こんにちは、今回は【気管支喘息】ファセンラ®︎(ベンラリズマブ)について取り上げていきたいと思います。
ファセンラは重症の喘息に使用される注射製剤ですよね。
ぜひ、よろしくお願いしますっ!
ファセンラ®︎(ベンラリズマブ)について
ファセンラ®︎(ベンラリズマブ)は、2018年4月に発売された生物学的製剤の一つです。
ファセンラ®︎は、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤で、IL-5(インターロイキン5)というサイトカインの受容体を阻害します。
IL-5(インターロイキン)とは、炎症性サイトカインの一つで、好酸球を活性化させる要となるサイトカインです。
適応疾患は?
ファセンラ®︎の適応疾患は、以下のようになります。
- 気管支喘息
今後は
ファセンラ®︎は、好酸球性の疾患に非常に有効であるため、好酸球が関与する『好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)』において、2019年11月より国内第3相試験が行われています(MANDARA試験)。
試験結果が良好であれば、今後EGPAにも適応となる可能性が高いかと思います。
ちなみに、アメリカではEGPAに対してファセンラ®︎(ベンラリズマブ)の有効性が示され、ファセンラ®︎はFDA(米国食品医薬品局)より希少疾病用医薬品指定を取得しています。
どんな時に適応となりますか?
〈喘息〉・・・既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の喘息の方に適応があります。
用法は?
ファセンラ®︎は、皮下注製剤であり、皮下注射にて投与します。
1回 30 mg 初回、4週後、8週後に皮下注射し、以降8週間隔で皮下注射します。
薬価は、以下のようになります。
シリンジ 30 mg 358,045円
4回目以降の8週ごとなら、1ヶ月で約17万9千円です。3割負担ですと、1ヶ月約54,000円ほどですね。
安くはないですよね、、、
副作用は?
1〜10%未満 | 注射部位反応(疼痛、紅斑、掻痒感、丘疹等)、発熱、頭痛 |
0.1〜1%未満 | 過敏症反応(蕁麻疹、発疹) |
頻度不明 | 咽頭炎 |
ファセンラ®︎は、基本的には重篤な副作用のない薬剤です。
重大な副作用
- アナフィラキシー 頻度不明
ファセンラ®︎(ベンラリズマブ)の特徴は?
IL-5の受容体に対する抗体である
ファセンラ®︎は、ヌーカラ®︎(メポリズマブ)と異なり、IL-5の受容体に対する抗体であるのが特徴です。
好酸球を完全に除去できる
・ヌーカラ®︎(メポリズマブ)と異なり、ベンラリズマブはADCC活性(抗体依存性細胞障害活性)をもち、好酸球と結合したベンラリズマブをNK細胞が発見し、直接攻撃することで、好酸球を完全に除去できます。
NK細胞(ナチュラル・キラー細胞)とは?・・・白血球のうちのリンパ球の一つで、主に自然免疫系において活躍します。
→ 好酸球を完全に除去できることで、効率的に好酸球性の炎症を抑制することができます。
中和抗体の出現率について
重症喘息患者を対象とした第III相国際共同臨床試験(SIROCCO試験及びCALIMA試験)において、患者さんの14.9%(122/820例)に抗ベンラリズマブ抗体が認められ、12.0%(98/820例)に中和抗体が認められました。
抗ベンラリズマブ抗体陽性となった一部の患者さんでは、血清中ベンラリズマブ濃度の低下及び本剤投与後に減少した血中好酸球数の増加が認められました。
→ つまり、中和抗体が出現すると、ファセンラ®︎の有効性が低下します。なので、使用中に効果が減弱した場合は、薬剤の投与を中止または変更する必要があります。
参考) ファセンラ®︎(ベンラリズマブ) 添付文書
作用機序は?
ファセンラ®︎の作用機序の模式図
https://medicalcampus.jp/di/archives/1516 より引用
ファセンラ®︎(ベンラリズマブ)は、炎症性サイトカインであるIL-5(インターロイキン5)の受容体に対する抗体製剤です。
IL-5は、好酸球に作用する中心的なサイトカインで、好酸球の成長、分化、誘導、活性化、生存に関与しています。
ファセンラ®︎(ベンラリズマブ)は、IL-5の受容体を阻害することで、好酸球の働きを抑制します。それにより、好酸球性炎症による喘息やEGPAに対する治療効果を発揮します。
例えば、ステロイドだと好酸球以外にも好中球やリンパ球といった白血球にも作用するため、ステロイドなどの免疫抑制薬よりもピンポイントで好酸球にターゲットを絞り治療をすることが可能となります。
それによって、重症感染症といった副作用のリスクも軽減されるメリットがあります。
参考)
- ファセンラ®︎(ベンラリズマブ) 添付文書
- 金城光代 リウマチ・膠原病の治療薬の使い方 洋土社
- 浦部 晶夫ら 今日の治療薬 南江堂
- ファセンラ®︎は、抗IL-5受容体抗体製剤である。
- 難治の気管支喘息に適応があるが、今後EGPAにも適応が拡大する可能性あり。
- 重篤な副作用は少ない。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。