アトピー性皮膚炎

リンヴォック®︎(ウパダシチニブ)のアトピー性皮膚炎における有効性 / エビデンスについて【JAK阻害薬】

こんにちは、今回はアトピー性皮膚炎におけるリンヴォック®︎(ウパダシチニブ)の有効性やエビデンスについてご紹介していきます。

リンヴォック®︎はアトピーに対して、2021年8月から使われるようになったJAK阻害薬ですね。ぜひよろしくお願いしますっ!

リンヴォック®︎(ウパダシチニブ)

JAK阻害薬であるリンヴォック®︎は、アトピー性皮膚炎に対して2021年8月適応の追加承認を取得しました。

リンヴォック®︎はアトピー性皮膚炎に対する有効性、エビデンスは具体的にどういったものだったのでしょうか。

では、早速やっていきましょう。

適応疾患は?

リンヴォック®︎(ウパダシチニブ)の適応疾患は、以下のようになります。

  • アトピー性皮膚炎(最適使用推進ガイドライン対象)
  • 関節リウマチ
  • 関節症性乾癬

どんな時に適応となりますか?

アトピー性皮膚炎・・・ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの外用療法で十分にコントロールできない中等度から重度の成人アトピー性皮膚炎患者さんに良い適応となります。




用法は?

アトピー性皮膚炎

通常15 mg 1日1回 内服
増量も可能患者さんの状態に応じて、30 mg 1日1回へ増量も可能です。

※成人および12歳以上かつ体重30kg以上の小児が対象となります。

薬価について

薬価は、以下のようになります。

1 錠 1ヶ月 10割 1ヶ月 3割
30 mg 7,460 円 223,800 円 67,140 円
15 mg 4,970 円 149,100 円 44,730 円

アトピーの方に対して、1日 15 mgで3割負担の場合、1ヶ月およそ45,000円
1日30mgで3割負担の場合、1ヶ月およそ67000円となりますね。
JAK阻害薬は、やっぱり値段は結構しますね。。。。

副作用は?

10%以上上気道感染(鼻炎、上咽頭炎、副鼻腔炎など)
1~10%未満悪心、腹痛
帯状疱疹、単純ヘルペス
ざ瘡
頭痛
CK上昇、体重増加
0.1〜1%未満口腔カンジダ
蕁麻疹
発熱、疲労
高脂血症

投与中は、次の重大な副作用がないかをしっかりとモニタリングすることが大切です。

重大な副作用

  • 感染症・・・帯状疱疹(4.1%)、肺炎(1.3%)、結核(頻度不明)
  • 消化管穿孔(0.1%未満)
  • 血球減少・・・好中球減少(1.8%)、リンパ球減少(1.0%)、ヘモグロビン減少(0.5%)
  • 肝機能障害・・・AST上昇(2.3%)、ALT上昇(3.1%)
  • 間質性肺炎(頻度不明)
  • 静脈血栓塞栓症(≦0.1%)

感染症が起きた時の対応はどうしたら良いですか?

肺炎や尿路感染症などの感染症が起きた時は、


リンヴォック®︎は一旦中止します。

これは、リンヴォック®︎の免疫抑制作用が、感染症時にはマイナスで働いてしまうためです。

リンヴォック®︎の再開のタイミングはどうしたらいいですか?

リンヴォック®︎の再開のタイミングは、感染症が落ち着いた段階で、再開を検討します。

再開の具体的なタイミングについては、主治医とご相談ください。

※ 感染時は、ステロイド(プレドニゾロンなど)は中止せずに継続する

ただし、プレドニゾロン(プレドニン®︎)などのステロイドについては、離脱症状が起きてしまうため、中止しないで継続します。

さらに、敗血症などの重症の感染症の場合は、相対的にステロイドホルモン値が低下し、血圧低下などを来たす場合があるため、一時的にステロイド量を増量する場合もあります。(この対応は、通常重症感染症時におこないます:これをステロイドカバーといいます)

リンヴォック®︎(ウパダシチニブ)のアトピー性皮膚炎に対するエビデンス

有効性 efficacy

Measure Up 1試験1)

  • 試験デザイン:プラセボ対照二重盲検比較試験。
  • 対象:ステロイド外用もしくはタクロリムス外用等で効果不十分であった、アトピー性皮膚炎に対する全身療法歴を有する、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者 847 例
  • ウパダシチニブ 30 mgウパダシチニブ 15 mgプラセボを1日1回経口投与。
  • 主要評価項目:EASI 75、 vIGA-AD 0/1
  • 投与16週時のvIGA-AD 0/1を達成した割合について、ウパダシチニブ 30mg群では 53.6 %(177/285)で、ウパダシチニブ 15 mg群では 48.1%(135/281)で、プラセボ群 8.4 %(24/281)に比べて、30 mg群(p<0.001)15 mg群(p<0.001)いずれも統計的有意差を持って高かった
  • 投与16週時のEASIスコアでベースラインからの75%以上の改善(EASI-75)を達成した割合は、ウパダシチニブ 30 mg群では 79.7 %(227/285)で、ウパダシチニブ 15 mg群では 69.6 %(196/281)で、プラセボ群 16.3 %(46/281)に比べて、30 mg群(p<0.001)15 mg群(p<0.001)いずれも統計的有意差を持って高かった

IGAスコア:医師による皮膚病変の全般的な評価

0 = 消失 アトピーによる炎症の徴候なし
1 = ほぼ消失 かろうじて認識できる紅斑またはごく軽度の病変の隆起(丘疹形成/浸潤)
2 = 軽症 目で検知可能、薄いピンク色の紅斑、及びごく軽度の隆起(丘疹形成/浸潤)
3 = 中等症 くすんだ赤色、明らかに認識可能な紅斑、明らかに認識できる隆起(丘疹形成/浸潤)、ただし広範ではない
4 = 重症 深紅/暗赤色の紅斑、著明かつ広範な隆起(丘疹形成/浸潤)

EASI スコア : アトピー性皮膚炎の活動性の評価スケール

医師が測定する湿疹の重症度や範囲をあらわすスコアです。
4つの身体部位(頭頸部、体幹、上肢、下肢)のスコアを合計します。

〈 EASIスコアの75%、90%改善の目安👇 〉

(参考元:https://www.dupixent.jp/atopy/scale/easi/01

Measure Up 1 試験のまとめ
  • 中等度から重度のアトピー性皮膚炎において、リンヴォック 15 mgでも 30 mgでもプラセボと比べて有効性を示しました。

アトピーには、最近生物学的製剤であるデュピクセント®︎も使われるようになりましたが、どちらがより有効なのですか?

リンヴォック®︎とデュピクセント®︎どちらが効果が高いのですか?

Heads Up 試験2)

2021年にJAMA Dermatolより、リンヴォック®︎とデュピクセント®︎のHead to Head trialを行った『Heads Up 試験』の結果が報告されました。

  • 試験デザイン:head-to-head、多施設、ランダム化、二重盲検、ダブルダミー、アクティブコントロール試験。
  • 対象:中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者 692 例。
  • 患者を無作為に、リンヴォック®︎(ウパダシチニブ) 30 mg/日群とデュピクセント®︎(デュピルマブ) 300 mg/隔週群に1対1に分けました。
  • 主要評価項目:16週目のEASI 75の達成率。
  • 副次評価項目:
    • ① 16週目のEASI 100 及びEASI 90 達成率。
    • ② 1週目、4週目、16週目のNRS(かゆみの評価尺度)のベースラインからの変化率。
    • ③ 16週目のNRSのベースラインからの4点以上の改善。

〈 EASI スコアの改善率 〉

  • 投与16週時のEASIスコアでベースラインからの75%以上の改善(EASI-75)を達成した割合は、リンヴォック 30mg群 71 %(247/348)が、デュピクセント群 61.5 %(210/344)比べて統計的有意差を持って高かった(p=0.006)
  • 投与2週時の早い段階でEASIスコアでベースラインからの75%以上の改善(EASI-75)を達成した割合は、リンヴォック 30mg群 43.7 %(152/348)が、デュピクセント群 17.4 %(60/344)比べて統計的有意差を持って高かった(p<0.001)
  • 投与16週時のEASIスコアでベースラインからの100%の改善(EASI-100)を達成した割合は、リンヴォック 30mg群 27.9 %(97/348)で、デュピクセント群 7.6 %(17.4/344)比べて統計的有意差を持って高かった(p<0.001)

〈 NRS(かゆみの評価尺度)の改善率 〉

  • 投与1週目でのNRS(かゆみの評価尺度)の改善率は、リンヴォック 30mg群 31.4 %が、デュピクセント群 8.8 %比べて統計的有意差を持って高かった(p<0.001)
  • 投与4週目でのNRS改善率は、それぞれ、59.5% vs 31.7% (p< .001)、そして16週まで有意差が維持された(それぞれ、66.9% vs 49.0% p<0.001)。
  • 16週目に臨床的に意味のある かゆみの改善(NRSの4点以上の改善)は、リンヴォック 30mg群 55.3 %(188/340)が、デュピクセント群 35.7 %(120/336)比べて統計的有意差を持って高かった(p<0.001)

〈 安全性 〉

  • 重篤な感染症、ヘルペス性湿疹、帯状疱疹の割合は、リンヴォック群でやや高かったのに対し、結膜炎および注射部位反応の割合は、デュピルマブ群で高かった(ただし、いずれも概ね低いレベルです)。
  • リンヴォック群において、新たな安全性リスクは認めなかった。
リンヴォック®︎ vs デュピクセント®︎の臨床試験のまとめ
  1. デュピクセント®︎にも、アトピー性皮膚炎には有効であったが、リンヴォック®︎の方がEASI(疾患活動性)の改善率、NRS(かゆみ)の改善率の全ての評価項目について優れた有効性を示した。
  2. リンヴォック®︎の方が、発現もより速やかだった。




リンヴォック®︎(ウパダシチニブ)の作用機序は?

では、JAK阻害薬であるリンヴォック®︎はアトピーにどのように効果があるのでしょうか?

まずは、アレルギー性炎症である2型炎症について解説します。

アトピーに関与する2型炎症について

2型炎症とは、Th2細胞(ヘルパ-T2細胞)や自然リンパ球2(ILC2)から産生される2型サイトカインが中心的な役割を担っている炎症のことをいいます。


アトピー性皮膚炎は、この2型炎症が中心的な役割を担っています。

下のアトピー性皮膚炎の模式図をご覧ください。

2型炎症(アレルギー性炎症)には、Th2細胞やILC2(細胞)が中心にいます。

そこでは、Th2細胞やILC2から分泌される『IL-4、IL-13、IL-22、IL-31』といった炎症性サイトカインが働いています。

余談ですが、デュピクセント®︎(デュピルマブ)はIL-4/13をブロックすることでアトピーを改善します。

アトピー性皮膚炎に関与する2型炎症の模式図

https://www.olumiant-doctor.jp/olumiant/moa より引用)

デュピクセント®︎(デュピルマブ)の特徴について【気管支喘息 / アトピー性皮膚炎 / 慢性副鼻腔炎】 こんにちは、今回は喘息、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎に適応のある『デュピクセント(デュピルマブ)』について取り上げていきたいと思いま...

JAK阻害薬であるリンヴォック®︎は、この2型炎症のどこに作用しているのですか?

よい質問ですね。

下図をご覧ください。

リンヴォックなどのJAK阻害薬は、Th2細胞やILC2といった「免疫細胞」の中で起こっている細胞内シグナル伝達を阻害しています。

免疫細胞は、IL-4やIL-13といった炎症性サイトカインから『サイトカイン受容体を通して』炎症の情報を受け取ります。

JAK(ヤヌスキナーゼ)はサイトカイン受容体に結合しており、サイトカインから受け取った情報を、細胞の核まで伝える、細胞内シグナル伝達の一旦を担っています。

サイトカイン受容体に結合するJAK(ヤヌスキナーゼ)の模式図

https://www.kitasato-u.ac.jp/ktms/kaishi/pdf/KI49-1/KI49-1p01-07.pdf より引用)

リンヴォック®︎(JAK阻害薬)は、サイトカイン受容体に結合するJAK(ヤヌスキナーぜ)を阻害することで、IL-4やIL-13、IL-22などの炎症性サイトカインの働きをブロックすることができます。

これによって、2型炎症(アレルギー性炎症)を抑制し、アトピー性皮膚炎に対し有効性を示します。

サイトカイン受容体を構成するJAKの模式図

https://a-connect.abbvie.co.jp/products/rinvoq/pharmacology_01.html?info=basic&adapt=17 より引用)

〈参考〉

  • リンヴォック®︎(ウパダシチニブ) 添付文書
  • 1) Emma Guttman-Yassky, et al. Lancet 2021;397(10290):2151-2168.
  • 2) Andrew Blauvelt, et al. JAMA Dermatol 2021;157(9):1047-1055.
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今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです🥝 Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします🕊

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