クローン病

カログラ®︎(カロテグラテスト)の特徴について【潰瘍性大腸炎】

こんにちは、今回は『カログラ®︎(カロテグラテスト)の特徴について』取り上げていきたいと思います!

カログラは、名前が可愛い響きですね!よろしくお願いします!

カログラ®︎(カロテグラスト)について

カログラ®︎(カロテグラスト)は、2022年5月に発売された経口α4インテグリン阻害薬です。

もともと、インテグリン阻害薬には、エンタイビオ®︎(α4β7インテグリン抗体)がありましたが、こちらは点滴製剤でした。

カログラは、インテグリン阻害薬の初めての経口薬となります。

適応疾患は?

エンタイビオ®︎の適応疾患は、以下のようになります。

  • 潰瘍性大腸炎

どんな時に適応となりますか?

潰瘍性大腸炎もクローン病も以下の条件を満たす場合に、良い適応となります。

  1. 中等症の潰瘍性大腸炎
    • 具体的には、メサラジン(5-アミノサリチル酸)で効果不十分な場合
メサラジン 一覧
  • リアルダ®︎
  • アサコール®︎
  • ペンタサ®︎




用法は?

カログラ®︎は、1錠 120 mg の点滴静注用製剤です。

用法用量1回 960 mg(8錠)を1日 3 回 食後内服する。
薬価について

薬価は、以下のようになります。

〈 薬価の目安 〉 1錠 1ヶ月(30日)の目安
120 mg 200円 144,000円(10割)
43,200円(3割)
28,800円(2割)
14,400円(1割)

潰瘍性大腸炎は、国の指定難病なので申請が承認されれば、患者さんの薬価の心配は少ないかと思われます。

副作用は?

1 ~ 5%未満肝障害(AST上昇、LDH上昇)
頭痛
悪心、腹部不快感
白血球数増加
関節痛
尿タンパク陽性
上咽頭炎、発熱
1 %未満薬物過敏症
肝障害(ALT上昇、γ-GTP上昇)
感覚鈍麻
嘔吐、口内炎、消化不良、腹部膨満、腹痛
発疹、蕁麻疹
鼻出血

重大な副作用

  1. 進行性多巣性白質脳症(PML): 頻度不明
    • 意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、失語などの症状があらわれた場合は、PMLを疑いすぐに医療機関に相談してください

カログラ®︎(カロテグラスト)のエビデンス

有効性はどうでしたか?

主要評価項目である8週目の臨床的奏功の割合は、カロテグラスト群がプラセボ群と比べて有意に高い結果でした

試験の概要
  • 試験デザイン:多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験
  • 実施施設:日本国内の82の病院や診療所で実施。
  • 対象の潰瘍性大腸炎患者:Mayo スコア 6~10点、内視鏡サブスコア 2点以上、直腸出血サブスコア 1点以上、メサラジン(ペンタサ®︎、アサコール®︎、リアルダ®︎)に対する反応不十分または不耐性を有する患者さんが登録されました。
  • 主要評価項目『 8週目に臨床的奏効を示した患者の割合 』
    • 臨床的奏効は、8週目にMayo スコアが30%以上かつ3以上減少し、直腸出血スコアが1以上または直腸出血サブスコアが1以下、内視鏡サブスコアが1以下であることと定義された。
〈 8週目 〉 カロテグラスト群
n=102人
プラセボ群
n=101人
臨床的奏功 45%(46人) 21%(21人)
オッズ比 3.30 95%CI 1.73-6.29
p = 0.00028

安全性はどうでしたか?

ほとんどの有害事象は軽度から中等度でした

試験中の死亡例もありませんでした。

また、最も頻度の高い治療関連有害事象は、鼻咽頭炎でした(プラセボ群101例中4例[4%]、カログラテスト群102例中3例[3%])。

しかし、カログラテストがプラセボと比べて有意に高いということはありませんでした。

Mayoスコアとは?

Mayoスコアとは、潰瘍性大腸炎で一般的に使用される疾患活動性の指標です。

Mayoスコア 活動性
0 ~ 2 寛解 なし
3 ~ 5 軽症
(Mild)
あり
6 ~ 10 中等症
(Moderate)
あり
11 ~ 12 重症
(Severe)
あり

今回は、Mayo スコアが6~10点の中等症の潰瘍性大腸炎の患者さんが対象となっています。

カログラ®︎(カロテグラスト)の作用機序について

カログラは、生体内で活性代謝物であるカロテグラストとなります。

カロテグラストは、以下の2つの結合を阻害することで、抗炎症作用を発揮します。

  1. α4β1インテグリンとVCAM-1(Vascular cell adhesion molecule-1)との結合
  2. α4β7インテグリンとMAd CAM-1(Mucosal addressin cell adhesion molecule-1)との結合

この2つの結合を阻害することによって、T細胞を含む炎症性細胞の血管内皮細胞への接着および炎症部位への浸潤を阻害し、抗炎症作用を示します

カログラ®︎(カロテグラスト)は、T細胞(リンパ球)のホーミングを阻害する

ホーミングとは、 特定の免疫担当細胞が特定の部位に遊走していき定着することをいいます。

空調や回腸にある免疫器官であるパイエル板や腸管膜リンパ節、腸粘膜固有層細静脈内皮細胞内皮などの消化管組織に限局して発現している『 MAdCAM-11) 、VCAM-1』は、それぞれ、T細胞(リンパ球)に発現している『 α4β7インテグリン、α4β1インテグリン 』に対して特異的に結合します。

ホーミングには、この消化管組織に限局して発現するMAdCAM-1、VCAM-1と、リンパ球に発現するα4β7インテグリン、α4β1インテグリンが深く関与しています2)

カロテグラストは、 α4β1インテグリンとVCAM-1の結合、α4β7インテグリンとMAdCAM-1の結合を阻害することで 、T細胞のホーミングを阻害します。

これによって、炎症細胞であるT細胞(リンパ球)が、腸管組織に侵入するのを防ぎ、潰瘍性大腸炎やクローン病による炎症を抑えることができます。

〈 カロテグラスト(カログラ®︎)の作用機序の模式図3)

〈参考〉

  • 1) Briskin MJ, et al. Nature 1993;363:461-464.
  • 2) Picarella D, et al. J Immunol 1997;158:2099-2106.
  • 3) Markus F. Neurath, et al. Nature reviews gastroenterology & hepatology 2017;14:269-278.
  • 久冨木原 健二, et al. 血栓止血誌 2019;30:603-609.
  • カログラ®︎(カロテグラスト)の添付文書
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今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです? Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします?

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