強皮症

強皮症におけるリツキシマブ(リツキサン®︎)の有効性について【DESIRES試験】

こんにちは、今回は「強皮症におけるリツキサン®︎(有効性)について」を取り上げていきたいと思います。

ということで、今回は、2021年5月にLancet Rheumatologyに掲載された『Safety and efficacy of rituximab in systemic sclerosis (DESIRES): a double-blind, investigator-initiated, randomised, placebo-controlled trial』を簡単にご紹介します。

この論文により、強皮症においてリツキシマブ(リツキサン®︎)が薬事承認されました。

今後しばらくして、保険適応になると思われ、実臨床での使用が期待されます。

※ 早く結果を知りたいという方は、方法を飛ばして結果をご参照ください。

今まで、強皮症の皮膚硬化を改善する治療薬はわずかしかなく、リツキサン®︎(リツキシマブ)は、これまでの強皮症の治療の概念を変える可能性があります。

そんな期待できるのですね!

ただ、まだ実臨床での強皮症での経験が少ない薬剤なので、今後もう少し検討が必要かと思われるますので、注意は必要です。

方法 Methods

・DESIRES試験は、医師主導の二重盲検ランダム化プラセボ対照比較試験である。

二重盲検とは、リツキシマブを投与する医師側も患者さん側も、誰がリツキシマブを投与したか分からなくするということです。

ランダム化とは、リツキシマブとプラセボ薬を与えるのを、ランダムに割り振りますという意味です。

プラセボとは、特に薬剤効果のない薬を投与するということです。

(二重盲検やランダム化は試験にバイアスがかからないようにための方法です)

強皮症の対象患者さんは、以下のようになります。

・20-79歳

・2013年アメリカリウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)の全身性強皮症診断基準を満たし

・mRSS(皮膚硬化スコア) ≧ 10

・予想生存期間が6ヶ月以上を見込まれる

・薬の投与は、リツキシマブ(リツキサン®︎)もしくはプラセボ薬を週に1回、計4週間投与しました。

・主要評価項目は、『24週間後のmRSS(皮膚硬化スコア)の変化量の評価』です。

結果 Results

では、結果を見て行きましょう!

・研究期間 2017年11月28日 〜 2018年11月6日の24週間(6ヶ月間)です。

56人(70%)が登録されて無作為に割り付けられ、51人(91%)が女性、5人(9%)が男性でした。

・リツキシマブ群 28名のうち27名(96%)、プラセボ群28名のうち22名(79%)が、割り付けられた治療を少なくとも1回受け、24週間の追跡調査を完了しました。

〜 結果のポイント 〜

・試験開始から24週間後のmRSSの変化量は、リツキシマブ群の方がプラセボ群よりも有意に低かったです。mRSS(皮膚硬化スコア)変化量:リツキシマブ群:-6.30、プラセボ群:2.14。

・有害事象は両群で同様であり、リツキシマブ群では28名中28名(100%)、プラセボ群では26名中23名(88%)に発生しました。

・最も多かった有害事象は上気道感染症で、リツキシマブ群では11名(39%)、プラセボ群では10名(38%)に発生しました。

・治療中止に至る重篤な有害事象は、各群1名の患者に発生し、リツキシマブ群では血清アルブミンの減少、プラセボ群では胆道系酵素の増加が見られました。

・フォローアップ期間中の死亡例はありませんでした。

罹患期間での治療効果の差はありましたか?

強皮症の罹患期間mRSS(皮膚硬化スコア)の平均変化量
リツキシマブ群
プラセボ群有意差
(p値)
6年未満– 7.292.8あり
(<0.0001)
6年以上– 5.091.19あり
(0.0008)

👉 強皮症の罹患期間別でも治療効果判定をしています。

罹患期間が6年未満の方でも、6年以上でも、いずれも有意差をもってプラセボ群と比べて皮膚硬化スコアの改善を認めました。

罹患期間の最長は、およそ22年でした。

ベースラインのmRSS(皮膚硬化スコア)での治療効果に違いはありましたか?

ベースラインmRSSmRSS(皮膚硬化スコア)の平均変化量
リツキシマブ群
プラセボ群有意差
(p値)
< 20– 5.671.69あり
(<0.0001)
≧ 20– 7.151.40なし
(0.41)

👉 研究開始時のベースラインのmRSS(皮膚硬化スコア)の違いで、リツシマブの硬化の違いはあったのか。つまり、皮膚硬化スコアが高い = 皮膚硬化が進んだ場合は、治療効果があるのか?

mRSSを20で分けた場合、20未満の方は、プラセボ群と比べて有意差をもって有効性が示されました。

一方、20以上の方は平均変化量 – 7.15と低下を認めましたが、リツキシマブ群で上昇した方もいて、プラセボ群と比較し有意差はつきませんでした。

ただし、mRSS ≧ 20でも改善した強皮症患者さんがいたのも、事実のため、効果なしとは言い切れません。

年齢による治療効果の差はあったか?

年齢mRSS(皮膚硬化スコア)の平均変化量
リツキシマブ群
プラセボ群有意差
(p値)
< 48-6.684.79あり
(<0.0001)
≧ 48-6.010.28あり
(<0.0001)

👉 年齢を48歳未満、以上で分けた場合、いずれとも有意差を持って、リツキシマブによる治療効果を認めました。

dcSSc(びまん硬化型強皮症)とlcSSc(限局皮膚硬化型)で治療効果に差はありましたか?

mRSS(皮膚硬化スコア)の平均変化量
リツキシマブ群
プラセボ群有意差
(p値)
dcSSc
(びまん皮膚硬化型強皮症)
– 6.642.05あり
(<0.0001)
lcSSc
(限局皮膚硬化型)
– 4.672.46あり
0.0013

👉 びまん皮膚硬化型と限局皮膚硬化型のいずれとも、有意差を持ってリツキシマブによる治療効果を認めました。

肺の機能にも効果はありましたか?

 リツキシマブ群プラセボ群有意差
(p値)
FVC%0.09 %– 2.87%あり
(0.044)

※ FVC%とは、予測肺活量に対する努力性肺活量の割合のことをいいます。努力性肺活量(FVC)とは精一杯息を吸った後、精一杯吐き出した空気の量のことです。

👉 6ヶ月の追跡期間で、リツキシマブによるFVCの劇的な改善は見込めませんでしたが、進行を抑える効果があるかもしれません。

表の見方として、FVCは上昇すると肺機能が良好であることを示すため、リツキシマブ群のプラスは改善を、プラセボ群のマイナスは悪化を示していることに注意してください。

画像上の間質性肺炎像の改善ありましたが?

 リツキシマブ群プラセボ群有意差
(p値)
間質性肺炎の領域の変化– 0.32 %2.39%あり
(0.034)

👉 6ヶ月の追跡期間で、リツキシマブによる間質性肺炎像の劇的な改善は見込めませんでしたが、進行を抑える効果があるかもしれません。

考察 disscusion

研究結果を考察することは大切です。

・以前に言われてきたものと同様に、リツキシマブの安全性は研究期間内においては、強皮症においても高かった。

・本研究は、本での研究であり、日本人における治療効果予測に応用しやすい

・本研究は、肺高血圧症の合併は、除外されている。そのため、今後は肺高血圧症を対象とした研究が望まれます。

・本研究は、日本人の患者のみを対象としており、さらに重度の皮膚硬化症を持つ患者の数がかなり少なかったため、そういった重症度の方に使用した場合の効果は、未知数な部分もある。

My Opinion

2021/11/7の段階では、リツキシマブは薬事承認された段階ですが、今後保険適応になります。

ですが、まだ日本での使用経験は少なく、実臨床で使用した際のデータはもっと必要かと思われます。強皮症では、今まで皮膚硬化や間質性肺炎に有効性を示す治療はほぼありませんでした。ステロイドでもエビデンスがある有効性は示されていません。

実臨床でも有効性が示されれば、リツキシマブは強皮症の治療において、ゲームチェンジャーとなる可能性もあります。今後に期待です。

参考文献

S Ebata, et al. Lancet reumatol. 2021; 3(7):489-497.

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“今回のまとめ”

DESIRES試験では、リツキシマブが強皮症の皮膚硬化に有効であることが示され、全身性硬化症の間質性肺疾患にも有効である可能性が示唆された。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。ご参考になりましたら幸いです🥝 Twitterでのいいねやフォローをして頂けますと励みになりますので、よろしくお願いします🕊

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