今回は、乾癬や関節症性乾癬、また脊椎関節炎である強直性脊椎炎に適応がある、トルツ®︎について紹介してみたいと思います。
よろしくお願いします。
トルツってなんか可愛い名前ですね。
トルツ®︎(イキセキズマブ)とは?
トルツ®︎(イキセキズマブ)は、2016年から発売された、抗IL-17A抗体製剤の一つです。
厳密には、ヒト化抗IL-17Aモノクローナル抗体製剤と言います。
また、IL-17Aとは、炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)の一つです。
トルツ®︎のオートインジェクター
適応疾患は?
適応疾患は、以下の疾患になります。
〈 乾癬 〉
- 尋常性乾癬
- 関節症性乾癬
- 膿疱性乾癬
- 乾癬性紅皮症
〈 脊椎関節炎 〉
- 強直性脊椎炎
- X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎
どんな時に使ったらいいの?
● 乾癬・・・紫外線療法などの既存の治療で効果が十分でない場合や難治性の皮疹や関節症状がある場合に、良い適応になります。
用法は?
1回目 | 1回 160 mg | 投与間隔 |
2 ~ 7回目 | 1回 80 mg | 2週ごと |
8回目以降 | 1回 80 mg | 4週ごと |
ただし、その後効果不十分な場合は、4週ごと→2週ごとに戻すことも可能です(12週以降で)。
トルツ®︎は、1回目は160mgを投与したり、2 ~ 7回目は2週ごとで、それ以降は4週ごとだったり、投与方法がちょっと複雑なので、注意してください。
薬価は、以下のようになります。
シリンジ 80 mg 148,952円
オートインジェクター 80 mg 148,952円
8週以降の4週ごとなら、1ヶ月3割負担で、約45000円ほどですね。
少し、お高い、、、
副作用は何がありますか?
10%以上 | 注射部位反応 |
1~10%未満 | 上気道感染症(←風邪ですね) |
1%未満 | 重篤な感染症、好中球減少、炎症性腸疾患、 過敏症反応、口腔咽頭痛 |
・注射部位反応は副作用の中でも最も起きやすい反応になります。
・非常に稀ですが、投与直後にアナフィラキシー症状がないか、特に初回は注意して観察します。
トルツ®︎の特徴は?
乾癬の皮膚症状の有効性が高い
・トルツ®︎は、特に皮膚症状に関しては、TNF阻害薬より高い効果が報告されています。
文献)Gordon KB, et al. N Engl J Med. 2016;375:345-356.
・日本人を対象とした試験でも、約半数の患者さんで皮疹が完全に消失したことが報告されています。
文献)Saeki H,et al. J Dermatol 2017;44:355-362.
作用機序は?
トルツは、炎症性サイトカインであるIL-17A(インターロイキン17A)に対するモノクロナール抗体です。
IL-17A は関節リウマチをはじめとする様々な自己免疫疾患、炎症性疾患やアレルギー反応、細菌感染防御に重要な役割を果たしている、サイトカインです。
通常は、細菌感染症など防御に役立っていますが、自己免疫疾患では、その働きが過剰になり、炎症性サイトカインが自分を攻撃してしまうのです。
IL-17Aは特に、皮膚や付着部での炎症を惹起し、乾癬および関節症性乾癬に関わる中心的なサイトカイと言われています。
文献)Taams LS, et al. Nat Rev Rheumatol 2018;14:453-466.
IL-17Aが角化細胞に作用する模式図
出典:http://www.qlifepro.com/news/20160418/identifying-a-group-of-genes-that-il-17a-induced.html
〈参考〉
- 金城光代 リウマチ・膠原病の治療薬の使い方 洋土社
- 浦部 晶夫ら 今日の治療薬 南江堂
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。