関節リウマチ

【リウマチの最新の治療薬〜JAK阻害薬〜について】

今回は、リウマチの最新の治療薬JAK阻害薬について説明していきます。


〜 The Point 〜

・メトトレキサートや生物学的製剤(TNF阻害薬、アクテムラ等)で効果不十分な場合の次の選択肢として使用を検討する。

・高い有効性が期待できるが、新しい薬剤であり、長期安全性が不十分な点はある。

・これまでに、ゼルヤンツ®︎(トファシチニブ)、オルミエント®︎(バリシチニブ)、スマイラフ(ペフィシチニブ)、リンヴォック(ウパダシチニブ)、ジセレカ(フィルゴチニブ)が国内で販売されている。

・錠剤での内服薬であり、皮下注射が難しい方などにも行えるため、患者さんの負担が少ない。


JAK阻害薬はどういった治療薬ですか?

JAK阻害薬は、生物学的製剤の後に登場した、高い有効性のある、新しい免疫抑制薬です。JAK阻害薬の作用機序は、JAKという炎症性サイトカインであるIL-6などのシグナルを細胞内に伝えるための蛋白を阻害する事で、抗炎症効果を発揮します。細胞内シグナル伝達阻害薬の一つになります。また、新型コロナ肺炎の治療薬としても、注目を浴びており、オルミエントが、コロナ肺炎の治療薬として今後日本で承認される可能性があります。




JAK阻害薬にはどういった種類がありますか?

2021年4月現在、日本で承認されているJAK阻害薬は、ゼルヤンツ®︎(トファシチニブ)、オルミエント®︎(バリシチニブ)、スマイラフ(ペフィシチニブ)、リンヴォック(ウパダシチニブ)、ジセレカ(フィルゴチニブ)の5種類があります。その中でも、ゼルヤンツが日本にで初めて承認されたJAK阻害薬で、2013年から国内での使用が始まりました。

JAK阻害薬は、どんなリウマチ患者さんに適応がありますか?

その高い有効性から、生物学的製剤でコントロールが不十分な方や、メトトレキサートでも効果不十分で早期に炎症を抑えたい方に適応があります。また高齢者など皮下注射をするのが難しい方にも、考慮できる薬剤です。

飲み方はどうですか?

錠剤での内服です。ゼルヤンツ®︎は1日2回ですが、それ以外のJAK阻害薬は1日1回の内服のため、高い継続率が期待できます。

・JAK阻害薬の安全性についてはどうですか?

発売から7年経過し、安全性についての蓄積は増えてきておりますが、長期の安全性についてはまだ不明な部分も少なからずあります。また、JAK阻害薬の特徴として、帯状疱疹の報告が多いため、内服後、皮膚に皮疹や神経痛のような痛みがともなった場合は早めに、病院を受診してください。

帯状疱疹の皮疹

他に何か特徴はありますか?

JAK阻害薬は、錠剤ではありますが、まだ発売されて間もないこともあり薬価が高いのが、難点ではあります。その中でも、後続のリンヴォック®︎やジセレカ®︎は、それ以外のJAK阻害薬よりは多少安くなります。リンヴォック15mg錠では、3割負担で約45000円程度、オルミエント4mg錠では、3割負担で約47000円程度かかってしまいます。これでも結構高いですよね。。。

薬価は、患者さんが治療を継続する上で非常に重要な要素だと思うので、早く手に取りやすい値段になるのを望みます。また、3ヶ月分まとめて処方する等によって高額医療費制度を使用できる場合もあるので、かかりつけの病院にご相談を検討ください。

また、薬剤によっては、プログラフ®︎(タクロリムス®︎)やブレディニン®︎(ミゾリビン)などの免疫抑制薬と併用できない場合があります。

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