2試験 』でチルドラキズマブの有効性が検討されました。
- 試験デザインは、無作為化プラセボコントロール試験。
- 対象:外用療法で十分にコントロールできない中等度から重度の尋常性乾癬患者。
reSURFACE 1試験1)
- オーストラリア、カナダ、日本、英国、米国の118施設で実施された。
- reSURFACE1では772人の患者が登録された。
- ベースラインから12週目までのPASI 75を改善した割合は、プラセボ群は 6%(9人)に比べて、チルドラキズマブ 100 mg群は64%(194人)と、有意差を持ってPASI 75を達成した割合が高かった(p < 0.001)。
- PGA達成率は、プラセボ群 7%(11人)に対し、チルドラキズマブ 100mg群 58%(179人)と有意差を持ってPGA達成率が高かった(p < 0.001)。
reSURFACE 2試験1)
- reSURFACE 2(欧州、イスラエル、米国の132施設で実施された。
- reSURFACE2では1090人の患者が登録された。
- ベースラインから12週目までのPASI 75を改善した割合は、プラセボ群は 6%(9人)、エタネルセプト群 48%(151人)に比べて、チルドラキズマブ 100 mg群は61%(188人)と、有意差を持ってPASI 75を達成した割合が高かった(チルドラキズマブ100mg群対プラセボ p < 0.001、チルドラキズマブ 100mg対エタネルセプト群 p=0.001)。
- PGA達成率は、プラセボ群 4%(7人)、エタネルセプト群 48%(148人)に対し、チルドラキズマブ 100mg群 59%(168人)であった。
- チルドラキズマブ100mg群が、プラセボ群と比べて、有意にPGA達成率を改善した(p<0.0001)。一方、チルドラキズマブ 100 mg群とエタネルセプト群では、チルドラキズマブ100mg群の方が、PGA達成率を改善させやすい傾向はあったが、有意差はつかなかった(p=0.0663)。
- 重篤な有害事象は、両試験とも全群で同等かつ低頻度であった。
reSURFACE試験では、IL-23阻害薬であるチルドラキズマブ(イルミア®︎)と、TNF阻害薬であるエタネルセプト(エンブレル®︎)のHEAD TO HEAD試験も行われ、チルドラキズマブの方が優越性を示したことも特徴です。
● PASIスコアとは?
PASI(パシ)スコアは、
乾癬患者さんの紅斑(こうはん)、浸潤(しんじゅん)、落屑(らくせつ)の程度や症状が出ている範囲を調べて、
乾癬の重症度を点数であらわします。
最高得点は72点で、点数が高いほど重症度が高いことを示します。
- PASI 75は、PASIスコアが 75 % 改善したことを表します。
- PASI 90は、PASIスコアが 90 % 改善したことを表します。
チルドラキズマブ(イルミア®︎)の作用機序は?
チルドラキズマブ(イルミア®︎)は、IL-23 p19サブユニットに対するモノクローナル抗体です。
IL-23 は、Th17 の分化、増殖およびその維持に関与するサイトカインです。
チルドラキズマブは、IL-23のp19サブユニットに結合することによってIL-23の活性を特異的に阻害し、IL-23の下流にあるTh17へのシグナル伝達を抑制します。
- IL・・インターロイキン(炎症性サイトカインの一つ)。
- Th17・・ヘルパーT細胞17。T細胞はリンパ球の一つで、さらにT細胞のうちの一つがヘルパーT細胞です。
〈参考〉
- イルミア®︎(チルドラキズマブ)の添付文書
- 1) Kristia Reich, et al. Lancet 2017;390:276-288.
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします?
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