こんにちは、Dr.キウイです?。今回は、多くの膠原病に使用さている、『エンドキサン®︎』について取り上げていきたいと思います!
〜 The Point 〜
- 免疫抑制薬である。(抗がん剤としても使用されている)
- 膠原病疾患では、2週に1回〜4週に1回投与し、計6回が目安。
- 副作用として、嘔気・嘔吐、出血性膀胱炎・血球減少に注意が必要
エンドキサン®︎(シクロフォスファミド)について
エンドキサン®︎( シクロフォスファミド )は、免疫抑制剤の一つで、白血病や肺癌などにも使われる抗がん剤でもあります。
抗がん剤でもあるため、免疫抑制効果は、高い反面、副作用にも注意が必要な薬剤になります。
適応疾患は?
治療抵抗性で、中等症〜重症の以下のリウマチ性疾患で使用されます。
- 全身性エリテマトーデス( SLE )
- 血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、高安動脈炎など)
- 皮膚筋炎・多発性筋炎
- 全身性強皮症
- 混合性結合組織病
- 悪性リウマチなど
具体例は?
SLEの神経ループス(CNSループス)に対して、ループス腎炎のⅢ/Ⅳ型に対して、ANCA関連血管炎の腎病変や肺病変がある方に対してといった形で使用されます。
膠原病は、それぞれの疾患でも、何の臓器に病変があるかによって治療法が異なるため(サラッと書きましたがここはかなり重要!)、その対象臓器が神経、腎臓、肺や全身の血管炎といった場合に選択されることが多いです。
使用されるタイミングは、『膠原病の初発時』が圧倒的に多いです!病態が安定してくれば、別の効果がマイルドな免疫抑制薬を継続することが多いので、「あっ、最初の頃やってたなー」と思われる方もいるかもしれません。
ただ、病態が再燃した時も、治療の選択肢としては挙がるため、使用する場合もあります。
用法は?
エンドキサン®︎は基本的には、点滴で行います。
重症度によって、低用量か高用量で使用します。
○低用量: 1回 500 mgを2週間〜4週間ごとで計 6 回まで投与します。回数は、年齢や生殖機能のリスクなどを考慮して2〜3回で終了する場合もあります。
○高用量: 1回500〜750mg/m2(体表面積)、1ヶ月ごとで計6〜7回投与し、以後3ヶ月ごとに間隔を延長して2年間投与
ただ、最近は副作用や他の免疫抑制剤の選択肢も増えたため、高用量での使用は、かなりの難治性や特殊な病態などに限られるのが多いかと思います。私も、低容量のプロトコルで使用するのがほとんどです。
副作用は?
短期と長期で認めるもので説明します。
短期
嘔気・嘔吐
エンドキサン®︎は、抗がん剤の一種でもあり、嘔気・嘔吐の副作用があります。頻度は、5〜15%程度です。症状が強く出る方もおり、あらかじめ開始30分前に制吐剤の内服や点滴をします。
出血性膀胱炎
累積投与量が多かったり、エンドキサン®︎の経口薬を連日投与(膠原病で使われる場合は通常、点滴です)する場合に認めることがあります。頻度は、1〜5%です。
予防のために、十分な飲水や点滴(1.5〜3L)を行い、メスナという予防薬を使用する場合もあります。
血球減少
血球減少は、開始後2週間前後で認めることが多いです。頻度は高く、5〜45%と言われております。実感としても、結構高い確率で出る印象です。
通常は、経過によって少しづつ改善してくるので、感染症の発症がない限りは、経過観察をします。白血球が減少した時に、感染症を併発した場合は、抗生剤の他に、「G-CSF」という好中球を増やす注射を使う場合があります。
また、白血球が減少時に、エンドキサン®︎による免疫抑制効果と相まって、感染症のリスクも増えるので、この時期(投与後2週間前後)は、特に感染症には注意が必要です。
長期
性腺機能低下
無月経、精子減少症、不妊のリスクがあり、卵巣機能低下は、年齢が高く、累積投与量が多いほどリスクが高いです。頻度は、1〜7%と言われています。
作用機序は?
エンドキサン®︎は、アルキル化薬と呼ばれます。リンパ球などの細胞のDNAをアルキル化して、その分化・増殖を抑制することで、免疫抑制効果を発揮します。
注意点は?
副作用に、性腺機能低下があるため、若い膠原病の患者さんには、使用は特に注意をしています。例えば、SLEの方で神経ループスを発症した場合は、エンドキサン®︎がキードラックになります。
なので、最小限の量で病気をコントロールしながら、性腺機能を保つように心がけています。(ただ、やはり病勢が強くて、どうしても難しい場合もあります)
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