血管炎

多発血管炎性肉芽腫症について 【GPA】


〜 The Point 〜

  • GPAは小型血管炎に分類され、さらにANCA関連血管炎の一つである。
  • 症状はELKという E:上気道症状、L:肺症状、K:腎症状を特徴とし、典型的には、この順に症状が出現する。
  • 通常PR3-ANCAが上昇する。(例外もあり)

こんにちは、今回は多発血管炎性肉芽腫症について取り上げていきたいと思います!多発血管炎性肉芽腫症は略称でGPA(Granulomatosis with polyangiitis)とも呼ばれています。また、以前はウェゲナー肉芽腫症と称されていました。

多発血管炎性肉芽腫症ってどんな病気?

多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は、血管炎という病気の一つで、「小型血管炎」という小型血管に炎症が起きる病気です。さらにGPAは、ANCA関連血管炎の一つになります。

ANCAとは「抗好中球細胞質抗体」という好中球をターゲットにした抗体です。ANCA関連血管炎は簡単にいいますと、このANCA(抗好中球細胞質抗体)が血管に炎症を起こす疾患となります。(詳しくはこちらをご参考ください「ANCA関連血管炎について」

また、GPAはANCAの中でも、「PR3-ANCA」が上昇するのが特徴的です。(一部に、MPO-ANCAが上昇する場合もあります)

症状は何がありますか?

多発血管炎性肉芽腫症の症状の特徴として、 上気道病変から発症し、下気道・肺、腎臓の順に病変が拡大していきます。上気道とは、鼻腔、副鼻腔、眼、耳、口腔・咽頭のことを指します。

具体的な症状を下記の表にまとめました。

上気道の症状鼻:膿性鼻漏、出血、鞍鼻、副鼻腔炎
眼:眼痛、視力低下、眼球突出
耳:中耳炎による難聴
口腔・咽頭:潰瘍、嗄声、気道閉塞など
下気道の症状血痰、咳嗽、呼吸困難など
腎臓の症状血尿、タンパク尿、浮腫、血圧上昇など
血管炎による症状発熱、体重減少、紫斑、関節炎、しびれ、消化管出血など
GPAの症状

上気道病変

多彩な上気道病変を認めるのは、ANCA関連血管炎の中でもGPAに特徴的です。

鼻腔や副鼻腔に血管炎を認めることで、鼻出血が出たり、副鼻腔の炎症が眼にまで波及すると、眼痛や視力障害まで来たすこともあります。

下気道・肺病変

GPAに特徴的な肺病変は、肺に「多発する結節性の浸潤影」を認めます。ANCA関連血管炎では、すりガラス影を表す間質性肺炎が一般的ですが(GPAでも間質性肺炎を認めることはあります)、GPAの場合。結節性の腫瘤影を認めるのが特徴的です。また、結節影が大きくなると、内部に空洞を伴ってくる場合もあります。

こうした、結節影や下気道病変の影響で、GPAでは血痰を認めやすいことも特徴的です。

腎症状

腎臓では、「急速進行性糸球体腎炎(RPGN)」を認めます。急速進行性糸球体腎炎とは、数日〜数週間の単位で腎障害が急激に進行してしまう病態です。治療が間に合わないと「腎不全」にまで至ってしまう恐ろしい病態です。

ここで、糸球体とは、腎臓にある血液から尿を濾過するための最小の器官のことをいいます。糸球体には、表面積を大きくするために、毛細血管レベルの血管がギュウギュウに敷き詰められており、GPAではこれらの血管に炎症が起きることで糸球体腎炎が起きます。

糸球体腎炎によって、糸球体の血管が損傷し、血液やタンパク質が漏れ出てきます。これによって「タンパク尿や血尿」が認められるのです。

〈 糸球体の模式図 〉




検査のポイントは?

多発血管炎性肉芽腫症では、通常、血液検査、尿検査、胸部レントゲン、CT、MRI、生検を行います。

血液検査

血液検査では、炎症反応、貧血、ANCAの評価を行います。

炎症反応は、「WBC(白血球)、CRP、ESR 1hr(赤沈1時間値)」で主に評価します。ESR 1hr > 15mmが上昇の目安となります。

貧血は、「Hb(ヘモグロビン)」に注目します。GPAでは、血痰や鼻出血の症状を認めますが、貧血を伴う程の出血量を認めることは稀です。通常は炎症に伴う貧血が大半となります。消化管出血も伴っている場合は、それによる出血性の貧血を認める場合もあります。

ANCA(抗好中球細胞質抗体)は、GPAの場合は「PR3-ANCA」の上昇を認めますが、一定数MPO-ANCAが上昇する場合もあります。

尿検査

GPAで起きる急速進行性糸球体腎炎の評価のために、尿検査とても大切です。主に「血尿(潜血)とタンパク尿」を確認します。

急速進行性糸球体腎炎は、血尿が強いのが特徴です。通常は、タンパク尿よりも血尿の所見の方が強く認めます。

画像検査

GPAによる上気道病変を評価するために、頭部CTやMRIにて、眼窩、副鼻腔、中耳、乳突洞などの病変があるかを確認します。

また、胸部CTにて、肺の多発結節影やすりガラス影、空洞化などを確認します。

また、PET-CTやガリウムシンチグラフィー検査を行う場合もあり、実際に血管の炎症があるかを確認することができます(PET-CTは保険適応外になります)

生検

GPAでは生検は重要です。鼻腔・副鼻腔、肺、皮膚、腎などの炎症がある部位から生検を行います。

鼻腔・副鼻腔、肺などからは、「肉芽種を形成した壊死性血管炎像」があるかを確認します。壊死とは、組織が死んでいる状態のことを表します。

腎生検では、急速進行性糸球体腎炎に特徴的な「半月体」を確認したり、他に壊死性糸球体腎炎の像などを確認します。

GPAの診断について

今回は、厚生労働省の診断基準(1998年)を載せました。通常は、診断については医師が総合的に判断しますので、こんな診断基準で診断されているのだなと知ってもらう形で良いかと思います。

主要症状
1. 上気道 (E)
眼(眼痛、視力低下、眼球突出)、耳(中耳炎)、鼻(膿性鼻漏、出血、鞍鼻))、口腔・咽頭痛(潰瘍、嗄声、気道閉塞)
2. 肺 (L)
血痰、咳嗽、呼吸困難
3. 腎 (K)
血尿、蛋白尿、急速に進行する腎不全、浮腫、高血圧
4. 血管炎症状
① 全身症状:発熱(38℃以上、2週間以上)、体重減少(6カ月以内に6㎏以上)、
② 臓器症状:紫斑、多関節炎(痛)、上強膜炎、多発性神経炎、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、消化管出血(吐血・下血)、胸膜炎
主要組織所見
1. E、L、K の巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性炎
2. 免疫グロブリン沈着を伴わない壊死性半月体形成腎炎
3. 小・細動脈の壊死性肉芽腫性血管炎
主要検査所見
PR3-ANCA(蛍光抗体法でcytoplasmic pattern、C-ANCA)が陽性
厚生労働省診断基準(1998年)

[判定]

① 確実 (definite) 

 (α)主要症状の3項目以上(E,L,Kの各々の症状を含む)

 (b)主要症状の2項目以上+組織所見

 (c)主要症状の1項目以上+組織所見+C-ANCA陽性

② 疑い (probable)

 (a)主要症状の2項目以上

 (b)主要症状の1項目+組織所見

(c)主要症状の1項目+C-ANCA

鑑別診断

肉芽腫性疾患(サルコイドーシスなど)、他の血管炎症候群(顕微鏡的多発血管炎,好酸球性肉芽腫性多発血管炎など)など

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。参考になりましたら、高評価、コメントを頂けましたら嬉しいです🥝またTwitterのフォローもお願いします🕊

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