こんにちは、今回はIgG4関連疾患の治療について取り上げていきたいと思います。
疾患の次は、治療ですね。
よろしくお願いしますっ!
IgG4関連疾患の治療の基本は『 ステロイド 』
IgG4関連疾患の治療の基本は、
ステロイドが使用されます。
やっぱり、ステロイドが使われるのですね。。。
はい、IgG4関連疾患の治療には、ステロイドが第一選択薬です。
なのですが、
これは、IgG4関連疾患は、ステロイドへの反応性が非常に良好なためです。
治療によって、比較的早期に、唾液線の腫脹や、膵臓や腎臓、肺の腫大や腫瘤像は縮小していきます。
ステロイドの初期量はどれくらいですか?
ステロイドの初期量は、通常 『 中等量 』から開始します。
中等量とは、
プレドニゾロン(プレドニン®︎)換算で、『 0.5 ~ 0.6 mg / kg / 日 程度 』を使用します。
減量のスピードはどれくらいですか?
プレドニゾロン(プレドニン®︎)の減量スピードは、
初期量で、改善を認めたら、『 およそ2週間に 5 mg程度 』の速さで減量します。
プレドニゾロンが10 mg以下になると、再燃が多くなります1)。
そのため、10 mg以下では、症状などをみながら慎重に減量をおこなっていくことが大切です。
プレドニゾロン(プレドニン®︎)の維持量はどれくらいですか?
ステロイドをoffにしてしまうと、再燃の可能性も高くなるため、
プレドニゾロンは維持量で、内服を続けることが多いです。
プレドニゾロンの維持量は、おおむね『 5 〜 10 mg / 日 』です。
多臓器に病変がある場合は、どうしますか?
多臓器に病変があった場合は、ステロイドの初期量を中等量でなく、高用量から開始することもあります。
高用量は、プレドニゾロン換算で、『 0.8 〜 1.0 mg/kg 』です。
- IgG4関連疾患の治療の第一選択薬は、『ステロイド』である。
- これは、IgG4関連疾患のステロイドの反応性が非常に良好なためである。
治療のタイミングは、どうしたらいいですか?
場合によっては、経過観察も一つの選択肢ではある。
IgG4関連涙腺・唾液腺炎であるミクリッツ病は、軽症の場合、治療介入しないで、自然軽快する事もあります。
なので、症状もなく、病変も大きくない場合は、経過観察も一つの選択肢となることはあります。
治療が遅れると、不可逆的な状態になってしまう。
ですが、
IgG4関連疾患は、『 組織の線維化をきたす病気 』です。
この線維化を放っておくと、気づいたら病気が進行し、不可逆的な状態になってしまうことがあります。
放っておいたら、治療しても唾液量が戻らないこともあるのですね。(・_・;
ミクリッツ病(IgG4関連涙腺・唾液腺炎)の報告によると、 治療介入が2年以上遅れると、唾液分泌機能障害の回復が限定的であったという報告もあります2)。
なので、
基本的には、診断されたら、機能の改善が不可逆的になることを防ぐために、速やかな治療開始が望ましいです。
ステロイドで効果が不十分であった場合はどうしますか?
ステロイドで効果が不十分であったり、減量中に症状や腫脹、腫瘤の再燃を認めた場合は、
ステロイドを再増量せずに、他の免疫抑制薬が使用されることが多いです。
使用される免疫抑制薬は、
- メトトレキサート
- アザチオプリン(イムラン®︎ / アザニン®︎)
- ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト®︎)
が選択されることが多いです。
ただし、この3剤も十分なエビデンスがある訳ではないため、治療評価においては慎重におこなっていく必要があります。
また、最近では、リツキシマブ(リツキサン®︎)の有効性の報告も多く3)、難治例に使用される場合があります。
IgG4は活動性マーカーになりますか?
IgG4関連疾患は、基本的に、治療によって『 IgG4の低下 』を認めます。
なので、
活動性の目安として、血液中のIgG4濃度を参考することが多いです。
ただし、
時にIgG4値のが活動性と連動しない場合もあり、完全に活動性マーカーになるわけではありません。
そういった場合は、症状や、画像検査などを総合的に活動性の評価をします。
私も、毎回血液検査では、IgG4の値を測ってもらっていますが、症状や画像検査などを総合的判断することが大事なのですね。
ステロイドの副作用の対策
ステロイドは、副作用が多いと聞くので、少し心配です。
何か、対策とかはありますか?
ステロイドは、抗炎症効果が高い反面、副作用が多いのも事実です。
副作用やその対策については、こちらにまとめてありますので、ご参照ください。
〈参考〉
- 1) Shirakashi M, et al. J Autoimmun 2012;39:93-96.
- 2) Shimizu Y, et al. Arthritis Rheum 2012;64:3061-3067.
- 3) Khosroshahi A, et al. Erthritis Rheumatol 2010;62:1775-1762.
- 岡崎 和一、川 茂幸 最新IgG4関連疾患 改訂第2版 診断と治療社
- IgG4関連疾患の治療の基本は「ステロイド」が使用され、中等量(0.5 ~ 0.6 mg/kg/日)から開始されることが多い。
- その他の免疫抑制薬は、メトトレキサートやアザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチルが使用されるが、難治例にはリツキシマブも使用される。
- プレドニゾロンが10 mg以下の時に再燃する可能性が高く、慎重に経過を見る必要がある。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?
リンク
※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。