痛風

高尿酸血症の治療について【結晶性関節炎】

こんにちは、今回は『 高尿酸血症の治療 』について取り上げていきたいと思います。

お父さんが、健診で尿酸値が高いと指摘されていました。どういった場合に、治療が必要なのかとても気になります!

高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療方針

( 画像引用: https://med.mochida.co.jp/medicaldomain/circulatory/urece/pick/gout01.html )

高尿酸血症は、血清尿酸値 > 7.0 mg/dLと定義されていますが、

7以上といっても、全ての方が治療が必要なわけではありません

まず、痛風関節炎や痛風結節がある方で、尿酸値が 7 以上の方で治療の適応があります。

次に、痛風関節炎や痛風結節がない方で、血清尿酸値 ≧ 8 mg/dLの場合、合併症がある場合は、薬物治療も検討します

最後に合併症がない場合で、血清尿酸値 ≧ 9 mg/dLの場合は、薬物治療の適応(検討)になります。

〈 合併症 〉

  • 腎障害
  • 尿路結石
  • 高血圧
  • 虚血性心疾患
  • 糖尿病
  • メタボリックシンドロームなど

運動食事療法は大切!

高尿酸血症の治療の基本は、『 運動食事療法(生活習慣の改善) 』です。

治療方針の表にある通り、薬物療法を行うにしても、行わないにしても、生活習慣の改善は、高尿酸血症治療の基本になります。

〈 食事運動療法のポイント 〉

  1. 食事療法
    • プリン体の摂取量を 400 mg 程度に抑えることが推奨されています。
  2. 運動療法
    • 特に有酸素運動が推奨されています。
    • 有酸素運動は、肥満防止、メタボリックシンドロームの抑制を期待できます。
  3. 飲酒制限
    • アルコールには、尿酸の産生量を増やし、排泄を阻害する働きがあります
    • また、アルコールの利尿作用によって、尿酸値が上がりやすくなってしまします。
    • プリン体ゼロというアルコール商品もありますが、アルコールそのものに尿酸値を上げる働きがあるため、注意が必要です。

食品 100 g あたりのプリン体含有量

食品 100 g あたりのプリン体含有量
極めて多い
(300 mg以上)
鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イキサキ、ふぐ、たら)、あんこう(肝酒蒸し)、太刀魚、健康食品(DNA / RNA、ビール酵母、クロレラ、ローヤルゼルー)など
多い
(200〜300 mg)
豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ、サンマ)など
中等度
(100〜200 mg)
肉(豚・牛・鶏)類の多くの部位や魚など、ほうれん草(芽)、ブロッコリースプラウト
少ない
(50 〜 100 mg)
肉類の一部(豚・牛・鶏)、魚類の一部、加工肉類など、ほうれん草(葉)、カリフラワー
極めて少ない
(〜 50 mg)
野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏・うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など




高尿酸血症治療薬の目標値は?

痛風患者さんでは、尿酸値 『 6.0 mg /dL 以下 』を目指します。

6 mg/dL 以下を持続できれば、関節内に沈着した尿酸塩結晶の溶解、消失により再発予防となります

高尿酸血症薬のポイント

〈 高尿酸血症薬のポイント 〉

  • 尿酸生成抑制薬は、慢性腎病(CKD)の進行抑制効果が示されてる1-4)
  • 尿路結石の合併がある場合は、尿酸生成抑制薬(フェブリク®︎やザイロリック®︎など)を第一選択とする
  • 無症候性高尿酸血症(痛風の症状がない)の薬物治療介入については、エビデンスが十分ではなく、治療適応は慎重に判断する必要がある。
  • 痛風発作時は、高尿酸血症薬を開始しない(尿酸値の変動が発作を悪化させる恐れがあるため)。

高尿酸血症の治療薬は、

  1. 尿酸生成抑制薬
  2. 尿酸排泄促進薬

に大きく分けられます。

高尿酸血症でよく使用されるお薬である、ザイロリック®︎(アロプリノール)やフェブリク®︎(フェブキソスタット)は、尿酸生成抑制薬の部類になります。

それでは、それぞれを具体的にみていきたいと思います。

尿酸生成抑制薬

water droplet on green leaf

尿酸生成抑制薬は、プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害薬(アロプリノール)非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害薬(フェブキソスタット、トピロキソスタット)に分かれます。

非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害薬であるフェブキソスタット、トピロキソスタットは、アロプリノールの後に開発され、異なる機序で、尿酸生成を抑制します

フェブキソスタット、トピロキソスタットの特徴は、基本的に中等度の腎障害がある方でも用量の調節が不要であることです。

腎障害がある場合の尿酸生成抑制薬の使い方

代謝・排泄腎障害時
ザイロリック®︎
(アロプリノール)
全身の臓器で代謝
腎臓から排泄
腎障害がある場合は、減量が必要
フェブリク®︎
(フェブキソスタット)
肝臓で代謝
尿中・糞中から排泄
軽度〜中等度からの腎障害でも調節不要
トピロリック®︎ / ウリアデック®︎(トピロキソスタット)肝臓で代謝
尿中・糞中から排泄
軽度〜中等度からの腎障害でも調節不要

併用禁忌

ロイケリン®︎(メルカプトプリン)とイムラン®︎ / アザニン®︎(アザチオプリン)の相互作用があり、併用禁忌の薬剤です。

アロプリノールは、添付文書上は、併用注意となっていますが、通常併用しません。

ザイロリック®︎(アロプリノール)

用法用量1日 200 〜 300 mgを2 〜 3回に分けて食後に内服
  • アロプリノール(ザイロリック®︎)は、腎機能に応じた投与量の調整が必要です。
腎機能アロプリノール投与量
Ccr > 50 ml/分100 〜 300 mg/日
30 ml/分 < Ccr ≦ 50 ml/分100 mg/日
Ccr ≦ 30 ml/分50 mg/日
血液透析透析時終了に 100 mg

Ccr:クレアチニンクリアランスのこと。Ccrは、腎機能の指標の一つで、糸球体が濾過する原尿の量とほぼ一致するため、Cre(クレアチニン)よりもより厳密な腎機能を反映します。

フェブリク®︎(フェブキソスタット)

用法用量初期量:1日1回 10 mgから開始し、必要に応じて徐々に増量する
維持量:1日1回 40 mg
最大:1日 60 mgまで
  • フェブキソスタット(フェブリク®︎)は、尿中・糞中から排泄されるため腎機能低下時でも使用できる。
  • フェブリク®︎は、尿酸生成抑制薬として、使用頻度が高い薬剤です。

トピロリック®︎ / ウリアデック®︎(トピロキソスタット)

用法用量初期量:1回 20 mg、1日2回 朝夕より開始し、尿酸値を確認しながら徐々に増量する
維持量:1回 60 mg 1日 2回 内服する
最大:1回 80 mg、1日2回

尿酸排泄促進薬

yellow and and blue colored pencils

尿酸排泄促進薬は、腎臓の尿酸トランスポーター(URAT)の作用を修飾することで、尿中の尿酸排泄を促進して、高尿酸血症を改善させる薬剤です。

尿酸排泄促進薬の注意点

尿酸排泄促進薬は、尿中の尿酸排泄が上昇するため、尿路結石のリスクが上がります。

このため、水分を十分に摂取し、『 1日尿量が 2L 以上 』になるようにし、

また尿を アルカリ化させる食品やクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合薬(ウラリット®︎)を検討する必要があります(酸性尿では尿路結石が形成されやすくなるため)。

具体的には、尿 pH 6.0 未満では、pH 6 〜 7を目安に尿アルカリ化薬の併用を検討します。

ベネシッド®︎(プロベネシド)

用法用量1錠 250 mg
初期量:1日 0.5 〜 2 g
維持量:1日1 〜 2 g

プロベネシドは、昔からある尿酸排泄促進薬ですが、最近は使用頻度は少なくなってきています。

ユリノーム®︎(ベンズブロマロン)

用法用量初期量:1日 1回 25 〜 50 mg
維持量:1回 50 mg、1日1 〜 3 回

ユリノームは、尿酸排泄促進薬の中で使用頻度が多い薬剤ですが、肝障害の報告(劇症肝炎)があるため、投与開始後少なくとも6ヶ月間は、必ず定期的に肝機能検査を行います。

パラミヂン®︎(ブコローム)

用法用量1カプセル 300 mg
1日 300 〜 900 mgを内服

ユリス®︎(ドチヌラド)

用法用量初期量:1日 1回 0.5 mgより開始
維持量:1日1回 2 mg
最大:1日 4 mgまで

ユリス®︎(ドヌラチド)は、日本で開発され、尿酸トランスポーター1(URAT1)の選択性が高いことが特徴です。

URAT1の選択性が高いことで、尿酸の腎外排泄を抑制しにくくし、腎臓の尿酸排泄負荷を減らす可能性があると考えられています5)




〈参考〉

  • 1) Goicoechea M, et al. Clin J Am Soc Nephrol. 2010;5:1388-93.
  • 2) Goldfarb DS, et al. J Rheumatol. 2011;38:1385-9.
  • 3) Johnson RJ, et al. Nephrology Dialysis Transplantation. 2013;28:2221-8.
  • 4) Sircar D, et al. Am J Kidney Dis. 2015;30.
  • 5) 久留一郎. 診断と治療 2020;108:1235-40.
  • 日痛風・尿酸核酸学会 2019年改訂 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社
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“今回のまとめ”
  1. 高尿酸血症の治療は、ただ値が高いだけでは治療適応にはならず、痛風関節炎や痛風結節の既往があったり、合併症がある場合に考慮される。
  2. 治療する場合は、血清尿酸値 6 mg/dlを目標とする。
  3. 高尿酸血症薬は、尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬抑制薬に大別される。
  4. 尿酸生成抑制薬は、慢性腎臓病の進行抑制作用も期待できる。
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