アトピー性皮膚炎

オルミエント®︎(バリシチニブ)のアトピー性皮膚炎における有効性 / エビデンスについて【JAK阻害薬】

こんにちは、今回はアトピー性皮膚炎におけるオルミエント®︎(バリシチニブ)の有効性やエビデンスについてご紹介していきます。

オルミエント®︎はアトピーに対して、比較的最近使われるようになったJAK阻害薬ですね。
ぜひよろしくお願いします!

オルミエント®︎(バリシチニブ)について

JAK阻害薬であるオルミエント®︎は、2020年12月JAK阻害薬として初めて適応が追加されました。

オルミエント®︎はアトピー性皮膚炎に対する有効性、エビデンスは具体的にどういったものだったのでしょうか。

では、早速やっていきましょう。

適応疾患は?

オルミエント®︎(バリシチニブ)の適応疾患は、以下のようになります。

  • アトピー性皮膚炎
  • 関節リウマチ
  • SARS-CoV-2による肺炎

どんな時に適応となりますか?

アトピー性皮膚炎・・・外用療法で十分にコントロールできない中等度から重度の成人アトピー性皮膚炎患者さんに良い適応となります。




用法は?

アトピー性皮膚炎

通常4mg 1日1回 内服
減量も可能患者さんの状態に応じて、2mgへ減量も可能です。

※成人が対象となります。

薬価について

薬価は、以下のようになります。

4 mg 5,274 円。

2 mg 2,705 円。

アトピーの方に対して、1日4mgで3割負担の場合、1ヶ月およそ47,000円
1日2mgで3割負担の場合、1ヶ月およそ24000円となりますね。
JAK阻害薬は、やっぱり値段は結構しますね。。。。

関節リウマチにおけるオルミエント®︎(バリシチニブ)についてはこちらをご参照ください👇

【JAK阻害薬】オルミエント®︎(バリシチニブ)について 今回は、JAK阻害薬の一つオルミエント®︎(バリシチニブ)について説明していきます。 オルミエント®︎(バリシチニブ) ...

副作用は?

10%以上上気道感染(鼻炎、上咽頭炎、副鼻腔炎など)、LDLコレステロール上昇
1~10%未満悪心、腹痛
帯状疱疹、単純ヘルペス、尿路感染
頭痛
肝酵素上昇(AST↑、ALT↑)、血小板増加症
トリグリセリド(TG)上昇、CK上昇
0.1〜1%未満ざ瘡、体重増加

投与中は、次の重大な副作用がないかをしっかりとモニタリングすることが大切です。

重大な副作用

  • 感染症・・・帯状疱疹(3.2%)、肺炎(0.8%)、ニューモシスチス肺炎(0.1%未満)、敗血症(0.1%未満)、結核(0.1%未満)
  • 消化管穿孔(0.1%未満)
  • 血球減少・・・好中球減少(0.8%)、リンパ球減少(1.5%)、ヘモグロビン減少(0.1%)
  • 肝機能障害、黄疸(0.9 〜1.1%)
  • 間質性肺炎(0.1%未満)
  • 静脈血栓塞栓症(0.3〜1%)

感染症が起きた時の対応はどうしたら良いですか?

肺炎や尿路感染症などの感染症が起きた時は、


オルミエント®︎は一旦中止します。

これは、オルミエントの免疫抑制作用が、感染症時にはマイナスで働いてしまうためです。

オルミエント®︎の再開のタイミングはどうしたらいいですか?

オルミエント®︎の再開のタイミングは、感染症が落ち着いた段階で、再開を検討します。

再開の具体的なタイミングについては、主治医とご相談ください。

※ 感染時は、ステロイド(プレドニゾロンなど)は中止せずに継続する

ただし、プレドニゾロン(プレドニン®︎)などのステロイドについては、離脱症状が起きてしまうため、中止しないで継続します。

さらに、敗血症などの重症の感染症の場合は、相対的にステロイドホルモン値が低下し、血圧低下などを来たす場合があるため、一時的にステロイド量を増量する場合もあります。(この対応は、通常重症感染症時におこないます:これをステロイドカバーといいます)

オルミエント®︎(バリシチニブ)のアトピー性皮膚炎に対するエビデンス

有効性 efficacy

JAHL試験1)

製薬会社主導の臨床試験。

  • 試験デザイン:プラセボ対照二重盲検比較試験。
  • 対象:ミディアム〜ストロングクラス以上に相当するステロイド外用薬に対して効果不十分であった中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者624例。
  • ステロイド外用併用下で、プラセボ群とオルミエント 4 mg群、オルミエント 2 mg群を1日1回経口投与。
  • 投与16週時のIGA( 0,1 )、かつ、ベースラインから2ポイント以上の改善を達成した割合について、オルミエント 4mg群では16.8%(21/125)で、プラセボ群では4.8%(12/249)で、オルミエント 4mg群の方が有意差を持って改善率が高かった(p<0.001)
  • 投与16週時のEASIスコアでベースラインからの75%以上の改善(EASI-75)を達成した割合は、オルミエント 4mg群では24.8%(31/125)で、プラセボ群 8.8%(22/249)比べて統計的有意差を持って高かった(p<0.001)

IGAスコア:医師による皮膚病変の全般的な評価

0 = 消失 アトピーによる炎症の徴候なし
1 = ほぼ消失 かろうじて認識できる紅斑またはごく軽度の病変の隆起(丘疹形成/浸潤)
2 = 軽症 目で検知可能、薄いピンク色の紅斑、及びごく軽度の隆起(丘疹形成/浸潤)
3 = 中等症 くすんだ赤色、明らかに認識可能な紅斑、明らかに認識できる隆起(丘疹形成/浸潤)、ただし広範ではない
4 = 重症 深紅/暗赤色の紅斑、著明かつ広範な隆起(丘疹形成/浸潤)

EASI スコア : アトピー性皮膚炎の活動性の評価スケール

医師が測定する湿疹の重症度や範囲をあらわすスコアです。
4つの身体部位(頭頸部、体幹、上肢、下肢)のスコアを合計します。

〈 EASIスコアの75%改善の目安👇 〉

(参考元:https://www.dupixent.jp/atopy/scale/easi/01

実臨床での、オルミエントの効果は本当にあるのでしょうか。

JAIY試験2)

実臨床での臨床試験。

  • 試験デザイン:プラセボ対照二重盲検比較試験。
  • 対象:ミディアム〜ストロングクラス以上に相当するステロイド外用薬に対して効果不十分であった中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者329例。
  • ステロイド外用併用下で、プラセボ群とオルミエント 4 mg群、オルミエント 2 mg群を1日1回経口投与。
  • 投与16週時のIGA( 0,1 )、かつ、ベースラインから2ポイント以上の改善を達成した割合について、オルミエント 4mg群では30.6%(34/111)で、プラセボ群では14.7%(16/109)で、オルミエント 4mg群の方が有意差を持って改善率が高かった(p=0.004)
  • 投与16週時のEASIスコアでベースラインからの75%以上の改善(EASI-75)を達成した割合は、オルミエント 4mg群では47.7%(53/111)で、プラセボ群 22.9%(25/109)比べて統計的有意差を持って高かった(p=0.005)
エビデンスのまとめ

➡︎ 発売前の臨床試験でも実臨床においても、オルミエント 4mgとステロイド外用薬の併用療法は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎の症状を有意に改善しました。

オルミエント®︎の作用機序は?

では、JAK阻害薬であるオルミエント®︎はアトピーにどのように効果があるのでしょうか?

まずは、アレルギー性炎症である2型炎症について解説します。

アトピーに関与する2型炎症について

2型炎症とは、Th2細胞(ヘルパ-T2細胞)や自然リンパ球2(ILC2)から産生される2型サイトカインが中心的な役割を担っている炎症のことです。


アトピー性皮膚炎は、この2型炎症が中心的な役割を担っています。

下のアトピー性皮膚炎の模式図をご覧ください。

2型炎症(アレルギー性炎症)には、Th2細胞やILC2(細胞)が中心にいます。

そこでは、Th2細胞やILC2から分泌される『IL-4、IL-13、IL-22、IL-31』といった炎症性サイトカインが働いています。

余談ですが、デュピクセント®︎(デュピルマブ)はIL-4/13をブロックすることでアトピーを改善します。

アトピー性皮膚炎に関与する2型炎症の模式図

https://www.olumiant-doctor.jp/olumiant/moa より引用)

デュピクセント®︎(デュピルマブ)の特徴について【気管支喘息 / アトピー性皮膚炎 / 慢性副鼻腔炎】 こんにちは、今回は喘息、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎に適応のある『デュピクセント(デュピルマブ)』について取り上げていきたいと思いま...

JAK阻害薬であるオルミエント®︎は、この2型炎症のどこに作用しているのですか?

よい質問ですね。

下図をご覧ください。

オルミエントなどのJAK阻害薬は、Th2細胞やILC2といった「免疫細胞」の中で起こっている細胞内シグナル伝達を阻害しています。

免疫細胞は、IL-4やIL-13といった炎症性サイトカインから『サイトカイン受容体を通して』炎症の情報を受け取ります。

JAK(ヤヌスキナーゼ)はサイトカイン受容体に結合しており、サイトカインから受け取った情報を、細胞の核まで伝える、細胞内シグナル伝達の一旦を担っています。

サイトカイン受容体に結合するJAK(ヤヌスキナーゼ)の模式図

https://www.kitasato-u.ac.jp/ktms/kaishi/pdf/KI49-1/KI49-1p01-07.pdf より引用)

オルミエント®︎(JAK阻害薬)は、サイトカイン受容体に結合するJAKを阻害することで、IL-4やIL-13、IL-22などの炎症性サイトカインの働きをブロックすることができます。

これによって、2型炎症(アレルギー性炎症)を抑制し、アトピー性皮膚炎に有効性を示します。

サイトカイン受容体を構成するJAKの模式図

https://www.olumiant-doctor.jp/olumiant/moa より引用)

〈参考〉

  • 1) オルミエント(バリシチニブ) 添付文書
  • 2) Kristian Reich, et al. JAMA Dermatol 2020;156(12):1333-1343.
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今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです🥝 Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いします🕊

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