〜 The Point 〜
- MCTDは、膠原病の一つであり、3つの膠原病の症状を併せもつ。(SLE、強皮症、筋炎)
- SLE、強皮症、筋炎にかかわらず共通症状として、「レイノー現象、手指のソーセージ指、肺高血圧症」がある。
- 特徴的な抗体は、「抗RNP抗体」である。
今回は、混合性結合組織病を取り上げていきたいと思います!
混合性結合組織病は英語でmixed connective tissue diseaseといい、省略して『MCTD』とよくいいます。なので、以下ではMCTDと表記したいと思います。
MCTDってどんな病気?
MCTDは膠原病の一つで、混合性というように3つの膠原病の特徴をもっています。
その3つとは、「全身性エリテマトーデス(SLE)・強皮症・多発性筋炎(筋炎)」です。
??♀️「えー、3つも膠原病の特徴を持っているって大変な病気ですね?」
そうなんです、このようにいくつかの膠原病の症状を重複して認めるのは、MCTDのみであり、MCTDの特徴です。
MCTDの症状は?
手指のソーセージ様腫脹
それは、診断基準を参考するのが良いです。
では、具体的にどういった症状があるのでしょうか。
まず、SLE、強皮症、筋炎にかかわらずMCTDに特徴的な共通症状として、「レイノー現象、手指のソーセージ様腫脹、肺高血圧症」があります。
診断には、この3つの症状のどれか一つを認めることが必要です。
(※レイノー現象とは、突然指趾が、蒼白化し、数分後に紫色となり、その後びまん性な紅潮を経て正常皮膚色に戻る一連の現象を言います。)
また、SLE様症状、強皮症様症状、筋炎様症状を以下にあげます。
SLE様症状
- 多発関節炎
- リンパ節腫脹
- 顔面紅斑
- 心膜炎または胸膜炎
- 白血球減少、血小板減少
強皮症様症状
- 手指に限局した皮膚硬化
- 肺線維症(間質性肺炎)
- 食堂蠕動低下または拡張
筋炎様症状
- 筋力低下
- CK上昇(筋原性酵素)
- 筋電図における筋原性異常所見
このように、それぞれの特徴をもったものがMCTDです。診断のためには、このうち2つ以上の膠原病の特徴をもつ必要があります。(例えば、SLE様症状と筋炎様症状を合わせもつ)
MCTDに特徴的な抗体は?
MCTDにも、やはり特徴的な抗体があります。それは「抗RNP抗体」です。
また、少し話がそれますが、SLEに特徴的な抗体として「抗Sm抗体」があります。抗Sm抗体が陽性ならほぼ常に抗RNP抗体も陽性になります。しかし、抗RNP抗体が陽性だからといって、抗Sm抗体が必ず陽性になるとは限りません。
つまり、抗RNP抗体陽性、抗Sm抗体陰性の場合は、MCTDを疑います。
検査は何がありますか?
検査は、一般的な、血液検査、尿検査、胸部レントゲンを行い、臓器病変をより詳しく調べるために、CT(必要なら造影)、心エコー、関節エコー、呼吸機能検査などをおこないます。
心エコーを行い、肺高血圧症が疑われれば、心臓カテーテル検査を行う場合もあります。
では、心エコーの何を見た時に、肺高血圧症が疑われるしょうか?
心エコーの結果を見た時に、「TRPG」という項目に注目してください、この値が、『35』以上だと肺高血圧の可能性が高くなります。
このTRPGが35以上であった場合、肺高血圧症と診断するには、以下の2つのどちらかを認める必要があります。
- 心臓カテーテル検査を行い、実際に肺動脈の圧を測定する
- 肺高血圧症を疑う4つ以上の臨床所見や検査所見を認める
肺高血症を疑う臨床所見・検査所見とは、労作時の息切れ、心音、胸部レントゲン所見、心電図変化といったものがあります。
また、肺線維症(間質性肺炎)を評価するために、CTや呼吸機能検査を行います。
血液検査では、
- WBC 白血球
- Hb 貧血
- Plt 血小板
- Cre クレアチニン 腎機能
- LD、KL-6、SP-D 間質性肺炎の評価
- CK 筋酵素の評価
- CRP 炎症の評価
といった所見に注目し、全身を評価します。
最後にMCTDの症状の頻度を紹介し、今回は終わりにしたいと思います。
症状の頻度 | |
レイノー現象 | 99% |
手指のソーセージ様腫脹 | 93% |
関節炎 | 79% |
手指硬化 | 34% |
胸膜炎 | 14% |
心膜炎 | 12% |
腸管機能障害 | 50% |
筋力低下 | 42% |
抗核抗体陽性 | 100% |
抗RNP抗体 | 100% |
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