こんにちは、今回は「【 これでわかった! 】鉄欠乏性貧血について」を取り上げていきたいと思います。
診察室で、、、
まなみさん、鉄欠乏貧血がありそうですね。
鉄欠乏っっっ、えっ私、鉄が足りてないの?!
となる時があると思います。
今回は、鉄欠乏性貧血について、血液検査での見方、その原因、治療について詳しく簡単に紹介して行きたいと思います!
ではいきましょう!
鉄欠乏性貧血とは
『鉄』は、赤血球を作るときに大切な材料です。
なので、鉄が不足すると、貧血の原因となってしまいます。
食事で鉄を補充することも大切ですが、
実は、鉄を食事で補給することは意外に難しいんです。
ですので、鉄を補充するとしたら、鉄剤による治療が原則となります。
血液検査で鉄欠乏性貧血をチェックする
先生から、血液検査の結果から「あなたは、鉄欠乏性貧血ですね」と言われることもあるかもしれません。
ですが、採血結果をみても、どこが鉄欠乏性貧血を表しているのでしょうか?
鉄欠乏性貧血を見るためには、この5つをチェックすれば大丈夫です?
- Hb(ヘモグロビン HGB 貧血の指標)
- Fe(鉄)
- フェリチン(鉄の貯蔵)
- TIBC
- MCV(赤血球の大きさ)
Hb (ヘモグロビン HGB)
ヘモグロビンは、『 貧血の指標 』となる数値です。
ざっくり、
- Hb ≧ 10 → 症状がある場合に治療を考慮
- 7 ≦ Hb < 10 → 治療を考慮
- Hb < 7 → 赤血球輸血などを行う
と考えてください。
Fe (鉄)
Feは鉄のことで、血液中の鉄の濃度を表しています。
鉄欠乏性貧血では、Feは低下します ⬇︎
フェリチン
フェリチンは、体内の鉄の貯蔵量を表す指標です。
鉄欠乏性貧血では、フェリチンは低下し、
指標は『 フェリチン ≦ 12 ng/ml 』です。
TIBC
鉄は、血液中でトランスフェリンというタンパク質にくっついて運搬されます。
血清中のトランスフェリンの全体の濃度は総鉄結合能で示され、総鉄結合能のことを TIBC と言います。
鉄欠乏性貧血の場合は、TIBCが上昇します ⬆︎
MCV
MCVは、赤血球の大きさをみる指標です。
鉄欠乏性貧血の場合は、鉄という材料が減るため小さい赤血球ができてしまいます。
そのため、小球性貧血のパターンをとります。
そのため、MCVは低下し、その指標は『 MCV ≦ 80 fL 』です。
鉄欠乏性貧血の血液検査まとめ
基準値 | 鉄欠乏性貧血 | |
Hb | 男 ≧ 13 mg/dL 女 ≧ 12 mg/dL | ⬇︎ |
Fe | 男 54~200μg/dL 女 48~154 μg/dL | ⬇︎ |
フェリチン | 男 20~250 ng/ml 女 10~80 ng/ml | ⬇︎ |
TIBC | 男 245~402 μg/dL 女 235~432 μg/dL | ⬆︎ |
MCV | 80 ~ 100 fL | ⬇︎ (小球性貧血) |
大切なのは鉄欠乏性貧血の原因を探ること!
鉄欠乏性貧血といっても、原因はたくさんあります。
それぞれの治療を行うことが、鉄欠乏性貧血を良くするためにはとっても大切です。
まず、鉄欠乏貧血は、年齢、性別によって原因が大きく分かれます。
- 若年女性 → 性器出血
- 男性、閉経後の女性 → 消化管出血
- 高齢者 → 悪性腫瘍(癌)
若年女性
若年女性の鉄欠乏性貧血で圧倒的に多い原因は、性器出血です。
性器出血を認める疾患や原因は、『過多月経、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮癌』といったものがあります。
男性、閉経後の女性
男性および閉経後の女性における鉄欠乏性貧血では、消化管出血がほとんどです。
なので、消化管出血がないか造影CT検査や消化管内視鏡検査を行ったりします。
高齢者
高齢者の鉄欠乏性貧血で大切なのは、悪性腫瘍です。
鉄欠乏性貧血をきっかけとして胃癌や大腸癌が見つかることも多く、内視鏡検査でしっかり調べることが大切です。
また、もちろん消化管出血によることもあります。
鉄欠乏性貧血の治療について
内視鏡などの検査の結果、消化管出血や悪性腫瘍を認めた場合は、それぞれの原因に対する治療を行います。
ただ、貧血に対する治療も行っていきます。
基本的には、可能なかぎり鉄剤の内服を行います。
点滴による鉄の補充は急速な鉄補給が必要な場合、経口鉄剤の効果不良時や胃腸障害などで内服ができない場合に適応になります。
治療目標について
治療目標は、とても大切ですね。
では、一体何を目安に鉄剤を続けていけば良いでしょうか。
血液検査でHbとFeが正常になったー、やったやったー!
だめです! それで安心しないでください!
治療目標は、フェリチンの正常化です。
具体的には、フェリチン ≧25 ng/mlです。
フェリチンも正常化して、やっと鉄剤をやめれるかどうかを検討します。
やめてしまった後も、貧血が悪化してしまった場合は、鉄剤の再開を検討します。
鉄剤の副作用について
鉄剤の副作用は、なんといっても『消化器症状』です。
消化器症状は、悪心・嘔吐、食欲不振、胃痛・腹痛、上腹部不快感などを認めることがあります。
消化器症状が強い場合は、まずは減量をしてみます。それでも改善が乏しければ、やむなく中止を検討します。
実際は、患者さんの中では、鉄剤による消化器症状から、継続を断念させる方も一定数いらっしゃいます。
鉄剤の種類
〈 内服 〉
フェロミア®︎(クエン酸第一鉄)
用法:1錠50mg 1日 100 ~ 200 mg 分2
フェロ・グラデュメット®︎(硫酸鉄)
用法:1日 1 ~2 錠 分1
インクレミン®︎(溶性ピロリン酸第二鉄)
用法:1日 10 ~ 15 ml 分2
インクレミン 唯一のシロップ剤、消化器症状が最も少ない
〈 点滴 〉
フェジン®︎(含糖酸化鉄)
アナフィラキシーショックや過剰投与に注意
- 鉄欠乏性貧血の目安は、フェリチン ≦ 12。
- 治療の基本は、鉄剤の内服。
- 治療の目標は、フェリチンの正常化。フェリチン ≧ 25 が目安。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。