気管支喘息

【 喘息治療 : コントローラー 】吸入ステロイドについて

こんにちは、今回は喘息治療のコントローラーである「吸入ステロイドについて」を取り上げていきたいと思います。

吸入ステロイドは、ICSと表記することもあります。(ICS : inhaled corticosteroid)

コントローラーってなんで、吸入ステロイドなの?

コントローラーに吸入ステロイドが使用されます。

その理由は、しっかりとした抗炎症効果を持ちながら、副作用が少ないためです。

本来、ステロイドは強力な抗炎症作用をもちますが、一方で副作用も多く、使用には十分なメリットを得られる時に使用します。

ですが、吸入ステロイドは、経口薬のステロイドと違い、全身に投与されるわけではない為、ステロイドのもつ副作用を最小限に抑えることができます。

以上のように、その効果と副作用の少なさから、喘息治療のコントローラーとして吸入ステロイドが一般的に使用されます。

吸入ステロイドの副作用は?

吸入ステロイドの主な副作用は、

  1. カンジダ症(咽頭・喉頭〜食道にかけて)
  2. 口内炎
  3. 嗄声(させい)

です。

※ 嗄声とは、一般的に「声がれ」のことです。

対処法は?

多くの場合、うがいをこまめにすることで対処することができます。

また、粒子径の小さいpMDI(詳細は下記に記載)製剤に変更することで、症状が改善することもあります。

症状が落ち着いてきたら、吸入ステロイドの減量を行うことが、最も効果的です。ただし、しっかりとコントールしてから、減量していくことが大切です。

吸入ステロイドの種類ってどんなのがあるの?

吸入ステロイドのみ(ICS)

  • オルベスコ®︎(シクレソニド)
  • パルミコート®︎(ブデソニド)
  • フルタイド®︎(フルチカゾンプロピオン酸)
  • キュバール®︎(べクロメタゾンプロピオン酸)
  • アズマネックス®︎(モメタゾンフランカルボン酸)

ICSは、以上の主に5種類があります。

オルベスコ®︎(シクレソニド)

用法用量 : 1日1回 1回100 ~ 400 μg(800μgの場合は、1日2回にする)

小児 : 1日1回 100 ~ 200 μg (50μgまで減量可能)

剤形 : pMDI式(加圧式噴霧式)

〈特徴〉

  1. 1日1回の投与で良い
  2. 嗄声が少ない
  3. 肺内送達率が高く、抹消気道まで到達しやすい

パルミコート®︎(ブデソニド)

用法用量 : 1日2回 1回 100 ~ 400 μg (1日 1600μgまで)

小児 : 1日2回 1回100 ~ 200 μg (1日 800μgまで、1日1回 100μgまで減量可能)

剤形 : DPI式(ドライパウダー)

〈特徴〉

  1. 全身性の副作用が弱い
  2. 妊婦に対して最も安全とされている(FDAにおける妊娠への安全性ランク・カテゴリーB)
  1. 全身性副作用はほとんどない
  2. DPIとpMDIの両方の製剤を選ぶことが可能
  3. エビデンスが豊富な吸入ステロイドの一つ

フルタイド(フルチカゾンプロピオン酸)

用法用量 : 1日2回 1回 100 μg 1日 800 μgまで

小児 : 1日2回 1回 50μg 1日 200 μgまで

剤形 : ディスカス、ロタディスク → DPI(ドライパウダー)、エアゾール → pMDI(加圧式噴霧式)

〈特徴〉

  1. 全身性副作用はほとんどない
  2. DPIとpMDIの両方の製剤を選ぶことが可能
  3. エビデンスが豊富な吸入ステロイドの一つ

キュバール(べクロメタゾンプロピオン酸)

用法用量 : 1日2回 1回 100 μg 最大 1日 800 μgまで

小児 : 1日2回 1回 50 μg 最大 1日200 μg

剤形 : pMDI(加圧式噴霧式)

〈特徴〉

  1. 粒子径が小さく肺内送達率が高い。
  2. 嗄声が少ない

アズマネックス®︎(モメタゾンフランカルボン酸)

用法用量 : 1日2回 1回 100 μg 最大 1日 800 μg

剤形 : DPI(ドライパウダー)

〈特徴〉

  1. 肺への送達率が高く、抹消気道まで到達しやすい(平均粒子径が2μm)
  2. 使用方法が簡便で、全て使用後に操作不能となり、誤使用を防げる(ロックアウト機能)




どの吸入ステロイドを使ったらいいですか?

1.合剤にすべきかどうか

吸入ステロイドには、吸入ステロイド単独のものと、長時間型吸入β2刺激薬を合わせた合剤があります。長時間型吸入β2刺激薬はLABAとも言います。

まず、吸入ステロイドを開始する際に、ICS単独のものか、ICSとLABAの合剤を使用するかを検討します。

いきなり、ICS(吸入ステロイド)とLABAの合剤を使用するのは、オススメできません。ICS単独でコントロールできるなら、その方が望ましいです。

2. ICSを持続的に使用できるかどうか

喘息治療の効果を最大限はっきするためには、ICSを中断せずに続けることが大切です。ICSを中断せずに使い続けるために、以下の3つのポイントにまとめました。

① 吸入回数で選ぶ

→ 1日1回の吸入ステロイド : オルベスコ®︎(ICS単独)、レルベア®︎(ICS+LABA)

② 余分にレスキュー薬を持ちたくない時

→ 余分なレスキュー薬を持ち歩きたくない場合は、吸入ステロイドにβ2刺激薬(気管支拡張薬)を配合した「シムビコート®︎」がオススメです。シムビコートに配合される、β2刺激薬は長時間作用型となります。

シムビコートは、発作時にレスキュー薬として使用可能であり、これを「SMART療法」といったりもします。

③ 高齢患者さんにオススメなのは?

吸入器には、一般的にpMDI式とDPI式の2種類があります。これは、高齢の方において、どちらがオススメとは言いづらく、患者さんの認識能力と身体能力を総合的に判断して決める必要があります。

メリットデメリット
pMDIDPIほど吸入力は必要ない
スペーサーを使えば吸入のサポートになる
タイミングを合わせる
必要がある
DPIタイミングを合わせる
必要がない
早くしっかり吸う
必要がある

DPIとは?

DPIとは、ドライパウダー吸入器 ( Dry Powder Inhaler ) のことです。

ドライパウダー吸入器は、pMDIと違いタイミングを合わせる必要はありませんが、早く吸入する必要があり、吸気流量が足りないと、しっかりと吸いきれない可能があります。

pMDIとは?

pMDI とは、加圧式噴霧式吸入器 ( pressurized Metered Dose Inhaler ) のことです。

加圧式噴霧式吸入器は、プッシュする時にタイミングよく吸入する必要があります。

また、別でスペーサーを使うことで、吸入手技不良を補うこともできます。

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“今回のまとめ”
  1. 喘息治療のコントローラーである吸入ステロイドには、抗炎症効果と副作用が少ないというメリットがある。
  2. ICSの副作用には、カンジダ症、口内炎、嗄声がある。
  3. 吸入ステロイドを選ぶポイントは、合剤にすべきか、持続的に使用できるかどうかを考えながら、薬剤を選択する。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? いいねやコメント、またTwitterのフォローもよろしくお願いします?

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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。