関節リウマチ

メトトレキサートで重篤な副作用が起きた時のロイコボリン®︎レスキューについて【MTX】

こんにちは、今回は『 メトトレキサートで重篤な副作用が起きた時のロイコボリン®︎レスキュー 』について取り上げていきたいと思います。

リウマチで、ずっとメトトレキサートを飲んでいますが、副作用の対応についてはずっと気になっていました。

〈 メトトレキサート(MTX)の商品名 〉

  • リウマトレックス®︎
  • メトレート®︎

ロイコボリン®︎レスキューについて

メトトレキサートは、関節リウマチの第一選択薬として、多くのリウマチ患者さんに使用されていますが、

稀に重篤な副作用(重篤あるいは症状を伴う血球減少など)を認める場合があります。

今回は、こういった重篤な副作用を認めた時に施行されるロイコボリン®︎レスキューについて紹介していきます。

メトトレキサートの主な副作用

メトトレキサートの構造は葉酸に類似しており、葉酸代謝拮抗作用を持ちます。

用量依存性の副作用(口内炎、嘔気、肝障害、大急性貧血など)は、この葉酸代謝拮抗作用と関連しています。

まずは、メトトレキサートで起こしうる主な副作用をみていきます。

メトトレキサートによる主な副作用
  1. 口内炎、咽頭痛
  2. 倦怠感
  3. 消化器症状
    • 食思不振
    • 嘔気 / 嘔吐
    • 下痢
  4. 肝障害
    • AST、ALT、ALP
  5. 肺炎
    • 細菌性肺炎
    • ニューモシスチス肺炎
    • メトトレキサート関連間質性肺炎など
  6. 骨髄障害(血球減少)
    • 白血球減少
    • 大葉性貧血
    • 皮下出血
  7. 腎機能低下

口内炎

メトトレキサートによる口内炎の発現頻度は、10.8 〜 19.3%と高い頻度で認められると報告されているます1,2)

消化器症状

また、嘔気や嘔吐、食思不振といった消化器症状も起こしやすく、嘔気が原因で中々服用が難しかったり、稀に服用を中止してしまう場合もあります。

葉酸欠乏を示唆する所見は?

  • 口内炎や血液検査でのMCVの上昇( > 100 fL、赤血球1個あたりの平均的な大きさ) は、葉酸欠乏を示唆しているといわれています。
  • この葉酸欠乏は、骨髄障害を予測する所見とされています。




副作用の予防のためにできること

葉酸製剤を投与

口内炎や消化器症状(下痢、食思不振など)、肝酵素上昇(AST、ALT)を抑制し、治療継続率を高める目的で、葉酸製剤を投与します。

フォリアミン®︎(葉酸)

用法用量原則 1錠 5 mgを、メトトレキサート内服後24 〜 48時間(1日〜2日)以内に内服

フォリアミン®︎は、メトトレキサート何mgから飲んだ方がいいのですか?

  1. フォリアミン®︎を内服する目安は、メトトレキサートを 0.15 mg/kgの用量では必ずしも必要ではありません
    • メトトレキサート 0.15mg/kgは、体重 50kgですと、7.5 mg、体重 60kgですと 9mgとなります。
  2. 高用量 0.2 mg/kg もしくは 8 mg/週以上の場合や副作用のリスクが高い場合は、フォリアミンの投与が推奨されます

フォリアミン®︎ 5mgでも口内炎や肝障害が良くなりません。

フォリアミン®︎ 5 mgでも、口内炎や肝障害が改善しない場合は、2錠 10 mgまで増量することで、改善する場合もあります。

また、嘔気や嘔吐が強い場合は、制吐薬を併用したり、内服を何回かに分割すること(1回に内服するのを2回に分割するなど)で症状を抑えられることがあります。

稀だけど重症な副作用

  • メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)
  • メトトレキサート関連間質性肺炎:頻度 1〜7%3,4)

メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患は、また別の機会にお話したいと思います。

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ロイコボリン®︎レスキューの実際の対応

では、メトトレキサートによる重篤な副作用が起きた場合のロイコボリン®︎レスキューについてみていきましょう。

どういった時にロイコボリン®︎レスキューを考慮する?

ロイコボリン®︎レスキューを検討する場合は、腎障害がありメトトレキサートの血有濃度が上昇が予想される場合や重篤あるいは症状を伴う血球減少症が起きている場合などです。

重篤な骨髄障害を起こす危険因子 6つ

  1. 腎機能障害がある: eGFR < 60
  2. 高齢者 70歳以上
  3. 葉酸欠乏がある
  4. 多数薬剤(5剤以上)の併用がある
  5. 低アルブミン血症がある
  6. 脱水がある

実際の対応

ロイコボリン®︎レスキューの実際の対応
  • まずは、メトトレキサートの中止
  • ロイコボリン®︎注 6 ~ 12 mgを6時間ごとに筋注あるいは静注、あるいは、ロイコボリン®︎錠 10 mgを6時間ごとに投与します。
  • ロイコボリン®︎の1日量投与の目安は、患者さんのメトトレキサート投与量の3倍程度とします。
  • メトトレキサートの排泄を促す目的で十分な補液(点滴)と尿のアルカリ化(ウラリット®︎など)を行う。
  • 投与期間の目安は、『 副作用が改善するまで 』行います。
  • また、血球減少における好中球減少に対して、G-CSF(顆粒球頃のー形成刺激因子)製剤を併用したりします。

メトトレキサーとは、関節リウマチの治療には、とても大切な薬(アンカードラッグ)なので、副作用を適切にコントロールしながら、続けていくことがとても大切ですね。




〈参考〉

  • 1) 二宮洋子, 他. 医療薬 2004;30:705-12.
  • 2) 古谷武文, 他. リウマチ 1996;36:746-53.
  • 3) Kinder AJ, et al. Rheumatology 2005;44:61-6.
  • 9) Saravanan V $ Kelly CA. Rheumatology 43;143-7.
  • 日本リウマチ学会 関節リウマチ治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイドライン 2016年改訂版 羊土社
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今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?

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