血管炎

高安動脈炎の治療について【TA】


〜 The Point 〜

  • ステロイド(プレドニン®︎(プレドニゾロン))は、高安動脈炎治療の基本である。
  • 多くの免疫抑制薬が併用されるが、アクテムラ®︎(トシリズマブ)の登場により、高い寛解達成率が得られるようになった。
  • 抗血小板薬は可能な限り、併用が望ましい。

こんにちは、今回は高安動脈炎(大動脈炎症候群)の治療について取り上げていきたいと思います!

治療について

まず、高安動脈炎の治療の根幹となるのが、「ステロイド」です。プレドニン®︎(プレドニゾロン)という錠剤で通常処方されます。

プレドニン換算で0.5〜1mg / kgで開始します。50kgの方ですと、25mg〜50mgとなります。

これを初期量として、2〜4週間継続し、その後漸減していきます。(漸減をテーパリングとも言います。)

免疫抑制薬は併用しますか?

減量が難しい場合は、以下の免疫抑制薬を併用していきます。

薬剤用法
アクテムラ®︎(トシリズマブ)1週間に1回 162mg 皮下注射
イムラン®︎/アザニン®︎(アザチオプリン)1日1回 50~100 mg 内服
メトトレキサート ※1週間に1回 6〜16 mg 内服
レミケード®︎(インフリキシマブ) ※1回 3 mg/kg 点滴
エンブレル®︎(エタネルセプト) ※1週間に2回 25 mg 皮下注射
セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル) ※1日1回 1.5〜2.5 g 内服
プログラフ®︎(タクロリムス) ※血中濃度で調節 内服
ネオーラル®︎(シクロスポリン) ※血中濃度で調節 内服 or 点滴
エンドキサン®︎(シクロフォスファミド)1日1回 50〜100 mg 内服(3ヶ月で他剤に切り替え)
プレドニン®︎と併用する免疫抑制剤一覧

※ 保険適応なし?

高安動脈炎で併用される免疫抑制剤には、アクテムラ®︎(トシリズマブ)、イムラン / アザニン(アザチオプリン)、メトトレキサート、レミケード®︎(インフリキシマブ)、エンブレル®︎(エタネルセプト)、セルセプト®︎(ミコフェノール酸モフェチル)、プログラフ®︎(タクロリムス)、ネオーラル®︎(シクロスポリン)、エンドキサン®︎(シクロフォスファミド)があります。

たくさんありますね^^;。

近年、『アクテムラ®︎』の登場で、高安動脈炎の寛解達成率がとても改善しました。高安動脈炎患者において、血液中の『IL-6(インターロイキン6)』の上昇が活動性と相関していることが報告され、IL-6の重要性が言われておりました。

アクテムラ®︎はIL-6阻害薬であり、IL-6を直接阻害することで、高安動脈炎に対して高い治療効果を期待できます。そのため、ステロイドの早期減量も可能となりました。

なので、最近ではステロイドにアクテムラ®︎を併用する例が多く、その他の免疫抑制剤を併用する場合もありますが、今後もアクテムラ®︎はプレドニンと並び、高安動脈炎の重要な治療薬となっていくと予想されます。




抗血小板薬について

高安動脈炎患者において、アスピリン内服にて血栓症の発症が有意に低下すると報告されており、抗血小板薬の禁忌がない限り、抗血小板薬の併用が推奨されています。

  • バイアスピリン®︎(アスピリン) 1日1回1錠 100mg 内服

維持量について

プレドニン®︎(プレドニゾロン)換算で、5~7.5 mg程度が推奨されています。

しかし、プレドニン®︎漸減中に症状再燃を繰り返す症例も稀ではないため、慎重な減量を必要とします。

プレドニン®︎は、最終的に中止にできますか?

アメリカのステロイド中止を目指す2つの研究では、30例中5例(17%)および16例中4例(25%)がステロイドを中止でき、寛解を維持できました。1975年の日本の150例の統計では、ステロイド中止例は 37.4 %でした。いずれも、アクテムラ®︎登場前の研究ですので、最近はさらにステロイド中止が可能となっていると思われます。

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※個人個人で症状や治療反応性の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては医療機関へ直接お問い合わせください。

birds eye view of people on tropical beach