こんにちは、今回は『 痛風発作の治療 』について取り上げていきたいと思います。
お父さんが、痛風発作でとても痛がっていたので、どういった治療をするのか気になります。
Contents
痛風発作の治療
まずは、痛風発作時(痛風関節炎急性期)の治療の原則をみてみましょう。
痛風発作時の治療の原則
〈 痛風発作時の治療の原則 〉
- 痛風発作は、無治療では、7日後も大半で疼痛が持続すると報告されており1)、薬物治療を行うことが原則です。
- ただし、痛風発作が起きた場合は、尿酸降下薬は開始せず、❶ コルヒチン、❷ NSAIDs、❸ ステロイドのいずれか、または併用投与します。
- 痛風発作の治療はできるだけ早く開始し、経過したら中止する。
- 発作中は、禁酒することが大切。
なんで、痛風発作なのに尿酸降下薬を開始しないのですか。
痛風発作で尿酸降下薬を開始しない理由は、むしろ、血清尿酸値を変動させることで、発作が悪化してしまう場合もあるためです。
それでは、痛風発作時に使用される3剤の使い方のポイントをみてみましょう。
〈 痛風発作で使用される3剤 〉
- コルヒチン
- NSAIDs(解熱鎮痛薬)
- ステロイド
❶ コルヒチン
〈 コルヒチン使用のポイント 〉
- 発作初期、発作前兆期に少量使用するのが一般的です。
- 具体的な飲み方は、発症12時間以内に 1 mg、その1時間後に0.5 mgを内服します。
- 翌日以降に残存する疼痛に対して、0.5 〜 1mg / 日 内服します。
- 副作用は、下痢や腹痛といった消化器症状に注意が必要です。
- コルヒチンの作用機序は、微小管形成を阻害し、ミトコンドリアの移動を妨げ、IL – 1β(炎症性サイトカインの一つ)の放出を抑制することで発作を予防します。
❷ NSAIDs
NSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs:エヌセイズ)は、『 非ステロイド性抗炎症薬 』のことで、痛み止め(解熱鎮痛薬)として一般的に使われています。
NSAIDsの使い方は、『 痛風発作時の短期間のみ、比較的大量に投与することが原則 』です。
● 痛風関節炎に適応があるNSAIDs
添付文書に基づく投与方法 | ||
ナイキサン®︎ (ナプロキセン) | ・ 通常、成人にはナプロキセンとして1日量 300 〜 600mgを2〜 3回に分けて内服する。 ・ なるべく空腹時を避ける。 ・ 痛風発作には初回 400 〜 600 mgを内服する。 | |
二フラン®︎など (プラノプロフェン) | ・ 痛風発作には、プラノプロフェンとして、成人1回 150 〜 225 mgを1日3回、その後翌日から、1回 75 mgを1日3回食後に内服する。 | |
アルボ®︎など (オキサプロジン) | ・ 通常、成人にはオキサプロジンとして 1 日量 400 mgを 1 〜 2 回に分けて内服する。 ・ 1日最高量は、 600 mg。 |
【鎮痛薬】ロキソニン®︎(ロキソプロフェン)とセレコックス®︎(セレコキシブ)の違い 〜 NSAIDs 〜
まなみさんは、ロキソニン®︎よりもセレコックス®︎の方が合っていると思いますので、セレコックス®︎を処方しておきますね。
ありが...
❸ ステロイド
〈 ステロイド投与のポイント 〉
- ステロイドは、抗炎症効果はとても高いのですが、副作用の影響も大きいため、NSAIDsが使用できない場合や、NSAIDsが無効であった場合、多関節炎を生じている場合などに使用を検討します。
- ステロイドは、プレドニゾロン換算で 20 〜 30 mg/日を目安に、3 〜 5日間投与します。
- ステロイドを、関節内注射、筋肉注射による投与も可能です。
痛風結節は治りますか?
痛風結節は、治るのですか?
痛風結節は、尿酸降下薬によって、尿酸値を適切にコントロールすると治るんだにゃ。では、具体的なポイントをみてみるんだにゃ。
〈 痛風結節治療のポイント 〉
- 痛風結節は、尿酸降下薬で治療することが原則です。
- 尿酸降下薬によって血清尿酸値を低下させることで、痛風結節内の尿酸結晶が減少し、結節の縮小あるいは消失、再発防止が可能です。
- 尿酸値の目標は、『 6.0 mg/dL 以下 』に保つことです。
- 重症の場合は、 5.0 mg/dL 以下 を目標にします。このため、尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬を併用することも検討します。
- 感染や潰瘍形成、神経障害、関節機能への影響が大きい場合などは、外科的手術も考慮されます(尿酸降下薬で尿酸値のコントロールも必要です)。
〈参考〉
- 1) Bellamy N, et al. Br J Clin Pharmacol 1987;24:33-6.
- 日本痛風・尿酸核酸学会 2019年改訂 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社
“今回のまとめ”
- 痛風発作の治療は、コルヒチン、NSAIDs(鎮痛薬)、ステロイドのいずれか、または併用投与で、発作時は、尿酸降下薬(フェブリク®︎など)は開始しない。
- 痛風発作の治療はできるだけ早く開始し、軽快したら中止する。
- 発作中は、禁酒することが大切。
- 痛風結節は、尿酸降下薬で血清尿酸値を『 6.0 mg/dL 以下 』に保つことで、治療を行う。
痛風について【結晶性関節炎】
こんにちは、今回は結晶性関節炎の一つである痛風について取り上げていきたいと思います。
先日、お父さんが痛風発作でものすごく痛がっ...
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