こんにちは、今回は「喘息ってどんな病気?」について取り上げていきたいと思います。
それではさっそくやっていきましょう!
喘息ってどんな病気?
喘息は、アレルギー疾患の一つですが、「慢性的な気道(気管支)の炎症」を認めるのが、気管支喘息の特徴です。
慢性的な気道炎症が続くとどうなるでしょうか?
慢性炎症が続くと、気管支が炎症により厚くなってきます。
これ「リモデリング」と言います。
最初のうちは、喘息発作が起きても、比較的早くに症状は落ち着きます。ですが、リモデリングが継続すると、どうなるでしょうか。
気管支がさらに厚くなると、次に発作起こった際に、自然軽快することが難しく、ステロイドの点滴や、気管支拡張薬の吸入などの医療的な治療介入が必要となってしまいます。
そこで、大切となってくるのが、ステロイドの吸入薬を喘息の早期から導入し、継続することなのです。
これによって、気道のリモデリング(肥厚)を予防することができるのです。
つまり、喘息で大切なポイントは、病態の本質である、慢性炎症による気道のリモデリングを予防すること。そのために、早期からステロイドの吸入を継続していくことがとても重要なのです。
喘息って日本にどれくらいの患者さんがいるの?
2015年に厚労省が行った調査によると、喘息で治療を受けている患者は、120万人に上り、潜在的な患者数は、少なくとも450万人以上と言われています。
およそ、日本の人口の5%前後の罹患率と言われ、大変ポピュラーな病気です。
少し、古い記事になってしまいますが、喘息は日本の主要な病気の推定患者数のTOP10に入る疾患であるほど、日常にありふれた病気なのです。
大人の患者が増えている?!
喘息といえば、子どもの病気というイメージが強いのですが実は大人の患者数も多く特に60~70代に発症しています。
成人の患者さんで小児ぜんそくを経験している人は3 / 2 程度で、残りの3 / 1 は大人になって初めて発症しているのです。
喘息に特徴的な咳は?
喘息を疑わせる咳には、ポイントがあります。
それは、咳がよくなったり悪くなったりを繰り返すことです。つまり、喘息の咳は「可逆性」があります。
可逆性とは、咳が続いて悪くなるときがあるけど、様子をみていると自然に治っていたということです。
特に、喘息の初期の頃は、気管支のリモデリング(肥厚)が弱いため、比較的すぐによくなってしまいます。
ですが、これが慢性化し、風邪を引くたびに咳が治りにくくなってきたとしたら、知らず知らずのうちにリモデリングが進んでいるかもしれません。
重要なのは、こういった咳の症状を早く見つけて、早期に治療を行うことです。
いかに、具体的な咳のエピソードを記載しましたので、自分の症状と照らし合わせてみてください。
喘息を疑われせる咳やストーリー
- 2 ~ 3週間以上の長引く咳
- 過去に繰り返す咳の既往
- 咳は夜に多くなり、咳で目覚めてしまう。あるいは眠れない
- 咳はあるけど熱はない
- 花粉症や鼻炎などのアレルギー疾患に以前から罹っている
- タバコを吸う、または副流煙を吸う環境にいる
- 室内で犬や猫を飼っている
- 何か動く(労作)をすると息切れし、咳き込むことがある
多くの項目に当てはまれば、喘息の可能性があるかもしれません。
喘息の検査について
気道可逆性試験
喘息のポイントは、気道の可逆性があることであり、つまり咳の症状が一過性で改善するかどうかです。
咳が改善するか(可逆性)は、気管支拡張薬(β2刺激薬)によって確認することができます。
これが、気道可逆性試験です。
喘息が疑われる方に、気管支拡張薬(β2刺激薬)を吸入することで、症状や検査所見が改善するかをみます。β2刺激薬には、短時間作用型が使用され、メプチン®︎、ベネトリン®︎、サルタノール®︎が使われます。
これらを吸入することによって、症状の改善、肺機能やピークフロー(PEF)の明らかな改善(1秒量の12%以上、かつ200ml以上の改善)があれば、有意な可逆性があると判断します。
呼気NO検査
喘息患者さんの吐く息(呼気)のなかには、健康な人の呼気に比べ、一酸化窒素(NO)が多く含まれることが知られています。
呼気NO検査は、呼気中の『NO』を測定することで、喘息らしさがあるかを調べることができます。
診断基準
- 21ppb以下 : 正常範囲
- 22ppb以上 : 喘息の可能性が高い
- 37ppb以上 : ほぼ確実に喘息
検査方法 : 専用の機器(1.5Lのペットボトルぐらいの大きさ)を、患者さんに手で持ってもらい、本体にセットしたマウスピースをくわえ、一定の速さで10秒間(小児は6秒)息を吹き込んでもらいます。
うまくできれば、約2分間で検査完了します。
血液検査の特徴
血液検査で、チェックすべきなのは、
『好酸球(Eosino)、IgE(非特異的)、CRP』です。
① 好酸球
喘息は、アレルギー疾患の一つであるため、血液検査では、白血球のうち「好酸球」が上昇することが多いです。
血液検査の結果用紙には、好酸球なんて書かれていないよと思われるかもしれません。
そうなのです、直接好酸球とは書かれていないので、白血球分画という項目に注目します。
白血球は、「WBC(White Blood Cell)」と表記されています。
この白血球は、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球に別れます。
それぞれ、 Neut、Lym pho 、Mono、Eosino、Basoという英語表記されています。
分画なので、これらはそれぞれ、パーセンテージで表されております。
好酸球は、「Eosino(Eosinophil)」と書かれ、ここに注目します。Eosinoの基準値は、『 1 ~ 9 %』になりますので、およそ10 %以上の場合は、好酸球の割合が上昇しているなと判断します。
② IgE(非特異的)
また、アレルギー体質を表す指標として、「 非特異的IgE 」があります。
IgEは、IgGなどといった免疫グロブリンの一種です。アレルゲン(アレルギーの原因物質)が体内に入ってくると、IgEが作られ、マスト細胞を刺激します。
刺激されたマスト細胞がヒスタミンやロイコトリエンなど化学物質を放出させます。このヒスタミンなどの化学物質が、鼻水、くしゃみ、かゆみ、咳、喉の違和感などを引き起こします。
非特異的IgEは、「体内の特異的IgE抗体の総量」で、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症などのアレルギー疾患で上昇します。
③ CRP(炎症反応)
CRPは、炎症反応と言って身体の炎症を見る検査です。
CRPは喘息に特徴的な検査ではないですが、喘息による強い炎症がある場合、肺炎や気管支炎を合併している場合に上昇します。
喘息を診断する
初めに、申し上げて起きたいのですが、喘息を厳密に診断することは、しばしば難しいことが多いです。
また、冒頭でも述べたように、喘息はとてもメジャーな病気ですが、気道可逆試験、呼気NO検査、呼吸機能試験などは一般の開業医の病院では、検査自体が難しいことが多いです。また、検査自体の解釈も難しかったりします。
そのため、実際は、症状や病歴などから、臨床的に診断されることが多いです。
このことが、喘息診療を難しくさせている一つでもあります。
ただ、それだと、本当に私って喘息なの?と思ってしまわれる方も多いかと思います。
しかし、基本に立ち返ると、喘息のポイントは「繰り返される咳」と「可逆性があるかどうか」です!
病院を受診し、喘息が疑われ、繰り返し発作がある時に使用する気管支拡張薬を処方されたら、
咳発作が起こった時に、その吸入薬によって発作が改善するかをみてください。
改善すれば、発作によって、気管支が一時的に炎症をお越したことで細くなり、咳が起きていたんだと確認することができます。
つまり、これによって気道の可逆性を確認することができるのです(=咳の原因は、喘息による可能性が高い)。
- 喘息は、主に好酸球によって気管支が炎症を起こす疾患である。
- 喘息の特徴は可逆性があることで、初期のうちは軽快増悪を繰り返す。
- 慢性的な炎症が繰り返されることを、「リモデリング」という。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? いいねやコメント、またTwitterのフォローもよろしくお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。