こんにちは、今回は【 喘息治療 】吸入ステロイド以外のコントローラーについてを取り上げていきたいと思います。
コントローラーの序列について
- 吸入ステロイド
- 長時間作用型 β2刺激薬、吸入ステロイド+長時間作用型 β2刺激薬の合剤
- ロイコトリエン拮抗薬
- テオフィリン
- 抗アレルギー薬
- 全身ステロイド
- 生物学的製剤・・・抗IgE抗体(ゾレア®︎)、抗IL-5抗体(ヌーカラ®︎)、抗IL-5受容体抗体(ファセンラ®︎)
喘息のコントローラー(長期管理薬)では、上記リストの順で使用されることが多いです。
コントローラーには、多くの種類が出ていますが。まずは、なんといっても吸入ステロイドがコントローラーのキードラックとなります。
吸入ステロイドを初めてみて、それでも発作が頻回に出るなど、効果が不十分の場合は、吸入ステロイドの量を増やしたり、吸入ステロイド+長時間作用型β2刺激薬の合剤に変更します。
それでも、コントロールが十分でない場合は、ロイコトリエン拮抗薬などを追加していきます。
また、最近では、難治性気管支喘息に対しては、生物学的製剤を使用する場合もあります。
生物学的製剤は、抗IgE抗体(ゾレア®︎)、抗IL-5抗体(ヌーカラ®︎)、抗IL-5受容体抗体(ファセンラ®︎)が使用されています。
長時間作用型β2刺激薬
コントローラーとして、吸入ステロイド以外でしばしば使われるのが、気管支拡張薬である長時間作用型β2刺激薬です。
長時間作用型β2刺激薬は、気管支拡張薬という名の通り、強力に気管支を拡張させることによって、空気の通りをよくなり、喘息を改善させます。
ただし、注意が必要なのは、β2刺激薬自体には、抗炎症効果はなく、喘息自体の炎症を抑えてくれないことです。
つまり、炎症が抑えられないと、喘息による気管支のリモデリング(肥厚)が抑えられないため、『必ず吸入ステロイドと併用』する必要があります。
貼付薬 ホクナリンテープ®︎ 1日1回 2 mg
貼付薬は貼るだけで効果を発揮するため、最近はよく使用されることが多いです。
それに加え、1日1回貼るだけで良いので、とても手軽なのも良いです。
また、副作用が出てしまった場合も剥がすだけで良いので、対応も楽です。
内服薬 メプチン®︎、スピロペント®︎、ホクナリン®︎
内服のβ2刺激薬は古い薬で、昔から喘息がある方で内服されている方も時々いらっしゃいますが、最近では、吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤吸入薬を使用する場合が多いです。
副作用
貼付薬、内服薬、吸入薬いずれも、『動悸、不整脈、振戦(手のふるえ)』などがあります。
吸入ステロイド + 長時間作用型β2刺激薬の合剤
最近では、長時間作用型β2刺激薬が吸入ステロイドとの合剤になっている吸入薬が多く発売されており、吸入ステロイド単剤ではなく、こちらを使う頻度が高くなっています。
アドエア®︎
アドエア®︎は、吸入ステロイド+長時間作用型β2刺激薬の合剤の中で最も古く歴史があります。
商品名 | 用法用量 | 剤形 |
アドエアディスカス (100、250、500) | 1日2回 1回1吸入 | DPI |
アドエアエアゾール (50、125、250) | 1日2回 1回2吸入 | pMDI |
シムビコート®︎
シムビコート®︎の特徴は、なんといっても長期管理(コントローラー)と発作時治療(リリーバー)を1剤でも可能としたSMART療法が使えることです。
SMART療法とは?
SMART療法とは、普段のコントローラーとしての治療だけでなく、発作時にも使用する治療法です。これによって患者さんはレスキュー薬を別途持参する必要がなくなります。
商品名 | 用法用量 | 剤形 |
シムビコートタービュヘイラー 30吸入 60吸入 | 1日2回 1回1吸入 あるいは発作時 | DPI |
フルティフォーム®︎
フルティフォーム®︎の特徴は、吸う力(吸気流速)が弱い方でも、肺全体への薬剤到達率が高いことです。
商品名 | 用法用量 | 剤形 |
フルティフォーム 50/125 エアゾール | 1日2回 1回2~4吸入 | pMDI |
レルベア®︎
レルベア®︎の特徴は、なんといっても1日1回の吸入で済むようになったことです。
商品名 | 用法用量 | 剤形 |
レルベア100 エリプタ | 1日1回 1回1吸入 | DPI |
ロイコトリエン拮抗薬
メリット
ロイコトリエン拮抗薬のメリットは、中等量以上の吸入ステロイドを使用している喘息患者さんでは、ロイコトリエン拮抗薬を併用することで、その吸入量を減らすことができます。
副作用も比較的少ない薬剤になります。
アレルギー性鼻炎にも適応があり、アレルギー性鼻炎を併発する方には、双方に効果を期待できます。
シングレア®︎ / キプレス®︎(モンテルカスト)
用法: 1日1回 10 mg 眠前
副作用:下痢、腹痛、嘔気など
→ 1日1回内服で済むので、継続しやすいです。
オノン®︎ (プランルカスト)
用法: 1日2回 1回 225 mg 朝・夕
副作用:発疹、胃部不快感など
テオフィリン系薬
テオフィリンは、吸入ステロイドが普及する前は、コントローラーの主役でしたが、デメリットも多く、最近では使われる機会が減ってきています。
テオフィリンが使いづらい理由
- テオフィリン系は、患者さんによって体内での代謝が違い、効きすぎて副作用が強く出てしまったりするため、血中濃度を確認する必要があります。
- 薬物相互作用があるため、他の薬と併用すると、テオフィリンの血中濃度が上昇し、テオフィリン中毒を起こしてしまう可能性がある薬が多いです。
もし、テオフィリン系薬を内服している方は、一度かかりつけ医に併用薬の相互作用がないか確認してみてください。
血中濃度が上昇のリスク因子 → 高齢者、肥満、抗菌薬(マクロライド系・ニューキノロン系)など
テオドール®︎ / テオロング®︎ / スローピッド®︎
用法: 1日2回 1回 200 mg 朝・就寝前
副作用: 嘔気、頭痛
- 喘息のコントローラー(長期管理薬)には、吸入ステロイド → 増量 or 吸入ステロイド+長時間作用型β2刺激薬 → ロイコトリエン拮抗薬の併用 → 抗アレルギー薬の併用 → ステロイドや生物学的製剤の併用で治療強化を図っていくことが多い。
- 各薬剤のメリット、デメリットに注意する。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? いいねやコメント、またTwitterのフォローもよろしくお願いします?
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