骨粗鬆症

閉経後のエストロゲン低下と骨粗鬆症の関係

こんにちは、今回は「閉経後のエストロゲン低下と骨粗鬆症の関係」について取り上げていきたいと思います。

閉経後に、どういった機序で骨粗鬆症をきたすのか気になります!

閉経後のエストロゲン低下はどうやって骨粗鬆症をきたすのか

女性ホルモンであるエストロゲンは、骨芽細胞からのRANKLの増加を抑制する

閉経前の女性では、エストロゲンが十分に産生されていますが、閉経後では、ご存知の通り、エストロゲンの産生が低下します。

ここで、骨組織にある骨芽細胞は、アンドロゲンとエストロゲンのレセプターを持っています。

エストロゲンは、この骨芽細胞のエストロゲンレセプターに結合することで、RANKLの増加を抑制しています

骨粗鬆症の進行には、このRANKLが関与しており、閉経前ではこのエストロゲンの作用によって骨吸収の促進が抑えられています。

骨芽細胞(Osteoblast)とは?

骨芽細胞とは、骨において、骨形成を担当している細胞です。

骨の代謝において重要な役割を果たしています

RANKL(ランクル)って何?

〈 骨芽細胞(Osteoblast)とRANKL、破骨細胞(Osteoclast)の関係の模式図1)

では、RANKLとはなんでしょうか?

RANKLは、骨芽細胞から分泌され、

破骨細胞前駆細胞に発現するRANKを刺激して、破骨細胞の分化および成熟を制御するタンパク質のことです。

閉経後、エストロゲンが低下してしまうため、RANKLが増加してきます。

増加したRANKLは、RANKを通して破骨細胞前駆細胞を刺激し、さらに破骨細胞前駆細胞が破骨細胞を活性化させます。

活性化した破骨細胞が骨吸収を促進する

破骨細胞(Osteclast)

破骨細胞が活性化することで、骨吸収が促進されます

これによって、骨は徐々に溶けていき、次第に骨密度の低下を招いていきます

以上が、閉経後のエストロゲン低下と骨粗鬆症の関係です。

閉経後 ➡︎ エストロゲン低下 ➡︎ RANKL増加 ➡︎ 破骨細胞活性化 ➡︎ 骨吸収促進 ➡︎ 骨密度低下

骨粗鬆症薬の作用機序について

では、よく使われている骨粗鬆症治療薬は、どのように作用しているのでしょうか。

ビスホスホネート製剤(アレンドロン酸など)

アレンドロン酸(ボナロン®︎ / フォサマック®︎)などのビスホスホネート(BP)製剤は、破骨細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで骨吸収を抑制する骨粗鬆症薬です。

具体的には、破骨細胞のアポトーシスは、GGPP(ゲラニルゲラニルピロリン酸)によって調節されています

GGPPは、ファルネシルピロリン酸から合成されますが、ビスホスホネート製剤は、ファルネシルピロリン酸合成酵素を阻害することでファルネシルピロリン酸の合成を抑制します

破骨細胞のアポトーシス(細胞死)は、GGPPが増加することによって抑制されますが、ビスホスホネート製剤によって、GGPPが減少し、アポトーシスが促進されます。

破骨細胞がアポトーシスが促されることで、骨吸収が抑制されます。

また、ビスホスホネート製剤は骨芽細胞による破骨細胞分化抑制因子であるosteoprotegerin(OPG)の産生を促進させることで、破骨細胞の分化を抑制し、骨吸収を抑制する機序なども考えられています。

〈 BP製剤の作用機序の模式図 〉

少しややこしいですが、ビスホスホネート製剤は、主に骨吸収を抑制することで、骨粗鬆症を防いでいるんだにゃ。

プラリア®︎(デノスマブ)

プラリア®︎は、抗RANKLモノクローナル抗体で、RANKLを阻害することで、破骨細胞の活性化を防ぎます。

これによって骨吸収が抑制され、骨粗鬆症の進行を抑えています。

まとめ

“今回のまとめ”
  1. 閉経後、女性ホルモンであるエストロゲンが減少することで、骨芽細胞からのRANKLが増加し、破骨細胞が活性化され、骨吸収が促進し、骨密度が低下する。
  2. ビスホスホネート製剤もプラリア®︎(デノスマブ)も、骨吸収を抑制することで、骨粗鬆症を予防している。
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〈参考〉

  • 1) Mone Zaidi, et al. Nature 2018;561:180-1.




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