抗リウマチ薬であるオレンシア®︎と抗がん剤で免疫チェックポイント阻害薬の一つであるヤーボイ®︎の作用機序は、実は逆の関係だったりします。
リウマチのお薬と抗がん剤が逆の関係って、パッとイメージしにくいのですが、どういったことなのですか?
そうですよね。
まずは、免疫チェックポイント阻害薬について説明していきましょう!
免疫チェックポイント阻害薬とは?
免疫チェックポイント阻害薬は、近年注目されている、抗がん剤の一つです。
免疫チェックポイント阻害薬には、オプジーボ®︎やヤーボイ®︎などがあります。
特に、日本でノーベル賞をとられた京都大学名誉教授の本庶佑(ほんじょたすく)先生による、PD-1を阻害することで癌細胞の増殖を抑制することを応用して開発された『オプジーボ®︎(ニボルマブ)』が有名です。
オプジーボ®︎(ニボルマブ)は、『抗PD-1抗体製剤』です。
どのようにして、オプジーボ®︎は抗がん作用を発揮するのでしょうか?
がん細胞は、T細胞(リンパ球の一つ)上の『PD-1』と結合することで、T細胞の免疫活性が低下します。
これにより、T細胞はがん細胞を攻撃できず、がん細胞が増殖してしまうのです。
ですが、『抗PD-1抗体』であるオプジーボ®︎は、T細胞上のPD-1を阻害します。
これによって、T細胞は正常に働いてくれるため、がん細胞をちゃんと攻撃してくれるのです。
このように、がん細胞と免疫細胞との関係に注目して、そこをターゲットとした治療薬が『免疫チェックポイント阻害薬』なのです。
https://www.senshiniryo.net/column_a/35/index.html?mode=pcより引用
ヤーボイ®︎(イピリムマブ)について
ヤーボイ®︎も、オプジーボ®︎と同じで、『免疫チェックポイント阻害薬』の一つです。
ヤーボイ®︎は、『抗CTLA-4抗体製剤』です。
CTLA-4は、免疫にどう作用しているのでしょうか?
CTLA-4は、T細胞(リンパ球)上に発現している受容体タンパクです。
CTLA-4は、B細胞などの表面に発言するCD80 / CD86と結合することで、T細胞の活性化が抑制されます。
CTLA-4が活性化すると、T細胞の働きが弱まり、がん細胞への免疫応答が弱まってしまうのです。
つまり、がん細胞が増殖してしまいます。
抗CTLA-4抗体であるヤーボイ®︎(イピリムマブ)は、T細胞上のCTLA-4を抑制することで、T細胞が抑制されるのを防いでくれるのです。
これによって、T細胞が元気になり(活性化)、がん細胞をやっつけてくれます。
https://kusuri-jouhou.com/medi/cancer/ipilimumab.htmlより引用
オレンシア®︎(アバタセプト)はヤーボイ®︎(イピリムマブ)の逆?!
免疫チェックポイント阻害薬は、簡単に言うと、免疫細胞を元気にすることによって(活性化)することによって、がん細胞をやっつけようという治療薬です。
では、ここで抗リウマチ薬であるオレンシア®︎(アバタセプト)は『T細胞選択的共刺激調節剤』と言われます。
T細胞選択的共刺激調節剤ってよくわからない名前ですね。
オレンシア®︎はCTLA4ーIgという、CTLA4分子と免疫グロブリン分子(Ig)を結合させた分子です。
このCTLA-Igが抗原提示細胞表面のCD80 / CD86に結合することでCD28を介した共刺激シグナルを阻害します。
つまり、オレンシア®︎が、CTLA4のかわりの役割をして、T細胞の活性化を抑制します。
それによって、抗リウマチ効果を発揮しているのです。
http://www.hirataclinic-saitama.or.jp/kawara_27.htmlより引用
ヤーボイ®︎は抗CTLA-4抗体製剤であり、CTLA-4の作用を抑制することで、T細胞を活性化させ、抗癌作用を発揮する。
それに対し、CTLA4-Ig製剤であるオレンシア®︎は、CTLA4として働き、T細胞を抑制させ、抗リウマチ効果を発揮する。
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。