ベーチェット病

【 乾癬・ベーチェット病 】オテズラ®︎(アプレラミスト)の特徴について

こんにちは、今回は【 乾癬・ベーチェット病 】オテズラ®︎(アブレラミスト)の特徴について取り上げていきたいと思います。

よろしくお願いしますっ!

オテズラ®︎(アプレラミスト)について

オテズラ®︎は、経口ホスホジエステラーゼ4阻害薬と呼ばれ、2017年2月に発売されました。

オテズラ®︎は、膠原病などの免疫疾患に対して使用されるステロイドなどの免疫抑制薬には該当せず、『免疫調節薬』となります。

免疫調節薬は、リウマチで使われるアザルフィジン®︎(サラゾスルファピリジン)やリマチル®︎(ブシラミン)、またSLEで使用されるプラケニル®︎(ヒドロキシクロロキン)などと同じで、免疫をマイルドに調整するイメージのお薬です。

なので、免疫抑制薬のような強い免疫力低下は起きず、感染症のリスクは基本的に上昇しない薬剤となります。

適応疾患は?

適応疾患は、以下のようになります。

尋常性乾癬

関節症性乾癬

ベーチェット病

どんな時に良い適応となりますか?

〈乾癬〉・・・ステロイド外用剤等で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者・難治性の皮疹又は関節症状を有する場合は、良い適応となります。

〈ベーチェット病〉・・・ステロイド外用剤などの局所療法で効果不十分な口腔潰瘍を有する場合に良い適応となります。

water droplet on green leaf

用法用量は?

オテズラ®︎の内服方法は、以下のように少し特殊になりますので注意してください。

1日目は10mgから開始し、2日目以降は、10mgずつ用量を増やしていきます。

6日目以降になると、 1日 2回 1回 30 mgの内服に固定されます。

1日目朝 10 mg
2日目朝 10 mg
夕 10 mg
3日目朝 10 mg
夕 20 mg
4日目朝 20 mg
夕 20 mg
5日目朝 20 mg
夕 30 mg
6日目以降朝 30 mg
夕 30 mg
薬価について

薬価は、以下のようになります(2020年7月改訂)

10 mg 1錠 330円

20 mg 1錠 660円

30 mg 1錠 990円

※薬価は変動する場合がありますのでご注意ください。

最初はスターターパックがついているので、ご安心ください。

1日60mgに固定されると、1ヶ月でおよそ6万円となりますね。
3割負担にすると、およそ18,000円の薬代ですね。
内服薬ですが、決して安いお薬ではないですね。。。




副作用は何がありますか?

5%以上下痢、悪心、頭痛
1 ~ 5%未満上気道感染、気管支炎、嘔吐、消化不良、
腹痛、緊張性頭痛、偏頭痛、
食欲減退、体重減少
疲労など
1%未満腹部膨満、浮動性めまい、不眠症、
うつ病、発疹など

注意すべき副作用

オテズラ®︎で特に注意すべき副作用は、『重度の下痢』に注意が必要です。

症状が強ければ、中止も検討します。

重大な副作用

基本的には、重大な副作用はほとんどまれです。

  • 重篤な感染症 0.7 %
  • アナフィラキシー 0.1 %未満

注意する併用薬はありますか? 〜薬剤相互作用について〜

オテズラ®︎はCYP3A4酵素誘導をする薬剤との併用には注意します。

具体的には、リファジン®︎(リファンピシン)、フェノバール®︎(フェノバルビタール)、アレビアチン®︎(フェニトイン)、テグレトール®︎(カルバマゼピン)などとの併用で、オテズラ®︎の血中濃度が低下します。

妊婦への投与は?

禁忌となっています。

オテズラ®︎(アプレラミスト)の特徴について

乾癬

乾癬に対する経口剤として使用できるのは大きなメリットです。

これまで乾癬には、塗り薬や生物学的製剤はありましたが、経口薬での治療薬としてオテズラ®︎は貴重な存在となります。

・乾癬においては『痒みの強い皮膚症状』に有効といわれています。

ベーチェット病

ベーチェット病については、特に口内炎や口腔潰瘍に対して非常に有効です。コルヒチンなどでコントロールできない口内炎がある方は、使用してみる価値はあります。

ベーチェット病による関節痛や皮疹に対しても、効果は期待できますが、口内炎よりは有効性は劣り、効果発現はゆっくり効いてくるイメージです。

作用機序は?

アプレラミスト(オテズラ®︎)は、ホスホジエステラーゼ4阻害薬です。

乾癬では、免疫細胞や表皮細胞ではホスホジエステラーゼ4が過剰発現しており、これにより、転写因子であるNF-κBは活性化し、CREBは抑制されています。

(NF-κBは、異物が侵入した際に炎症を起こすための転写因子で、一方CREBは、炎症を制御する転写因子です。)

これにより、IL-17、IL-23、TNFαなどの炎症性サイトカインの発現が亢進し、乾癬やベーチェット病の悪化につながっています。

ホスホジエステラーゼ4阻害薬(オテズラ®︎)によって、こういった炎症性サイトカインの発現を抑制させ、炎症を抑えることができます。

また、同時にオテズラ®︎が、抗炎症性サイトカインであるIL-10などを上昇させて、過剰な炎症を抑えていることもわかっています。

アプレラミスト(PDE4inhibitor)の作用機序の模式図

Ogawa E, et al. J Dermatol 45: 264-272, 2018.より引用

文献)

  • オテズラ®︎(アプレラミスト) 添付文書
  • 金城光代 リウマチ・膠原病の治療薬の使い方 洋土社
  • 浦部 晶夫ら 今日の治療薬 南江堂
“今回のまとめ”
  • オテズラ®︎は、乾癬、ベーチェット病に適応がある。
  • オテズラ®︎は、ホスホジエステラーゼ4阻害薬である。
  • オテズラ®︎は、免疫調節薬であり、経口剤で続けやすいのが特徴である。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?

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birds eye view of people on tropical beach