血管炎

【 IgA血管炎の治療について 】

こんにちは、今回はIgA血管炎の治療について取り上げていきたいと思います!

IgA血管炎の治療

IgA血管炎は、軽症例なら自然軽快することも多く、全体の20%は自然軽快するといわれています。一方、慢性化や重症化する場合も一定数は存在し、治療を要します。

ですが、実はIgA血管炎に確立した標準治療が現時点ではなく、ステロイドについても、その有効性について議論が別れているところです。

軽症な場合

自然軽快する場合は、安静や飲水励行といった支持療法をベースに、関節痛には鎮痛薬(ロキソニン®︎などのNSAIDs)、紫斑には止血薬といった対症療法を行います。

中等症以上の場合

上記の支持療法や対症療法で改善が乏しい場合は、まずは経口ステロイドによる治療を行います。

IgA血管炎にステロイドは効果あるの?

先程も述べましたが、現時点ではステロイドの効果は、まだ議論の余地がある部分が多いです。

高用量で開始して、ゆっくりと減量する一般的なストラテジーでも、再発や末期腎不全への進行など長期予後は改善していないとする報告が多いです。

しかし、病早期の投与が腎炎の慢性化を抑制する報告もあり、腹痛、関節痛などの症状も早期に抑えることができ、長期的に手術や入院なども避けられるとした報告もあります。

また、「ステロイドパルス療法」は予後不良因子を持つ腎炎を十分改善したとする報告もあり、比較的有効性のコンセンサスが得られているのも事実です。

つまり、以上の知見は、早期に免疫抑制療法によって治療介入することが大切であることを示唆しています。

プレドニン®︎(プレドニゾロン)の錠剤




他の免疫抑制薬は使いますか?

ステロイド以外の免疫抑制薬としては、ネオーラル®︎(シクロスポリン)、イムラン®︎ / アザニン®︎(アザチオプリン)やセルセプト®︎(ミコフェノール酸モフェチル)が使用されます。

ネオーラル®︎(シクロスポリン)が使用される多くの場合は、ネフローゼ症候群という高度なタンパク尿を認めるIgA血管炎の方に使用されます。

イムラン®︎ / アザニン®︎(アザチオプリン)は、エビデンスレベルは高くないですが使用される場合があります。

セルセプト®︎(ミコフェノール酸モフェチル)は、有効性の報告はありますが、症例数や長期間の効果などでまだ不十分ではありますが、使用を検討される場合があります。

ネオーラル®︎(シクロスポリン)のカプセル

その他の併用する薬はありますか?

IgA血管炎による糸球体腎炎に対して、抗血小板薬や抗凝固療法を併用する場合もあります。

具体的には、ペルサンチン®︎(ジピリダモール)、ヘパリン、ウロキナーゼなどが使用されます。

また特殊な例で、消化管障害がある方で、凝固因子である「第ⅩⅢ因子」低下を認める場合は、第ⅩⅢ因子の補充を行うことがあります。しかし、値段としては結構高額です。

ペルサンチン®︎(ジピリダモール)の錠剤

まとめ

IgA血管炎の約20%は自然軽快しますが、逆にいうと残りの80%は自然軽快せず、何らかの治療が必要となります。現状では、治療法が十分確立しているわけではなく、ステロイドも、エビデンス(有効性)が十分というわけではありません。

しかし、急性期に治療が必要と判断されれば、できるだけ早くに十分な免疫抑制療法を行うことが推奨されます。

ただし、再発予防には限界がると考えられ、漠然と強力な免疫抑制を行わないことも大切です。

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“今回のまとめ”
  • IgA血管炎は、約20%は自然経過するが、残りは何らかの治療を要する。
  • 治療には、ステロイドが基本となる。
  • 早期の治療介入が推奨される。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。参考になりましたら、高評価、コメントを頂けましたら嬉しいです?またTwitterのフォローもお願いします?

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