レイノー現象

レイノー現象の治療について【非薬物治療・薬物治療】

こんにちは、今回はレイノー現象の治療についてを詳しく解説していきたいと思います!

レイノー現象の治療薬は、意外に数が多くてどれが効くのか気になっていました!
ぜひよろしくお願いしますっ!

レイノー現象の治療について

レイノー現象は、

原疾患がある二次性の場合は、まずは原病の治療を行うことが大切です。

それと並行して、非薬物治療や、症状が強い場合は薬物治療を行っていきます。

まずは非薬物治療から

原疾患の治療を行いながら、まずは非薬物治療を行います。

非薬物治療は、以下の悪化因子を避ける治療になります。

  • 寒冷暴露
  • 精神的ストレス
  • 喫煙
  • 血管収縮作用のある薬剤

① 寒冷暴露を避けるために

  • 冷たい水は避け、温水を使う
  • できるだけ外気(冷気)に当たるのを避けるため、手袋、マフラー、帽子、ストッキングを活用する(手指以外に外気が当たってもレイノー現象を誘発することがあるため)
  • ピッタリした服ではなく、ゆったりとした洋服を着る。
  • 可能なら、食器洗い機を使用する。など

② ストレスを避ける

ストレスもレイノー現象の誘因となるため、できる限りリラックスし、ストレスを溜めずに過ごすことを心がけます。

③ 禁煙【推奨度A】

喫煙は、間質性肺炎や関節炎などは言うまでもなく、あらゆる疾患の増悪因子になるため、

禁煙が大切です。

さらに、喫煙は『ニコチンによる血管収縮作用』があるため、症状が強いレイノー現象の場合は、禁煙は徹底します。

④ 血管収縮作用のある薬剤は、レイノーの症状が強い場合にはできるだけ避ける

レイノー現象が強い場合には、血管収縮作用がある薬剤を飲んでいると症状が悪化する場合があります。

そういった場合は、血管収縮作用がある薬剤はなるべく避けます。

( ※ 血管収縮薬の必要性が高い場合は、除きます。)

〈 血管収縮作用のある薬剤の例 〉

適応疾患
エフェドリン 気管支喘息、感冒、上気道炎など
クリアミン®︎
(エルゴタミン)
血管性頭痛、片頭痛、緊張性頭痛
メトリジン®︎
(ミドドリン)
本体性低血圧症、起立性低血圧
スマトリプタン®︎ / イミグラン®︎
(スマトリプタンコハク酸塩)
片頭痛
アマージ®︎
(ナラトリプタン)
片頭痛
ゾーミッグ®︎
(ゾルミトリプタン)
片頭痛




薬物治療

実は、現在の医学では、

レイノー現象自体に、有効性が高い薬剤は少ないのが現状です。

なので、レイノー現象は、リウマチ・膠原病科医や皮膚科医などが、頭を抱える症状の一つです。

私も、先生から、効果は期待できるけど劇的に改善する訳ではないから、しっかり保温などの対策もしてくださいと言われました。

そうなのです。

患者さんも、非薬物療法を行いながら、薬物療法も併用するのが現状かと思います。

ここでは、レイノー現象に対して使われている薬剤を紹介していきます。

参考として、強皮症ガイドラインにおける推奨度を記載します。

強皮症のガイドラインにおけるものなので、その他の疾患においてはあくまでも参考としてください。

推奨グレード
A 強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる。
B 科学的根拠があり、行うよう勧められる。
C1 科学的根拠はないが、行うよう勧められる。
C2 科学的根拠はないが、行わないよう勧められる。

第一選択薬(first choice): カルシウム拮抗薬(降圧薬)【推奨度A】

レイノー現象の第一選択薬は、カルシウム拮抗薬です。

カルシウム拮抗薬は、日常診療でよく使われている降圧剤の一つです

カルシウム拮抗薬
  • アダラート®︎(ニフェジピン)
  • アムロジン®︎(アムロジピン)
  • ヘルベッサー®︎(ジルチアゼム)

臨床試験

ニフェジピン(アダラート®︎)は、レイノー現象の頻度、期間、重症度を有意に軽減することが、ランダム化コントロール試験で示されています1)

またメアアナリシス(meta-analysis)の報告もあり、プラセボと比較してレイノー現象の頻度、期間、重症度を軽減したと報告されています2)

しかし、欧米では、レイノー現象に対してカルシウム拮抗薬はよく使われているのですが、降圧薬であり、これによりめまいやふらつきを起こすこともあり、日本では、使用頻度が高い訳ではありません。

レイノー現象に対しては、有効性は報告されているため、高血圧がある方などは良い適応となります。

ACE(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)またはARB(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)(降圧薬)【推奨度C1】

※ 推奨度は強皮症ガイドラインによるものです。

ACEやARBの例
  • ロサルタンK®︎(ロサルタン)
  • レニベース®︎(エナラプリル)など

ACEやARBも降圧薬の仲間です。カルシウム拮抗薬ほどの有効性はいわれていませんが、同じ降圧薬系として、効果を期待します。

ニコチン酸トコフェロール(ビタミンE製剤)

ユベラ®︎(トコフェロール酢酸エステル)

ユベラ®︎は、レイノー現象に対しても多く使用されるお薬で、ビタミンEを主成分とする薬です

ユベラに含まれるビタミンEには、末梢血管を拡張する作用があり、これがレイノー現象による血流障害の改善を促します。

選択式セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

ジェイゾロフト®︎(塩酸セルトラリン)

神経伝達物質であるセロトニンには、血管平滑筋収縮作用・血小板凝集作用もあります。

このセロトニンが、血管障害の病態に関与していることが示唆されており、選択的セロトニン再取り込み阻害薬によってレイノー現象の病態改善を図ります。

α1受容体遮断薬(降圧薬)

ミニプレス®︎(プラゾシン)

α1受容体遮断薬は、降圧薬の一つで、交感神経のα(アルファ)受容体を遮断して、血管を広げることによりレイノー現象の改善を図ります。

ニトログリセリン製剤

ニトログリセリンは、狭心症発作の冠動脈拡張薬としてよく使われるお薬ですが、

ニトログリセリンによる血管弛緩作用は、静脈に対しても強く働きます

これを利用して、レイノー現象の症状の改善を図ります。

water droplet on green leaf

難治例や潰瘍・壊疽などがある重症の場合

抗血小板薬【推奨度C1】

アスピリン(バファリン®︎)

プレタール®︎(シロスタゾール)

プレタール®︎は、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬の一つです。

ホスホジエステラーゼは、cAMPやcGMPという生体内の物質を分解する酵素です。

cAMPやcGMPには、『 抗血小板作用や血管拡張作用など 』があります。

このホスホジエステラーゼを阻害することで、cAMPやcGMPの分解を防ぎます。

これにより、レイノー現象の改善を図ります。

アンプラーグ®︎(サルボグレラート)

アンプラーグ®︎もまた、抗セロトニン作用を持ちます。

先ほどありました通り、セロトニンには血管平滑筋収縮作用があり、これを阻害することで、末梢血管の拡張を期待できます。

臨床試験

57例の強皮症患者におけるレイノー現象に対する、サルボグレラート(アンプラーグ®︎)の有効性を評価する多施設 open studyでは、

  • 冷感が 29 %の症例で改善
  • しびれ感が 35 %の症例で改善
  • 疼痛が 28 %の症例で改善

したと報告されている3)

エパデール®︎(イコサペント酸エチル)

エパデール®︎には、コレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)を低下させる作用があり、高脂血症の治療薬としてよく使用されています。

他にも、エパデールには、赤血球の膜の流動性を高めて血液粘度を下げる働きがあります。

これを利用して、レイノー現象による血流障害の改善を図ります。

プロスタグランジンI2製剤(PGI2製剤)【推奨度C1】

ドルナー®︎ / プロサイリン®︎(ベラプロスト)

臨床試験

107例の強皮症患者を対象として、ベラプロストのレイノー現象および指趾尖潰瘍に対する有効性を検討した、多施設二重盲検前向き試験では、

プラセボと比較して指趾尖潰瘍抑制、レイノー現象抑制において、有意な差は認められませんでした。4)

プロスタグランジンE1製剤(PGE1製剤)【推奨度B】

オパルモン®︎(リマプロスト アルファデクス)

リプル®︎(アルプロスタジル)

リプル®︎は、点滴製剤です。通常は、2週間前後入院して行うことが多いかと思います。

※ 具体的な治療の仕方については、各施設により違いがあります。

臨床試験

36例の強皮症患者にアルプロスタジル(リプル®︎) 5日間連続投与/週を6週間行われたところ、有意にレイノー現象の頻度、重症度を減少させた5)

  • 1週後に 20 %減少(p<0.05)
  • 2週後に 41 %減少(p<0.005)
  • 3週後に 53 %減少(p<0.0005)

ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5阻害薬)【推奨度C1】

レバチオ®︎(シルデナフィル)

臨床試験

16例の強皮症患者を対象に二重盲検 crossover試験を行い、

シルデナフィル(レバチオ®︎)によって以下の有効性が報告されています6)

  • 有意にレイノー現象の頻度が減少(p<0.0064)
  • 時間が短縮(p<0.0038)
  • レイノースコアが低下(p<0.039)

しかし、国内での報告はほとんどなく、さらに皮膚潰瘍に対する有効性も不明な部分も多く、強皮症における推奨度は高くはありません。

アドシルカ®︎(タダラフィル)

エンドセリン受容体拮抗薬【推奨度B】

トラクリア®︎(ボセンタン)

ボセンタンは、エンドセリンを阻害する作用がありますが、

エンドセリンには、『血管収縮・炎症・繊維化などの作用』があります。

なので、エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタン(トラクリア®︎)によって、血管拡張作用を期待できます。

ボセンタン(トラクリア®︎)は、肺動脈性高血圧症にも使用されています。

ボセンタン(トラクリア®︎)の有効性の報告

  • ボセンタン投与によるレイノー現象の頻度の減少及び重症度の改善7)
  • 皮膚潰瘍新生の減少8)
  • 122例の強皮症患者を対象とした多施設二重盲検試験では、ボセンタンによって現存する皮膚潰瘍の改善は促進しなかったが、皮膚潰瘍の新生を有意に抑制したと報告されています9)

トラクリア®︎(ボセンタン)で注意が必要なこと

  • 肝障害の頻度が多い
  • 重篤な薬疹が起こる場合もある

意外に、レイノー現象で使える薬が多くてびっくりしました。
私に合うのが見つかればいいな!

〈参考〉

  • 1) Finch MB, et al. Clin Rheumatol 1986;5:493-8.
  • 2) Thompson AE, Arthritis Rheum 2001;44:1841-7.
  • 3) 西岡 清,他 全身性強皮症に伴うレイノー症状に対する薬物療法の評価. 厚生省特定疾患強皮症調査研究班へいせい7年度研究報告書.
  • 4) Vayssairat M, et al. J Rheumatol 1999;26:2173-8.
  • 5) Gardinali M, et al. J Rheumatol 2001;28:786-94.
  • 6) Fres R, et al. Circulation 2005;112:2980-5.
  • 7) Selenko-Gebauer N, et al. Rheumatology 2006;45:ⅲ45.8.
  • 8) Garcia de la Pena-Lefebvre P, et al. Rheumatology 2008;47:464-6.
  • 9) Korn JH, et al. Arthritis Rheum 2004;50:3985-93.
  • 全身性強皮症ガイドライン 日本皮膚科学会ガイドライン 2012
  • 岸本 暢将 すぐに使えるリウマチ・膠原病診療マニュアル 羊土社
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“今回のまとめ”
  1. レイノー現象の治療は、原疾患の治療と非薬物治療をベースにしながら、薬物治療を行っていく。
  2. 第一選択薬は、カルシウム拮抗薬(ニフェジピンなど)が使われる。
  3. 治療選択肢は多いが、患者さんの症状と薬剤の有効性に合わせて選択することが大切である。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです🥝 Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします🕊

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