痛風

痛風について【結晶性関節炎】

こんにちは、今回は結晶性関節炎の一つである痛風について取り上げていきたいと思います。

先日、お父さんが痛風発作でものすごく痛がっていたので、詳しく知りたいです。

痛風ってなに?

痛風は、関節リウマチよりも聞くことが多いかもしれませんが、高尿酸血症を背景に、関節内に、針状の尿酸結晶が蓄積し、そこで強い関節炎が起きる病気のことをいいます。

また、実際に尿酸結晶が、関節炎を起こしている状態を『 痛風発作 』といいます。

尿酸は、核酸やプリン体の最終代謝産物

尿酸は、外因性プリン体(食べ物由来)やDNA、RNAなどの核酸(内因性プリン体)が肝臓で生成された最終代謝産物です。

DNAやRNAなどの核酸自体は、生命維持に不可欠な物質なのですが、食事などによって外因性プリン体として過剰に摂取してしまうことで、高尿酸血症の状態が持続してしまい、痛風を起こす原因となってしまうのです。

尿酸結晶だけじゃない、結晶性関節炎を起こす結晶

痛風は、より広い意味で結晶性関節炎といいます。

結晶性関節炎は、結晶が関節内に沈着することによって起きる強い関節炎のことで、痛風を起こす尿酸結晶以外にも以下のものが知られています。

結晶性関節炎の原因となる結晶
  • ピロリン酸カルシウム結晶(CPPD:calcium pyrophosphate depositon)
  • 塩基性リン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイトなど)
  • コレステロール
  • アミロイドなど

ピロリン酸カルシウム(CPPD)が、関節に沈着することで、起きる関節炎は、『 偽痛風 』といいます。

偽痛風は、痛風と並んで結晶性関節炎として、とてもポピュラーな疾患です。

尿酸値を上げる食べ物

  1. プリン体が多い食材レバー、あんこう、干物(マイワシ、マアジ)、カツオ、その他の肉類など
  2. ビールなどのアルコール
    • アルコールには、尿酸の産生量を増やし、排泄を阻害する働きがあります
    • また、アルコールの利尿作用によって、尿酸値が上がりやすくなってしまします。
    • プリン体ゼロというアルコール商品もありますが、アルコールそのものに尿酸値を上げる働きがあるため、注意が必要です。

高尿酸血症とは?

痛風は、尿酸を多く含む食材を摂取することで、血液中の尿酸値が高いことが長く持続することが原因で起こります。

では、尿酸値がいくらから高尿酸血症でしょうか?

高尿酸血症は、血清尿酸値 ≧ 7.0 mg/dlと定義されています。

ただし、『 脱水 』によって尿酸値が上昇することもよくあります。

逆に、脱水を疑ったときに、尿酸値を参考にすることもよくありますので、尿酸値を見るときに体が脱水状態でないことも大切です。

尿酸値を上昇させる可能性がある薬剤

降圧利尿薬フロセミド(ラシックス)、トリクロルメチアジド(フルイトラン)、インダパミド(ナトリックス)など
消炎鎮痛薬アスピリン
免疫抑制薬シクロスポリン(ネオーラル®︎、サンディミン®︎)、タクロリムス(プログラフ®︎)、ミゾリビン(ブレディニン®︎)
気管支拡張薬テオフィリン(テオフィリン®︎、テオロング®︎、ユニフィル®︎)
抗結核薬ピラジナミド(ピラマイド®︎)、エタンブトール(エブトール®︎)




症状のない無症候性高尿酸血症期がある

痛風は、高尿酸血症があったとしても、すぐに発症するわけではありません。

痛風発作が発症するには、通常『2 〜 10年』の無症候性高尿酸血症期があります

この期間に、少しづつ関節内に尿酸結晶が沈着します。

そして、ある時点をきっかけに『 痛風発作 』が発症します。

痛風発作が起きやすい関節

〈 痛風発作が起きやすい関節 〉

  • 足の親指
  • 足関節(足首)
  • 膝関節
  • 手関節(手首)
  • 肘関節
  • 足の甲

検査のポイント

血液検査

痛風発作時

痛風発作時は、炎症反応の上昇を認めます。

一方で、尿酸値は、発作時は正常のことも多いのが特徴です。

〈 痛風発作時の血液検査のポイント 〉

  • 炎症反応上昇:WBC(白血球) ⬆︎、CRP ⬆︎、赤沈1時間値(ESH1h) ⬆︎
  • 尿酸値:発作時は、正常のことも多い

画像検査

単純X線(レントゲン)

発作時は、特徴的な所見はありませんが、慢性化すると、骨びらんの周りが境界明瞭で縁がせり出している(overhanging margin)ような所見を認めることがあります。

他にも、関節裂隙が保たれるといった所見もあります。

関節液検査

通常、初回の痛風発作は、80%が単関節炎(1つの関節のみの炎症)といわれています。

単関節炎の場合は、細菌による細菌性関節炎の可能性も考慮することも非常に大切です。

なので、単関節炎の場合可能なら、可能な限り関節液検査をすることが望ましいです

  1. 細菌性関節炎の場合は、関節液の培養検査で、起因菌が同定できます
  2. 結晶性関節炎の場合は、偏光顕微鏡によって、結晶(尿酸結晶やピロリン酸カルシウム結晶)を確認します。
  3. 関節液の細胞数(白血球数:WBC)を確認することで、炎症の度合いを確認できます(ただし、細菌性でも結晶性でも上昇してしまいます)。

〈 関節液ちゅうの尿酸の針状結晶 〉

(画像引用: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%97%9B%E9%A2%A8

鑑別診断

痛風関節炎を考える上で、『 細菌性関節炎あるかどうか 』はとても大切です。

特に、単関節炎(1関節のみ)の場合は、痛風でも感染性もどちらも可能性は高くなるため、鑑別をしっかりする必要があります。

単関節炎の場合は、可能な限り積極的に関節液検査をすることを検討します。

また、痛風関節炎と細菌性関節炎が合併し、両者が共存することもありますので注意が必要です。

痛風の主な鑑別疾患
  • 細菌性関節炎
  • 偽痛風
  • 回帰性リウマチ
  • 変形性関節症
  • 関節リウマチなど




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“今回のまとめ”
  1. 高尿酸血症は、血清尿酸値 ≧ 7.0 mg/dlと定義されている。
  2. 高尿酸血症を認めてから、痛風発作が生じるまでに、2〜10年の無症候性高尿酸血症期がある。
  3. 特に単関節炎の場合は、細菌性関節炎を鑑別することは重要である(治療が異なるため)。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?

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