〜 The Point 〜
- リツキサン®︎はB細胞を直接抑制することで、免疫抑制作用や抗腫瘍作用を発揮する。
- 適応疾患は、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、B細胞性非ホジキンリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、難治性ネフローゼ症候群がある。
- リツキサン®︎の副作用はInfusion reactionと感染症に注意する。
こんにちは、今回はリツキサン®︎(リツキシマブ)について取り上げていきたいと思います!
リツキサン®︎(リツキシマブ)について
リツキサン®︎は、悪性リンパ腫やANCA関連血管炎などに使用されている、生物学的製剤の一つです。
B細胞上にある表面マーカーの『CD 20』をターゲットとした「抗CD20モノクローナル抗体製剤」です。
B細胞傷害作用をもち、B細胞を枯渇させる治療薬です。
そのため、強力な免疫抑制作用があります。
https://kusuri-jouhou.com/medi/cancer/rituximab.htmlより引用
対象疾患は何ですか?
対象疾患は以下の表をご参照ください。
膠原病 | 顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫) |
血液疾患 | CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP) |
腎疾患 | 難治性ネフローゼ症候群 |
どんな時に使われますか?
顕微鏡的多発血管炎や多発血管炎性肉芽腫症においては、リツキサン®︎(リツキシマブ)は重篤な臓器障害がある場合の寛解導入療法に高用量ステロイドと併用したり、その維持療法の治療薬として使用されます。
用法は?
膠原病の顕微鏡的多発血管炎(MPA)と多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の2つを紹介します。(難治性ネフローゼ症候群や特発性血小板減少性紫斑病ITPも同じ用法になります。)
寛解導入療法で使用するとき
この2者の寛解導入療法で使用する時は、リツキサン®︎(リツキシマブ)1 回 375 mg/m2を1週間ごとに計4回投与します。
維持療法で使用するとき
寛解導入療法が奏功したあとは、症状が再燃しないように維持療法に入ります。維持療法は、最小限の免疫抑制作用によって、再燃しないことが目標になります。
MPAとGPAの維持療法の投与の仕方については、確率したものはないが、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)に承認されている投与方法は、1回 500 mgを6ヶ月ごとに投与する方法である。(6ヶ月ごとに1000 mg投与する場合もあります)
また、別の方法で、バイオマーカーで再投与を行う方法もあります。具体的には、CD19細胞あるいはANCAの抗体価を測って投与するタイミングを図ります。
※ 上記の用法は、難治性ネフローゼ症候群と特発性血小板減少性紫斑病(ITP)においても同じ用法となります。
副作用は?
リツキサン®︎(リツキシマブ)において、最も注意すべき副作用は「Infusion reaction」です。
Infusion reaction(インフージョン リアクション)について
Infusion reactionとは、点滴直後に起きる副作用のことです。症状は発熱、悪寒、血圧低下、頻脈、喘息様の症状、皮疹などを認めます。
Infuison reactionを予防するために、前投薬として、カロナール®︎(アセトアミノフェン)、ポララミン®︎(d-クロルフェニラミン)を30分前に内服します。メチルプレドニゾロンというステロイドも前投薬する場合もあります。
カロナール®︎は解熱薬で、ポララミン®︎はアレルギーを予防する抗ヒスタミン薬です。
Infusion reactionが起きてしまった場合は、点滴をいったん中断し、抗ヒスタミン薬(ポララミン®︎)の投与で症状が改善すれば、低速でまた再開します。
その他の副作用について
リツキサン®︎には免疫抑制作用があるため、感染症の発症には注意が必要です。
稀ではありますが、JCウイルスの再活性化が起きることによる「進行性多巣性白質脳症」というものが現れる場合があります。
また、その他重篤な副作用として、Stevens-Johnson症候群やtoxic epidermal necrolysis(TEN)などの重篤な皮膚粘膜障害が出てくることが稀ではありますが報告されています。
どういった作用機序ですか?
リツキサン®︎(リツキシマブ)は、リンパ球のB細胞の表面にあるCD20というタンパク質に対する抗体です。
リツキサン®︎は、CD20にくっ付くことで、補体依存性細胞障害作用や抗体依存性細胞介在細胞障害によって、B細胞を溶解し、薬理作用を発揮します。
B細胞は、抗体を産生する細胞なので、顕微鏡的多発血管炎や多発血管炎性肉芽腫症のANCA(抗好中球細胞質抗体)の産生を低下させます。また、B細胞性腫瘍のリンパ腫では、直接腫瘍細胞を溶解させることができます。
注意点はありますか?
点滴速度に注意
リツキサン®︎によるInfusion reactionを予防するために、投与速度を調節して投与します。
初回の点滴では、初めはゆっくりの速度で開始し、その後症状がなければゆっくりスピードを速めていきます。大体3 ~ 4時間程度かかります。2回目以降は、点滴のスピードを早く始めることが可能であるため、2 ~ 3時間で終わります。
リツキサン®︎にもバイオシミラーがある
リツキサン®︎(リツキシマブ)は、生物学的製剤としては、比較的治療経験の長い薬で、リツキサン®︎にも「リツキシマブBS」というバイオシミラーがあり、従来よりも値段が抑えられました。
バイオシミラーとは、ジェネッリック薬品と同様に、薬価の下がった製剤と考えていただければ良いかと思います。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。参考になりましたら、高評価、コメントを頂けましたら嬉しいです?またTwitterのフォローもお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。