貧血

悪性貧血について『どんな時に疑いますか?』【症状・治療】

今回は、悪性貧血について取り上げていきたいと思います!

私も、主治医の先生から『悪性貧血の疑いがある』と言われました。
ぜひ、詳しく知りたいですっ!

悪性貧血について

悪性貧血という貧血を聴いたことがあるでしょうか?

なんとく聴いたことはあるけど、よく知らないという方も多いのではないでしょうか。

悪性貧血の原因は?

悪性貧血の原因は、これにつきます。

悪性貧血は、『ビタミンB12の欠乏』による貧血のことをいいます。

なんで、『悪性』と呼ばれるようになったのですか?

悪性と聞くと、なんとなく怖いですよね。

悪性貧血の原因がビタミンB12であるとわかるまでは、確立した治療法がなく、難治性の貧血とされていたためです。

ですが、今では治療法が確立されたため、悪性という名前の割には予後は悪くはありません

『どういった症状の時に疑う?』悪性貧血の症状はなんですか?

〈 どういった症状から悪性貧血を疑いますか? 〉

  • 味がよくわからなくなった(味覚障害)
  • 食欲がなくなった(食欲低下)
  • 最近痩せた(体重減少)
  • 最近だるくなった、疲れやすくなった(全身倦怠感・易疲労感)
  • 動悸や息切れがする

悪性貧血に特徴的な『 ハンター舌炎 』について

なぜ、味覚障害、食欲低下や体重減少が起きるのですか?

よい質問ですね。

味覚障害、食欲低下や体重減少には、

悪性貧血に特徴的な『ハンター舌炎(ぜつえん)』が関係しています。

ハンター舌炎はビタミンB12の欠乏によっておきる舌の炎症のことをいいます。

ハンター舌炎は、舌が平らになったり、赤くなったりする症状を認めます。

ハンター舌炎の自覚症状

https://itonaika.in/9990 より引用)

  • 舌が痛む
  • 舌がヒリヒリする
  • 灼熱感を感じる
  • 味覚障害
  • 食べ物がしみる
  • 舌が乾燥するなど

最終的には、、、

ハンター舌炎による、味覚障害や食欲低下によって、最終的に体重減少まで至ることがあるのです。

体重減少までの流れ

ビタミンB12欠乏 ➡︎ ハンター舌炎 ➡︎ 味覚障害、食欲低下 ➡︎ 体重減少




なぜ、ビタミンB12や葉酸が欠乏すると貧血になるのですか?

悪性貧血が起こる原因はなんでしょうか?

まず、ビタミンB12の吸収機構についてですが、

ビタミンB12は、胃液中の内因子との結合によって小腸下部で吸収されます

また、

『高度の萎縮性胃炎があると、胃からの『内因子分泌の低下』が起こります。

内因子分泌の低下によって、小腸の回腸末端部からのビタミンB12の吸収障害をおこりビタミンB12の低下が起こります

これによって、悪性貧血を認めるのです。

胃全摘後にも悪性貧血は生じる

ビタミンB12の吸収には、胃から分泌される『内因子』が必要でした。

そのため、『胃全摘後』の方でも、数年後に悪性貧血は起きてしまいます。

葉酸も赤血球の生成に使われる

また、『葉酸』も骨髄内での赤血球の生成に使われます。

そのため、葉酸欠乏によっても貧血が起こり、これを巨赤芽球性貧血ともいいます。

巨赤芽球性貧血とは?

巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12欠乏あるいは葉酸欠乏で生じる貧血のことをいいます。

なので、悪性貧血(ビタミンB12欠乏性貧血)もこの巨赤芽球性貧血に含まれます

〈 巨赤芽球性貧血 〉

  1. ビタミンB12欠乏性貧血(悪性貧血のこと)
  2. 葉酸欠乏性貧血

葉酸欠乏を起こしやすい方は?

葉酸欠乏を起こしやすい方は、

関節リウマチなどで高用量のメトトレキサート(リウマトレックス®︎)』を内服している方です。

メトトレキサートは、『葉酸代謝拮抗剤』と言われ、葉酸を拮抗する作用があります。

これによって、葉酸欠乏を起こし、MCVが上昇し、巨赤芽球性貧血を認めることがあるのです

ただし、少量のメトトレキサートの場合は、巨赤芽球性貧血まで認める場合は稀です。

メトトレキサーとによる葉酸欠乏の予防

メトトレキサートによる葉酸欠乏を予防するためには、メトトレキサートともに『葉酸製剤』を服用します。

〈 葉酸製剤 〉

  • フォリアミン®︎(葉酸)
  • パンビタン®︎(総合ビタミン製剤ですが、葉酸も含有しています)

通常は、メトトレキサートを服用した、翌々日(2日後)に服用します。

血液検査でどういった時に悪性貧血を疑いますか?【大切】

では、血液検査でどういった時に悪性貧血を疑うのでしょうか?

まずは、


血液検査の『 MCV(> 100)』が上昇しているかに注目します。

MCVは、『赤血球1個当たりの平均的な大きさ 』を表す指標で、正常範囲は、『 85 ~ 100 fL 』です。

MCV > 100の時は、赤血球の大きさが大きいことを表し、これに貧血を伴っている場合を『大球性貧血』といいます。

〈 大球性貧血(MCV ≧ 101)の原因 〉

  • 巨赤芽球性貧血(悪性貧血や葉酸欠乏性貧血)
  • 肝障害
  • 甲状腺機能低下症
  • 白血病
  • 骨髄異形成症候群(MDS)
  • 抗腫瘍薬使用
  • アルコール多飲など

このように、悪性貧血は、大球性貧血貧血の一つなのです。

さらに、悪性貧血は、先ほども出てきたように、巨赤芽球性貧血(ビタミンB12欠乏あるいは葉酸血病で生じる貧血のこと)の一つでもあります。

特に巨赤芽球性貧血は、『 高度の大球性貧血= MCV > 120 fL 』の時に疑います。

なので、高度の大球性貧血を認めた場合は、巨赤芽球性貧血(ビタミンB12か葉酸欠乏)の存在を疑うことが大切です。

血液検査で巨赤芽球性貧血を認めたときは?

MCV ≧ 120 fLを伴う貧血を認めた場合は、巨赤芽球性貧血を疑い、

さらに、血液検査で『ビタミンB12や葉酸』を測定し、その原因を追及します。




悪性貧血の治療について

では、最後に悪性貧血(巨細胞性貧血)の治療法を見ていきましょう。

ビタミンB12欠乏の場合

【治療】 ビタミンB12製剤(メチコバール®︎など)の点滴(静脈注射)

体内の貧血状態が改善した後は、定期的にビタミンB12の補充を行い、維持療法を行っていきます。

葉酸欠乏の場合

【治療】 葉酸(フォリアミン®︎)の補充療法を行います。

メトトレキサート(リウマトレックス®︎)を内服している場合は、リウマチなどの原病の活動性を考慮しながら、まずはフォリアミンの併用や増量を考慮します

それでも改善が乏しい場合は、メトトレキサート(リウマトレックス®︎)の減量もしくは中止を検討します

【 簡単にわかる 】血液検査での貧血の見方! こんにちは、今回は「【簡単にわかる】血液検査での貧血の見方!」について取り上げていきたいと思います。 血液検査を見ながら・・・ ...

〈参考〉

  • 岡田 定 レジデントのための血液診療の鉄則 医学書院
  • 荻原 將太郎 よくわかる血液内科 医学書院
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“今回のまとめ”
  • 悪性貧血は、ビタミンB12の欠乏による貧血のことで、主に高度の萎縮性胃炎や胃全摘後に認める。
  • ビタミンB12欠乏性貧血と葉酸欠乏性貧血を合わせて、巨赤芽球性貧血という。
  • 巨赤芽球性貧血は、血液検査の特にMCVが120以上の時に強く疑われる。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします?

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