こんにちは、今回は「喘息治療の基本的な考え方」について取り上げていきたいと思います。
具体的な治療の実際については、次回以降で取り上げていきます。
喘息治療の基本的な考え方

喘息治療は、発作が出たら治療すればいいのですか?
いいえ、それでは遅いです。
喘息の治療の鍵は、
発作がない時に、いかに発作を予防する治療をすることができるか
にあります。
つまり、喘息の治療は、次の2段階に分かれています。
- 喘息の長期管理 = コントローラーを使用する。
- 喘息発作時の治療 = リリーバーを使用する。
この2ステップが喘息治療の大切な考え方です。
普段は、「コントローラー」を使い、喘息の長期管理を行い、発作をできるだけ予防します。
ですが、どうしても発作が出てしまうことがあります。その時は、「リリーバー(レスキュー)」を使用し、発作の治療を行います。
コントローラーとリリーバー

では、コントローラーとリリーバーとは具体的にどういったものでしょう。
ここでは、簡単に言いますが、
コントローラーは、一般的に『吸入ステロイド』のことを指します。
リリーバーは、一般的に『短時間作用型吸入β2刺激薬』のことを指します。(リリーバーはレスキューとも言います。)
コントローラーには、吸入ステロイドの他にも、長時間作用型β2刺激薬、抗ロイコトリエン薬やテオフィリン、最近では抗IgE抗体(ゾレア®︎など)がありますが、やはり、かなめは吸入ステロイドになります。
リリーバーの短時間作用型β2刺激薬は、短時間型の吸入気管支拡張薬のことで、メプチン®︎、ベネトリン®︎、サルタノール®︎などがあります。
また、一時的に、リリーバーとしてステロイドの内服薬や点滴も使われることもあります。
早期治療介入の方が、喘息の進行を抑えられる?!
では、喘息の治療で、早期に治療介入した方が良いか、それとも、症状が出るたびにリリーバーで治療する方が良いかどちらが良いでしょうか。
答えは、前者です。
最近の研究で、コントローラーである吸入ステロイドを早期に導入した方が、発作が出る毎にリリーバーで対応する場合よりも、長期的な経過が良いことがわかってきました。
研究では、軽症の喘息患者さんを2群に分け、早期から吸入ステロイドを導入した群(早期吸入ステロイド群)と、当初は発作時のリリーバーのみを使用し2年経過してから吸入ステロイドを開始した群(リリーバー対応群)を比較しています。
結果は、、、
- その後の重症の喘息発作が起こる率がリリーバー対応群の方が、2倍近く高かった。つまり、早期吸入ステロイド群の方が、重症発作を起こしにくかった。
- 5年後に使っている吸入ステロイドの量が、リリーバー群の方が2倍近く多かった。
- 5年後に吸入ステロイドをやめられた人の数が、早期吸入ステロイド群の方が6倍も多かった。つまり、早期治療開始群の方が、治る可能性が高い。
- 5年後に吸入ステロイド以外の併用薬を使っている割合が、リリーバー群の方が5倍以上多かった。つまり、早期治療開始群は、併用薬をほとんど使わずに済む。
- 5年後の肺機能が、早期吸入ステロイド群の方が、10%ほど良かった。
結果は、ご覧の通りで、これをみても早期に治療導入をした方が、重症発作、その後の吸入ステロイドの量、吸入ステロイドを中止できる確率、併用薬の少なさ、肺機能のいずれにおいても、結果が良かったのがわかりますね。

喘息に良い食べ物、生活習慣はありますか?
ガイドラインに載っていたり、有効性が示されているものをピックアップしました。全てを取り入れるのは、難しいかもしれないですが、これはできるというのがあったら、ぜひ試してみることをオススメします!
喘息に良い食生活、良くない生活習慣
- 乳酸菌、ビフィズス菌、オリゴ糖を含む乳製品は良い
- 魚類、全粒製品、野菜や果物は良い
- 動物性脂肪を取りすぎない
生活習慣良い生活習慣、良くない生活習慣
- 禁煙する(タバコは喘息の増悪因子です)
- 部屋のカビの防止、ハウスダスト対策(カビやハウスダストも喘息の増悪因子となります)
- ウイルス感染症を避ける
- ペット(ペットの毛などによって喘息を悪化させる場合があります)
- 生活環境を不潔にしない
- 空気も清潔にする
- 2歳未満の児童には、抗生物質を与えない
この中で、もっとも大切なことは、『禁煙』をすることです。
タバコ自体が、気管支の炎症をおこし、気管支を硬くし、厚くしてしまう原因となります。
長年喫煙した人は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因にもなりますので、注意してください。
- 喘息の治療は、長期管理の吸入ステロイド(コントローラー)と喘息発作時の治療(リリーバー)に分かれる。
- 早期治療の介入の方が、喘息の進行を抑えられる。
- 喫煙は特に喘息を悪化させる習慣である。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? いいねやコメント、またTwitterのフォローもよろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。
