こんにちは、今回は成人Still病の治療について取り上げて行きたいと思います!
では、さっそくやっていきましょう^o^
基本はステロイド
成人Still病の治療の基本は、ステロイドを使用します。
軽症の場合
軽症の場合は、「中等量ステロイド程度」で軽快することが多いです。中等量はプレドニン®︎(プレドニゾロン)0.5 mg/kgで、体重 50kgの方だと、プレドニン 25 mg/日となります。
中等量ステロイドで、軽快しなかった場合は、治療を強化する場合もあります。
重症の場合
重要臓器障害や血球貪食症候群などの重症の場合は、「ステロイドパルス」と、その後「高用量ステロイド」が使用されます。
高用量はプレドニン®︎(プレドニゾロン)1 mg/kgで、体重 50kgの方だと、プレドニン 50 mg/日となります。
免疫抑制薬の併用について
ステロイドで寛解しない場合は、カルシニューリン阻害薬やメトトレキサートの併用を検討します。カルシニューリン阻害薬には、ネオーラル®︎(シクロスポリン)やプログラフ®︎(タクロリムス)があります。また、イムラン®︎ / アザニン®︎(アザチオプリン)も使用されることがあります。
免疫抑制薬を併用することによって、スムーズなステロイド減量効果を期待します。
生物学的製剤について
成人Still病に対して併用される生物学的製剤は、TNF阻害薬やIL-6阻害薬であるアクテムラ®︎(トシリズマブ)が併用されることが多いです。
関節リウマチに対して、TNF阻害薬やIL-6阻害薬は保険適応されている生物学的製剤であり、関節症状が残存する成人Still病の方には良い適応があります。
その中でも、アクテムラ®︎(トシリズマブ)は、成人Still病において最近よく使用されている生物学的製剤です。
最近では、アクテムラ®︎(トシリズマブ)の登場によって、ステロイドのみでは寛解が難しい成人Still病の寛解率が上がっています。
また、近年IL-1阻害薬であるイラリス®︎(カナキヌマブ)の有効性も報告されており、今後臨床で使用される日も来るかもしれません。2020年にアメリカFDAでイラリス®︎が成人Still病において承認されましたが、2021年8月時点では、国内では臨床試験中です。
アクテムラ®︎(トシリズマブ)の用法は?
アクテムラ®︎として1回 8 mg/kg を2週間隔で点滴静注します。
また、症状により1週間まで投与間隔を短縮できます。
体重が60kgの方ですと、1回 480 mgを2週間間隔で点滴します。
また、症状が落ち着いてきたら、ステロイドは減量し、状況によってアクテムラ®︎の投与間隔も3週間や4週間隔と徐々に伸ばしていきます。状況によって、アクテムラ®︎の中止も検討します。(ただし、再燃する可能性もあるため、中止には十分注意を払います。)
成人Still病の疾患活動性のフォローについて
成人Still病の治療において、疾患活動性はどのように評価していくのでしょうか。
まずは、発熱、関節痛、皮疹といった症状が落ち着いていることが大切です。
さらに、血液検査において、炎症反応が落ち着いているかを評価します。
具体的には、『CRPとフェリチンの陰性化』を目指していきます。
なので、成人Still病においては、症状が落ち着いていることに加え、『CRPとフェリチンが陰性化することを目標』に治療を行っていくと考えてください。
ステロイドは中止できるの?
全ての方ではないですが、症状や重症度によっては、ステロイド中止を目指すことは可能です。
まずは他の免疫抑制薬(タクロリムス等)や生物学的製剤(アクテムラ等)を併用しながら、ステロイド中止を目指します。
その後、免疫抑制薬や生物学的製剤も中止できるかを、経過をみながら検討していきます。
ただし、成人Still病は再燃も珍しくなく、ステロイドを減量していきながらも、しっかり症状、CRPやフェリチンをフォローして行くことが大切です。
- 治療の基本はステロイドである。
- 免疫抑制剤には、カルシニューリン阻害薬(シクロスポリンやタクロリムス)やメトトレキサートが併用される。
- 最近では、生物学的製剤としてアクテムラ®︎(トシリズマブ)がよく使われる。
- 再燃も珍しくなく、活動性のコントロールには炎症反応をしっかり抑える事が大切である。
今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。参考になりましたら、高評価、コメントを頂けましたら嬉しいです?またTwitterのフォローもお願いします?
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※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。