まなみさんは、ロキソニン®︎よりもセレコックス®︎の方が合っていると思いますので、セレコックス®︎を処方しておきますね。
ありがとうございます。
ですが、ロキソニン®︎とセレコックス®︎どちらも同じ痛み止めかと思っていましたが、どう違うのでしょうか?
今回は、ロキソニン®︎(ロキソプロフェン)とセレコックス®︎(セレコキシブ)の違い、
そして、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきたいと思います!
2つの共通点は?
そもそも、共通点があるからこそ「違い」が大事になってきますよね。
では、ロキソニン®︎(ロキソプロフェン)とセレコックス®︎(セレコキシブ)の共通点は、何なのでしょうか?
それは、
どちらも、『NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)』という解熱鎮痛薬の一つであるということです。
そもそも、NSAIDs(エヌセイズ)ってなに?
NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs : 非ステロイド性抗炎症薬)
では、簡単にNSADIsの説明をしていきたいと思います。
NSADIsは、アラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、プロスタグランジン類の合成を抑制し、それによって抗炎症効果を得る、非ステロイド性の解熱鎮痛薬です。
?????
先生、横文字が多すぎます。
ついていけてないですよね。。。
大丈夫です。ここは覚えなくても問題ないです。
覚えて欲しいのは、
NSAIDsは、『 COX(シクロオキシゲナーゼ) 』を阻害することで抗炎症効果を得ていることだけで大丈夫です。
(https://toutsu.jp/cure/yakubutsu.html より引用)
●COXとは?
シクロオキシゲナーゼ(COX)は、プロスタグランジン(発痛物質)の生成に関わる酵素です。
NSAIDsは、このCOXの作用を阻害する作用を持つことで抗炎症効果を発揮します。
では、ロキソニン®︎とセレコックス®︎の違いは?
では、ロキソニン®︎とセレコックス®︎の違いは何なのでしょうか?
それは、COX(シクロオキシゲナーゼ)の阻害パターンが違うのです。
まず、COXには、COX-1とCOX-2があります。
〈COX-1の作用〉
- 胃粘膜保護
- 止血
- 血小板凝集
- 腎機能維持など
〈COX-2の作用〉
- 炎症の増強
- 頭痛の増強
- 発熱
NSAIDsは、主に『COX-2』を阻害することで、抗炎症作用や解熱鎮痛効果を得ています。
なるほどCOX-2の阻害が大切なんですね!
COX非選択的阻害剤
ロキソニンなどは、『 COX非選択的阻害剤 』と言われ、COX-1も2も両方阻害します。
とりわけ、ロキソニン®︎やブルフェン®︎などは、COX-1の阻害作用が強いです。
例)
- ロキソニン®︎(ロキソプロフェン)
- ナイキサン®︎(ナプロキセン)
- ボルタレン®︎(ジクロフェナク)
- インテバン®︎(インドメタシン)
- ブルフェン®︎(イブプロフェン)など
COX-2選択的阻害剤
一方で、セレコックス®︎などは、COX-2選択性が高いのが特徴的で、『 COX-2選択的阻害剤 』と言われます。
例)
- セレコックス®︎(セレコキシブ)
- ハイペン®︎(エトドラク)
- モービック®︎(メロキシカム)
また、これは、関節リウマチについて言えることですが、NSAIDs自体にリウマチの滑膜炎を抑える作用はなく、痛みを和らげる作用があるのみです。
なので、リウマチの治療には、NSAIDsなどの鎮痛薬とともに、抗リウマチ薬を併用することが大切です。
COX非選択的阻害剤のメリット・デメリット
先ほど紹介した、COX-1やCOX-2の作用の違いから、ロキソニン®︎やセレコックス®︎のそれぞれにおいてメリット・デメリットがあります。
では、ロキソニン®︎などのCOX非選択的阻害剤のメリット・デメリットは何なのでしょうか。
メリット
- 鎮痛効果が高い
デメリット
- 胃潰瘍などの消化性潰瘍のリスクが上がる
- 腎障害が強い場合は使用できない
- 血が止まりにくくする作用がある(易出血性)
なるほど、ロキソニン®︎などのCOX非選択的阻害剤は、COX-1を阻害してしまうことで、胃潰瘍の副作用が多いのですね。
胃潰瘍を予防するにはどうしたらいいの?
胃潰瘍の予防には、
- 胃薬(プロトンポンプ阻害薬、H2ブロッカー、防御因子増強薬など)を併用するか、
- 次に出てくるCOX-2選択的阻害剤やカロナール(アセトアミノフェン)などに変更
を検討します。
特に、以下の場合は、消化性潰瘍発症のリスクが高いため、注意が必要です。
〈消化性潰瘍の発症リスク因子〉
- 消化性潰瘍の既往がある
- 高齢者
- ステロイドを併用している
COX-2選択的阻害剤のメリット・デメリット
では、セレコックス®︎などのCOX-2選択的阻害剤のメリット・デメリットは何なのでしょうか。
メリット
- COX-1阻害による副作用(消化性潰瘍や易出血性)を軽減できる
デメリット
- 腎障害が強い場合は使用できない
- 鎮痛効果が、ロキソニン®︎などのCOX非選択的阻害剤よりも劣る
腎臓については、COX-1もCOX-2いずれも作用すると言われており、ロキソニン®︎系であろうが、セレコックス®︎系であろうが、腎障害がある場合は使用には注意が必要です。
なぜ、NSAIDsで腎障害が起きるのですか?
良い質問ですね。
NSAIDsは、腎臓の輸入細動脈を収縮させる作用があり、これにより腎血流が低下(=糸球体での濾過量低下)し、腎機能が悪化します。
これは、腎臓の輸入細動脈の収縮作用は、プログラフ®︎(タクロリムス)やネオーラル®︎(シクロスポリン)による腎障害と同じと言われています。
そしたら、どういった時にロキソニン®︎といったCOX非選択的阻害剤を使えばいいですか?
では、どういった時にロキソニン®︎を使い、また使う時の注意点はどうしたらいいでしょうか?
〈 COX非選択的阻害剤の有効的な使い方 〉
- 痛みの急性期に、一時的に使う。
- 1日に最大使用回数はしっかり守る。
- 軽度腎障害がある場合は、低容量にして使う。
- 使用する場合は、単剤で使用せず、胃薬をしっかり併用する。
- 脱水は、腎機能低下のリスク。水分補給をしっかり行う。
などに注意して使用すると、ロキソニン®︎の効果をしっかり享受しつつ、副作用も最小限に抑えられると思います。
比較表
COX非選択的阻害剤 | COX-2選択的阻害剤 | |
---|---|---|
薬剤 | ロキソニン®︎ ナイキサン®︎ ボルタレン®︎など | セレコックス®︎ ハイペン®︎ モービック®︎など |
鎮痛作用 | 強(〜中) | 中 |
消化性潰瘍リスク | 高い | 低い |
腎障害のリスク | あり | あり |
出血作用 | あり | 低い |
〈参考〉
- ロキソニン®︎(ロキソプロフェン) 添付文書
- セレコックス®︎(セレコキシブ)
- 金城光代 リウマチ・膠原病の治療薬の使い方 洋土社
- 浦部 晶夫ら 今日の治療薬 南江堂
- https://jsn.or.jp/journal/document/58_7/1059-1063.pdf
- ロキソニン®︎とセレコックス®︎はいずれも「NSAIDs」という解熱鎮痛薬の仲間だが、COXにおいて、非選択なのかCOX-2選択的なのかで違う。
- それにより、COX-2選択的阻害薬の方が、胃潰瘍や易出血性などの副作用を少なくできる。
- 消化性潰瘍のリスクが高い方で、NSAIDsを使用する場合は、胃薬の併用もしくは、COX-2選択的阻害剤やアセトアミノフェンへの変更を検討する。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。