こんにちは、今回は喘息、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎に適応のある『デュピクセント(デュピルマブ)』について取り上げていきたいと思います!
デュピクセントって、ちょっと言いにくいですが、なんかかっこいい名前で効きそうですね!
デュピクセント®︎(デュピルマブ)の特徴について
デュピクセント(デュピルマブ)は、2018年4月に発売された比較的新しい生物学的製剤です。
デュピクセントは、ヒト型ヒトIL-4 / 13 受容体モノクローナル抗体で、IL-4 (インターロイキン4)と IL-13を阻害します。
● IL-4 / IL-13とは?
IL-4やIL-13は、Th2細胞(ヘルパーT細胞の一つ)から、分泌されるサイトカインで、主に寄生虫感染やアレルギーに関与しています。
適応疾患は?
ファセンラ®︎の適応疾患は、以下のようになります。
- アトピー性皮膚炎
- 気管支喘息
- 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
どんな時に適応となりますか?
●アトピー性皮膚炎・・・外用療法で十分にコントロールできない中等度から重度の成人アトピー性皮膚炎患者さんに良い適応となります。
●喘息・・・既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の喘息の方に良い適応があります。
用法は?
デュピクセントには、300 mg シリンジと 300 mg ペン の皮下注製剤があります。
アトピー性皮膚炎
初回 | 600 mgを皮下投与 |
2回目以降 | 1回 300 mgを2週間間隔で皮下投与 |
※成人が対象となります。
気管支喘息
初回 | 600 mgを皮下投与 |
2回目以降 | 1回 300 mgを2週間間隔で皮下投与 |
※成人および12歳以上の小児が対象となります。
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
初回以降 | 1回 300 mgを2週間間隔で皮下投与 |
症状が安定したら | 1回 300 mgを4週間間隔で皮下投与できる |
薬価は、以下のようになります。
100 mg シリンジ 3495,304 円。
副作用は?
5%以上 | 注射部位紅斑 |
5%未満 | 結膜炎、口腔ヘルペス、単純ヘルペス 好酸球増加症 注射部位反応 頭痛 発熱 |
頻度不明 | 眼掻痒症 |
デュピクセント®︎は、基本的には重篤な副作用が少ない薬剤です。
重大な副作用
- アナフィラキシー 0.1%未満
一過性の好酸球増加症について
デュピクセント®︎は、投与した初期に一過性に末梢血の好酸球が上昇することがあります。
報告では、投与後4週目ごろにピークになり、
その後、投与後12週くらいまでにはベースライン以下に減少します。
基本的には、病的意義はないと言われております。
デュピクセント(ディピルマブ)のエビデンス
アトピー性皮膚炎のエビデンス
有効性 efficacy
SOLO1試験 / SOLO2試験1)
SOLO1、SOLO2は同じデザインの無作為化プラセボコントロール試験。
- 対象:外用療法で十分にコントロールできない中等度から重度の成人アトピー性皮膚炎患者。
- SOLO1では671人、SOLO2には708人の患者が登録された。
- 2つの試験において、「ベースラインから16週目までのEASI 75%以上の改善した割合」は、プラセボ群に比べて、デュピルマブ群では有意に多かった(p < 0.001)。
- デュピルマブは、掻痒症や不安・抑うつ症状の軽減、QOL(生活の質)の改善など、その他の臨床的エンドポイントの改善にも関連していた。
● EASI スコア : アトピー性皮膚炎の活動性の評価スケール
医師が測定する湿疹の重症度や範囲をあらわすスコアです。
4つの身体部位(頭頸部、体幹、上肢、下肢)のスコアを合計します。
〈 EASIスコアの75%改善の目安? 〉
気管支喘息のエビデンス
有効性 efficacy
QUEST試験2)
- 対象:中用量又は高用量の吸入ステロイド薬及び他の長期管理薬で治療しても喘息増悪をきたす12歳以上の気管支喘息患者。
- デュピルマブ 300mg群:633例、プラセボ(偽薬)群:313例。
- 投与52週後までの年間喘息増悪発生率(回/ 人・年)は、「デュピルマブ 300 mg群では 0.540 (0.430 – 0.680)」で「プラセボ群では 0.970 (0.810 – 1.160) 」であり、デュピルマブ 300 mg群の方が有意差を持って低下した。
その他の特徴について
鼻茸を小さくする効果
デュピクセントは、軌道の炎症を抑える効果があるため喘息だけでなく、
鼻の症状にも効果があり、鼻茸を小さくします。
その他、以下の効果があります。
- 鼻づまりを改善する。
- 匂いのわかりにくさを改善する
- 鼻水を改善する。
(https://www.support-allergy.com/crswnp/dupixent/function より引用)
デュピクセント®︎の作用機序は?
デュピクセント®︎(デュピルマブ)は、『 抗 IL-4 / 13受容体抗体製剤 』です。
IL-4とIL-13のシグナル伝達を阻害することで、
Th2細胞由来の2型炎症を抑制し、
アトピー性皮膚炎や気管支喘息を改善します。
2型炎症とは?
2型炎症とは、Th2細胞(ヘルパ-T2細胞)や自然リンパ球2(ILC2)から産生される2型サイトカインが中心的な役割を担っている炎症のことです。
2型炎症は、主に寄生虫に対する生体防御反応として機能する一方で、
アレルギー性炎症の主因ともなっています。
アトピー性皮膚炎に関連するサイトカインとその役割の模式図
(https://www.dupixent.jp/atopy/property/01 より引用)
上図のように、IL-4やIL-13を阻害することで
『皮膚バリア機能の低下、痒み、炎症の促進の改善』
を期待できます。
気管支喘息に関連するサイトカインとその役割の模式図
(https://www.support-allergy.com/asthma/dupixent/airpassage より引用)
上図のように、IL-4やIL-13を阻害することで
『気道の狭窄、過敏性や気道炎症の改善』
を期待できます。
〈参考〉
- デュピクセント®︎(デュピルマブ) 添付文書
- 浦部 晶夫ら 今日の治療薬 南江堂
- 1) Mario Castro, et al. N Engl J Med 2018;378(26):2486-2496.
- 2) Wechsler ME, et al. Lancet Respir 2021;10(1):11-25.
- デュピクセント®︎は、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に適応がある。
- デュピクセント®︎は、IL-4 / 13受容体抗体製剤で、Th2細胞由来のサイトカインを抑制することでアレルギー性炎症を抑える。
- デュピクセント®︎は、IL-4 / 13受容体抗体製剤で、一過性に好酸球が上昇することがあるが、その後は減少する。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。