健康・予防

【免疫力が10割】その①

腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず

著 小林弘幸(順天堂大学医学部教授)、監修 玉谷卓也(日本免疫学会評議委員)




今回は、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生著の「免疫力が10割」を取り上げていきたいと思います!?


〜 Contents 〜

・私達の「免疫システム」と新型コロナウイルスの真実 → 今回はここを取り上げます!

・「腸内環境」と「自律神経」から免疫力を高める

・免疫力を強化する生活習慣メソッド


まず、筆者の小林先生が本書を通して、最も伝えたかった事、つまり要点は、新型コロナウイルスとの戦いに勝利する事が出来るのは、ワクチンやマスクではなく、「健康であること」です。

この一点に着きます。私も、膠原病を専門とし免疫学の端くれですが、常日頃そう思っています。

・では、小林先生の言う「健康であること」とはどういうことでしょうか?

もちろんワクチンが大切であることは自明の事実です。今回のmRNAワクチンは最新の技術を用いたもので、従来の不活化ワクチンよりも高い有効性であることが分かっています。不活化ワクチンの有効率は約50%程度でしたが、mRNAワクチンは、それが90%程度に上昇します。

また、マスクについても新型コロナウイルス流行以前は、WHOもマスクのウイルスの予防効果については否定的でした。しかし、マスクが感染予防に役立つという報告も少しずつ出てきています。

しかし、小林先生の言う、コロナウイルスに勝つために最も重要な鍵は、私達が健康であることに尽きます。

健康であることは、肥満がなく、糖尿病や高血圧といった基礎疾患がなく、身体の免疫機能が正常に働ける状態でいる事です。

分かりやすく言うと若い人のような状態の事です。若い人と書くと、語弊が生まれてしまうかもしれませんが、新型コロナウイルス感染症において、若い健康の人は、重症化のリスクが低く、感染しても軽症で済んでしまうことが殆どである事は昨今の感染状況からは自明の事実です。

では、何故若者は、軽症に済むのでしょうか。それは、肥満や糖尿病などの重症化するリスクが少なく、かつ免疫力が正常であるからです。

新型コロナウイルスを重症化させない為には、肥満や糖尿病などの基礎疾患がなく、免疫力が正常であることが重要であったのです。

・肥満・糖尿病などの基礎疾患を持つ人が重症化してしまう根拠

アジアと違い、新型コロナウイルスによって、甚大な死者数となった欧米では、その多くが肥満だっと言われています。イギリスでは、ICUに運ばれた重症者の約73%が肥満だったという調査もあります。

アジアと欧米の肥満率の違い

  • 日本 4.3%
  • 中国 6.2%
  • イタリア 19.9%
  • イギリス 27.8%
  • アメリカ 36.2%

こんなに、アジアと欧米では肥満率も違ってきます。更に、日本のBMI 25が基準値ですが、海外ではBMI 30を基準値としており、その上で、これだけの差があります。肥満は全身の慢性炎症であり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病をはじめ、あらゆる疾患と密接に関連していて、肥満率が高ければ疾患を抱える可能性も高くなります。

・新型コロナウイルスの重症化のリスクは、『サイトカインストーム』にあった?!

では、何故肥満や糖尿病の基礎疾患がある方は、重症化のリスクが高いのでしょうか?それは、免疫細胞の暴走による『サイトカインストーム』にありました!

えっ!サイトカインストームってなに??と思った方もいるでしょう。通常ウイルスの侵入に伴い、身体の免疫細胞である、好中球やリンパ球といった白血球が感染部位に動員されます。動員された、リンパ球やマクロファージという免疫細胞は、肺まで到達した新型コロナウイルスに対して、サイトカインという炎症性タンパクを出します。これによって、更に全身から免疫細胞が動員され、リンパ球の一つであるB細胞から出される抗体などによって、ウイルスと戦います。

ウイルス自体との戦いは、T細胞を中心に駆逐することが出来ますが、肥満や糖尿病といった基礎疾患を持った方は、このサイトカインによってパワーアップした免疫細胞達を鎮静化させる事が出来ません。これによって、更に免疫細胞が活性化し、暴走してしまうのが、『サイトカインストーム』という状態です。

サイトカインストームは、マクロファージという免疫細胞が中心となっており、この暴走化したマクロファージが、自分の肺自体を壊し、更に炎症を起こしてしまうのです。

なので、この山火事の状態を抑えるために、ステロイドやJAK阻害薬といった強い免疫抑制作用のある薬が使われるのです。そう、重症化の正体は、ウイルスによって暴走化してしまった、自分の免疫細胞によるものだったのです。

正常な免疫力を持つ健康な方は、ウイルスとの戦いが終わった後も、リンパ球の一つであるレギュラトリーT細胞が炎症を鎮静化してくれます。しかし、肥満や糖尿病といった基礎疾患がある方は、このレギュラトリーT細胞の働きが弱っている事が分かっています。つまり、肥満や糖尿病がある方は、自分のパワーアップした免疫細胞達をウイルスとの戦闘後に鎮静化させる事が出来ないのです。

肥満とは、肥満細胞が肥大した状態です。実は肥大化した肥満細胞からは、炎症を引き起こすサイトカインがたくさん放出されます。また、また糖尿病は、身体が常に高血糖の状態である事です。これにより「血液はドロドロ」となり、これによって全身の血管、神経、細胞を悪化させ、免疫機能も低下してしまうのです。

これが、小林先生が、新型コロナウイルスの戦いに勝つために最も重要なことは「健康であること」と言った理由でした。

次回は、免疫力との関わりの深い「腸内環境」と「自律神経」のメカニズムについてお伝えしたいと思います。

※ 今回、本書の全ての内容を取り扱ってはおりません。詳しく知りたいという方は、下記のリンクをご参照下さい。是非お勧め致します。

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おまけ : やはり、最後は「腸内環境」が出てきましたね!前回の「腸がすべて」をお読み頂いた方は、腸内環境を良くすることは、免疫力も高めるとご存知だったかと思いますが、小林先生も腸内環境の重要性を謳っていますね!

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