感染症

感染症時の免疫抑制薬の対応について【熱が出た時は、免疫抑制薬はどうしたらいいの?】

こんにちは、今回は、感染症を起こした時の免疫抑制薬の対応についてご紹介していきます。

私も、長く免疫抑制薬を使っていましたが、風邪を引いた時は、いつもどうしたらいいか不安でした。

感染症時の免疫抑制薬の対応について

まずは、感染症時の免疫抑制薬の基本的な対応について説明します。

まず、申し上げないといけない事は、

感染症時に、免疫抑制薬を休薬すべきかについては一定の見解はなく、エビデンスもありません。

そうなんですね、感染症を起こした時には、こうした方がいいという決まったものがあるのかと思っていました。

そうですよね、実は感染によって発熱が起きたときなどに、免疫抑制薬を休薬・減量すべきかについては、一定の見解はないのです。

一定の見解はないのですが、今回は一般的に行われていることをご紹介します。

免疫抑制薬は、やはり身体の免疫力を低下させるため、『 細菌やウイルスにとっては好都合 』です。

そのため、感染を放っておくと、より重症化してしまう可能性もあります。

なので、

一般的には、入院や点滴抗生剤を必要とするような感染症(肺炎、尿路感染症など)では、免疫抑制薬はいったん休薬して、感染症の治療に専念することが多いです。

ただし、全例が、免疫抑制薬の使用中に、入院や点滴抗生剤を使用で休薬するわけではありませんので注意してください。

免疫抑制薬の再開のタイミングは?

免疫抑制薬の再開については、抗生剤などの治療によって、感染症が改善した段階で、再開を検討します

免疫抑制薬を継続するときは?

そしたら、感染症(肺炎、尿路感染症など)があるのに免疫抑制薬を継続する時はどういった場合なのですか?

感染症があるのに、免疫抑制薬を継続しなければいけない時は、時としてあります。

では、それはどういった場合でしょうか。

原疾患の活動性が高く、コントロールが不十分な場合は免疫抑制薬を継続することがあります。

原疾患の活動性が高い場合は、免疫抑制薬を使用しながら、感染症に対する抗生剤を併用することで、両者の治療を同時に行うことがあります。

ただし、感染症は敗血症性ショックや人工呼吸器管理が必要な場合など、重症感染症に進行することもあるため、そういった生死に関わる場合は、

たとえ原疾患のコントロールが不十分でも、免疫抑制薬は中止して、感染症の治療に専念することもあります

最終的には、免疫抑制薬の種類、患者さんの全身状態、原疾患の活動性、感染症の重症度などを総合的に判断し、個別に判断していきます

ステロイドは、感染症時には継続する

ステロイド(プレドニゾロンなど)は、膠原病や多くの自己免疫疾患で使用される免疫抑制薬ですが、

ステロイドだけは特別で、感染症時にも継続して内服します

なぜ、ステロイドは免疫抑制薬でもあるのに、継続する必要があるのですか?

それは、ステロイドは、急に中止すると、『 ステロイド離脱症候群の危険性 』があるからです。

ステロイド離脱症候群については、こちらに詳しく記載しておりますので、ご参照ください👇

ステロイド離脱症候群について【ステロイドは自己判断でやめない】 ステロイドは、膠原病などの自己免疫疾患において、今でも最もよく使用される治療薬の一つです。ですが、ステロイドの特徴の一つとして、勝手に...

重症感染症の場合は、一時的にステロイドの量を増やすこともある

敗血症などの重症感染症の場合は、ステロイドの量を一時的に増やすこともあります。

これを、『 ステロイドカバー 』といいます。

ステロイドカバーは、なぜ必要なのですか?

ステロイドカバーが必要な理由は、敗血症などの重症感染症の併発時には、

身体への負担が多いため、ステロイドホルモンが一時的に用量不足になり

『 相対的副腎不全 』になっている可能性があるためです。

この相対的副腎不全のため、更なる血圧低下などを来し、より重症となる可能性があるため、ステロイドを増量する必要があるのです。

必ずしも中止は必要ない薬

膠原病や自己免疫疾患の治療薬でも、必ずしも中止する必要はない薬もあります。

それは、簡単にいうと


免疫調節薬です。

免疫調節薬とは、免疫抑制薬よりも免疫力を低下作用させる効果が低く、自己免疫疾患に伴う異常な免疫を、正常化させるような働きがあるお薬です。

なので、免疫調節薬は『 感染症のリスクが低い 』と考えられています。

〈 免疫調節薬 〉

  1. プラケニル®︎(ヒドロキシクロロキン)
  2. アザルフィジン®︎(サラゾスルファピリジン)
  3. ケアラム®︎(イグラチモド)
  4. リマチル®︎(ブシラミン)
  5. オテズラ®︎(アプレラミスト)
  6. コルヒチン

ケアラム®︎(イグラチモド)を内服されている場合は、感染症時には発熱や食思不振などから『 脱水 』を来しやすく、ケアラムによる腎障害の副作用が出る可能性もありますので、注意が必要です。

感染症時に自分でできる大切なこと

Point ❶ 『 体調の変化を感じたらすぐに相談する 』

まず、免疫抑制薬を内服されている方で、肺炎や尿路感染などの感染症を患った時に大切なことは、

発熱や呼吸苦など、異常を感じたらすぐにかかりつけ病院などの医療機関に相談することです。

比較的軽症な感染症なら、すぐに抗生剤を始めれば、重症になることはなく症状が改善することが多いです。

ですが、例えばリウマチに伴う間質性肺炎の急性増悪や、免疫抑制薬使用中に発症したニューモシスチス肺炎など、症状が比較的軽くても、来院時に検査すると病状が進行していたということもあります。

なので、特に高用量の免疫抑制薬や多種類の免疫抑制薬を使用している時は、体調の変化などがあった場合は、なるべくすぐに医療機関に相談されることが大切です。

大きな病院では、電話相談をすることも可能な病院が多いので、心配ならば、受診が必要かを相談するのも良いと思います。

免疫抑制薬使用中の患者さんは、感染症を発症したあと、少し我慢してしまい、医療機関に受診した時には重症だったことは実は結構よくある事なのです。
なので、異変を感じたらまずは相談することも大切です。

Point ❷ 『 感染症時の脱水には注意する 』

感染症時には、発熱、食欲低下、発汗などから、どうしても『脱水』をきたしやすいです。

免疫抑制薬を使用中の患者さんは、脱水時に、薬の副作用が強く現れてしまうこともあります

なので、感染症時には、普段より積極的に水分補給することが大切です

どうしても、水分が取れない場合は、医療機関を受診し、点滴をしてもらうことも検討します。

Point ❸ 『 あらかじめ主治医より指示がある免疫抑制薬は主治医の指示に従う 』

いわゆる風邪などの軽症の感染症の場合は、自宅で経過をみることもあるかと思います。

メトトレキサートといった免疫抑制薬を内服されている場合、処方時に主治医より、発熱や咽頭痛といった、いわゆる風邪を発症した場合は、「 指定された免疫抑制薬はいったん中止してください 」と指示されることもあります

そういった薬剤に対しては、感染症の症状がある時は、しっかりと指示に従うことが大切です

免疫抑制薬の再開についても、主治医より指示があると思いますので、そちらに従ってください。

通常は、体調が落ち着いた段階で再開することが多いです。




〈参考〉

•三森 経世、桑名 正隆  リウマチ・膠原病の合併症や諸問題​を解く 文光堂

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“今回のまとめ”
  1. 感染症時の免疫抑制薬の休薬については、一定の見解はないが、一般的に入院や点滴抗生剤を使用する際は、免疫抑制薬を休薬して経過をみることが多い。
  2. 免疫調節薬は必ずしも休薬する必要はなく、またステロイドは感染症時には中止せずに継続する。
  3. 免疫抑制薬使用中は、体調に変化があった際は、早めに医療機関に相談することが大切である。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです🥝 Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします🕊

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