治療薬

抗リウマチ薬 早見表【それぞれのポイント】

こんにちは、今回は抗リウマチ薬早見表を作りましたので、ご参考にしていただけたらと思います。

それでは、さっそくやっていきましょう!

経口薬 (csDMARD)

経口薬は「免疫調節薬」と「免疫抑制薬」に分けられます。

  1. 免疫調節薬は、免疫をマイルドに調節するイメージで、基本的には免疫抑制作用はなく、感染症のリスクは上昇しません。
  2. 一方で、免疫抑制薬は、その名の通り免疫抑制作用があるため、感染症には注意する必要があります。
【 免疫調節薬 】用法・用量薬価ポイント
ケアラム
(イグラチモド)
1回 25mg
1日 2回
(初めの4週間は、
1日1回で副作用をみる)
155円 / 25mg・痛みの軽減も期待できる。
(抗鎮痛作用)
(COX-2阻害作用のため)
アザルフィジン
(サラゾスルファピリジン)
1回 500mg
1日 2回
33円 / 250mg
56円 / 500mg
・間質性肺炎合併でも使いやすい。
リマチル
(ブシラミン)
1回 100mg
1日 3回
年齢や症状に合わせて
投与量調節可能
35円 / 50mg
57円 / 100mg
・蛋白尿を認めることがあるため、定期的な尿検査は必要。
【 免疫抑制薬 】
メトトレキサート
(リウマトレックス®︎)
1回 2 ~ 16 mg
1週間毎
16mgは超えないようにする
232円 / 2mg・リウマチの第1選択薬。
(リウマチ治療の大黒柱!)
・間質性肺炎合併患者では、使用を控える。
タクロリムス
(プログラフ®︎)
1回 3mg
1日 1回 夕食後
高齢者は1.5mgから開始
389円 /0.5mg
689円 / 1mg
・メトトレキサートの次によく使われる経口免疫抑制薬。
アラバ®︎
(レフルノミド)
1回 10 mg 1日1回
1回 20 mgまで増量可能
170円 / 10mg
296円 / 20mg
1023円 / 100mg
・間質性肺炎の副作用に注意。

メトトレキサート(リウマトレックス®︎)

生物学的製剤

アクテムラ®︎(トシリズマブ)

TNF阻害薬、IL-6阻害薬やT細胞刺激的共刺激調節薬(オレンシア®︎)といった生物学的製剤は、

基本的にメトトレキサートを併用することが推奨されています。

それはなぜでしょう?

理由は2つあります。

  1. メトトレキサートを併用することで生物学的製剤の有効性が高くなるため
  2. TNF阻害薬による中和抗体をできるのを防ぐため

いずれの生物学的製剤でもメトトレキサートを併用することで有効性が高くなるため、可能な限りメトトレキサートを併用することが望ましいです。

また、生物学的製剤を、長く使っていると、その生物学的製剤に対する中和抗体というものができてしまいます。これができると、生物学的製剤の効果がなくなってしまうのです。

メトトレキサートを併用する事で、中和抗体の発生を抑制してくれます。

ちなみに、中和抗体ができて、使用している生物学的製剤の効果がなくなってしまうことを、「二次無効」といいます。

※ ただし、IL-6阻害薬のアクテムラ®︎とケブザラ®︎やT細胞選択的共刺激調節薬であるオレンシア®︎は、メトトレキサートを併用しなくても使用可能です。(効果は併用時よりは落ちてしまいます)

なので、メトトレキサート併用できない高齢者や腎障害がある方で生物学的製剤を開始する場合には、良い選択肢となります。

【 TNF阻害薬 】投与経路用法・用量ポイント
レミケード®︎
(インフリキシマブ)
バイオシミラーあり
1. 点滴0, 2, 6週 1回 3mg/kg
それ以降 1回 3mg/kgを
8週に1回
効果が出るのが比較的早い。
最終的に8週(2ヶ月)に1回の投与と投与間隔が一番長い。
エンブレル®︎
(エタネルセプト)
バイオシミラーあり
1. 皮下注1回 10~25 mg
1日1回を週に2回
or
1回 25~50mg
1日1回を週に1回
半減期が短く比較的安全に使用可能。
ヒュミラ®︎
(アダリムマブ)
バイオシミラーあり
1. 皮下注1回 40mgを2週に1回
80mgまで増量可能
メトトレキサートを十分量併用することで効果が最大化する。
シンポニー®︎
(ゴリムマブ)
1. 皮下注1回 50mgを4週に1回
100mgまで増量可能
途中で効かなくなることが少なく、継続率が高い。
シムジア®︎
(セルトリズマブぺゴル)
1. 皮下注1回 400mgを
初回,2週後,4週後に投与し,
以後1回 200mgを
2週間間隔で投与
胎盤移行性が低く、妊婦でも使用可能。
〈 TNF阻害薬全般 〉
結核や非結核性抗酸菌症による肺病変がある場合は、TNF阻害薬ではない薬剤が推奨されます。
【 IL-6阻害薬 】
アクテムラ®︎
(トシリズマブ)
1. 点滴
2. 皮下注
[点滴]
1回 8mg/kgを4週に1回
[皮下注]
1回 162mgを2週に1回
高い抗炎症効果があるも、CRP上昇を抑えてしまうため、感染症には注意が必要。
ケブザラ®︎
(サリルマブ)
1. 皮下注1回 200mgを2週に1回
150mgまで減量可能
アクテムラと同様、感染症には注意する。
アクテムラが無効でも、選択肢となる。
【 T細胞選択的共刺激調節薬 】
オレンシア®︎
(アバタセプト)
1. 点滴
2. 皮下注
[点滴]
初回,2週後,4週後に投与し,
以後4週間毎
体重60kg未満 : 1回 500mg
体重60kg以上 : 1回 750mg
体重100kg以上 : 1回 1000mg
[皮下注]
投与初日にオレンシア®︎を点滴投与し,
同日中に125mgを皮下注
以後,週 1 回 皮下注射する
(また、初回点滴のskipも可能)
他の生物学的製剤より感染症のリスクが低く、高齢者でもよく使われる。
間質性肺炎の合併がある場合でも使用しやすい。
抗CCP抗体やRF(リウマトイド因子)が陽性のリウマチ患者さんに有効性が高いという報告がある。
【 抗RANKLモノクローナル抗体製剤 】
プラリア®︎
(デノスマブ)
皮下注1回 60 mgを6ヶ月(半年)に1回皮下注射
骨びらんの進行が認められる場合は、
3ヶ月に1回も可能
骨びらん抑制効果は示されているも、主に骨粗鬆症の予防薬としても使用される。




JAK阻害薬

オルミエント®︎(バリシチニブ)

JAK阻害薬を使用することで、ポイントは以下のようになります。

  1. JAK阻害薬はベース薬としてメトトレキサートを併用することが推奨されている薬剤です。(ただし、併用が難しい場合はJAK阻害薬単剤でも使用する場合もあります)
  2. ただし、免疫抑制リスクが増加するタクロリムス(プログラフ®︎)、シクロスポリン(ネオーラル®︎)、アザチオプリン(アザニン®︎ / イムラン®︎)、ミゾリビン(ブレディニン®︎)、TNF阻害薬、IL-6阻害薬、オレンシア®︎(アバタセプト)などとは併用しないことが推奨されています。
  3. 他の免疫抑制薬や生物学的製剤と比べて、JAK阻害薬は帯状疱疹のリスクが少し高くなると言われています。
  4. JAK阻害薬のメリットは、経口で接種できることです。やはり皮下注射製剤だとどうしても、毎回身体に針を指すことを躊躇ってしまう方はいらっしゃいます。なので、経口のため継続しやすい点が、JAK阻害薬の大きなメリットです。
【 JAK阻害薬 】投与経路用法・用量ポイント
ゼルヤンツ®︎
(トファシチニブ)
経口1回 5mgを1日2回
腎障害、肝障害がある場合は1日1回 5mg
JAK阻害薬の中で,
先行して発売されたため
有効性や安全性のエビデンスがある。
JAK1, 2, 3を阻害する。
オルミエント®︎
(バリシチニブ)
経口1回 4mgを1日1回
2mgに減量可能
腎障害がある場合は 1日2mg
重度の腎障害の場合は禁忌
効果は高く、使用頻度は多い。
JAK1, 2を選択的に阻害する。
スマイラフ®︎
(ペフィシチニブ)
経口1回 150mgを1日1回
100mgに減量可能
腎障害でも比較的使いやすい
JAK1, 2, 3, TYK2と全て阻害する。
リンヴォック®︎
(ウパダシチニブ)
経口1回 15mgを1日1回
7.5mgに減量可能
ヒュミラ®︎との比較試験では、リンヴォック®︎は有意に効果が高いことが示された。
JAK1を選択的に阻害する。
ジセレカ®︎
(フィルゴチニブ)
経口1回 200mgを1日1回
100mgに減量可能
中等度以上の腎障害の場合は 100mgを1日1回
帯状疱疹のリスクが
他のJAK阻害薬と比べて低い
2021年9月時点で、発売されたJAK阻害薬の中では一番新しい
JAK1を選択的に阻害する。

薬価について

抗リウマチ薬で使われる生物学的製剤やJAK阻害薬は、薬価が高いお薬です。

薬価については、以下の記事にまとめてますのでご参照ください?

【一覧】抗リウマチ薬 生物学的製剤(Bio製剤)、JAK阻害薬 値段早見表 こんにちは、今回はリウマチ性疾患で使用される生物学的製剤(Bio製剤)やJAK阻害薬の値段早見表を作成しました! やっぱり、生物...
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今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。参考になりましたら、高評価、コメントを頂けましたら嬉しいです?またTwitterのフォローもお願いします?

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